目次
ハマスのイスラエルへの侵攻が始まってから5日目になる。南部での戦闘に加え、北部ではシリアからも砲撃があった。予想をはるかに超えた犠牲者が出る中、イスラエルの防衛エキスパートからは、1948年、1973年に続く、国の存続に関わる戦争になるとの分析も出ている。
しかし、それで落ち込むだけではない。本領を発揮して、一致し、互いに支え合う元気なイスラエル人たちの様子も伝わってきている。
ガザとの戦い5日目:①イスラエルの空爆でハマス幹部2人死亡 ②イスラエルへの侵入者と戦闘続く
ガザからのロケット弾も続いており、10日午後の南部エシュコル地方への攻撃で、イスラエル人2人(30歳代)と外国人1人が死亡した。テルアビブなど中央部でもサイレンが鳴った。
あのせまいガザにこれほどロケット弾を隠し持っていたことは驚きだ。さらに、イスラエル軍はハマスが侵入した南部ガザ国境周辺は、おおむね制覇したと発表していたが、イスラエルに侵入してくる武装ハマスは今も続いており、今もイスラエル国内の南部住宅地や、検問所などで戦闘が発生している。
表現は悪いが、まるで、どこからゾンビが出てくるかわからない感じに聞こえなくもない。ガザから入ってきて戦闘で死亡したとみられるハマスの遺体は1500人とのことだが、それ以上になるみこみである。
ギャラント防衛相(写真)は10日、全面的な戦闘を開始すると表明。その後行われたガザへの激しい空爆は、200箇所、夜だけで70ヶ所に上っている。この空爆で、ハマス幹部2人の死亡が確認されている。
イスラエル人死者1200人超:拉致されたイスラエル人・外国人は150人?
イスラエル南部での残酷な現状が明らかになる中、イスラエル人死者数は、1200人となった。全国各地では、葬儀が相次いでいる。戦死した兵士は165人。ここまで死者数が多いと、イスラエル人のほとんど皆が、家族や知り合いが殺されたと言っても過言ではないという。
にもかかわらず、昨日は、葬儀中にサイレンがなって人々が伏せる様子も見られている。イスラエル人たちの怒りは、高まっている。
www.timesofisrael.com/across-israel-mourners-bury-the-dead-as-nation-reels-from-still-climbing-toll/
ガザへ拉致された人の数は錯綜している。150人から200人に上る可能性があるが、ハマスは100人と言ったりしている。イスラエルの空爆で幹部が死んだこともあり、捕虜が殺されているのかもしれない。捕虜は、イスラエル人がほとんどだが、わかっているだけで、23カ国以上の人々が、殺されたり捕虜になったりしている。
ヒズボラがシリアから攻撃
9日、南部だけでなく、北部国境でもレバノンからヒズボラかイスラム聖戦とみられる砲撃があったことはお伝えした通り。
この時、空き地に着弾して市民に被害はなかったが、イスラエルは反撃。ヒズボラ3人、イスラム聖戦2人が死亡。この一連の戦闘で、イスラエル軍司令官1人も死亡した。
さらに10日夜には、レバノンではなく、シリアからイスラエルへの砲撃があった。負傷者は出なかったが、イスラエルも反撃した。不気味に戦火が拡大しているのではないかとの懸念が広がっている。
www.jpost.com/breaking-news/article-767636
元イスラエル治安組織高官で、べギンセンターのメンバーでもあるエイヤル・ピンコ氏は、次回、ヒズボラは、レバノンからではなく、シリアから攻撃してくると予想していた。現在、レバノンは、経済も最悪状態なので、ヒズボラは今後、シリアから攻撃してくるというのである。ただ、今回のシリアからの攻撃がヒズボラによるものかどうかは、まだ確定ではない。
元イスラエル軍少佐のエイタン・ダンゴット氏は、11日、メディアインタビューで、北部の危険性は、南部より深刻だと語る。ヒズボラが、本格的なイランの傀儡であるため、その力は比べ物にならないほど強大だからである。
しかし、今レバノンやシリアからバラバラと攻撃する様子からすると、イランは、ヒズボラをこの戦争に投入するかどうかはまだ決めていないと見ている。イイランにとってヒズボラは最も力入れてきた傀儡である。それがイスラエルに潰されてしまうと、今、ロシアとの関係で勢力を拡大しようとしているイランにマイナスになっってしまうからである。
ダンゴット氏は、断言はできないとしながらも、今は北部で確実に、戦闘の準備を整えながらも南部に集中する時だと見ている。
2回目のイスラエル独立戦争になる:ダンゴット・イスラエル軍元大佐
1200人を超える市民が、残虐に拷問され、殺されたことは、イスラエルにとっては、アメリカの9.11の位置付けである。イスラエルは、今後、そう遠くないいつかに、大規模なガザへの侵攻を行い、ハマスを完全に滅亡させる計画である。
それがいつかはだれにもわからないが、ガザは、一般市民もともに一掃されるような攻撃になるとダンゴット氏は語る。そうなると国際社会からの批判、反イスラエル感情の高まりは避けられないだろう。しかし、これは、基本的に、テロとの戦いなのであり、占領の問題ではないということなのである。
「今は、ハマスと一般のガザ市民と区別をすることはできない。これは、イスラエルの存続に関わる問題なのだ。1948年、1973年の戦争に次ぐ、独立戦争ほどの位置付けだ。」とダンゴット氏は語った。*イスラエルは、ガザ市民に今のうちに避難するよう呼びかけを続けている。
その上で、メディアには、イスラエルの実情をしっかりと伝えてほしい。それが重要だとしめくくった。
一致するイスラエル市民
危機なればなるほど、その本領を発揮するのがユダヤ人かもしれない。国の危機にあって、人々は出陣する兵士に感謝と励ましを送り、互いに必要を補いあっている。。家を解放して、避難民を受け入れ、献血には長い列ができている。
これが、イスラエルのすごいところである。