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ガザでの負傷兵が危険な耐性真菌に感染
ここへきて、非常に懸念されるニュースが入っている。ガザで重傷を負った兵士が、抗菌薬に強力な耐性を呈する非常に危険な真菌株に感染していたという。この兵士は、アシュドドの病院で手当を受けていたが、2週間後に死亡した。感染症が死因だったかどうかは、まだ確認中である。
しかし、治療を受けている負傷兵の中には、この兵士と同様の感染が疑われる兵士ががおり、今後、さらに感染する兵士が出てくることと、その菌がイスラエル国内にまで入ってくる可能性が懸念されている。この情報は、負傷兵の治療にあたっているすべての病院に伝えられたとのこと。
特に、ガザ地区は戦争になる前から、下水システムが崩壊し、清潔な水が不足していた。もうだいぶ前にガザからの下水が地中海にそのまま流れ出して、イスラエルにまで影響したこともあった。また医薬品不足で中途半端に不適切な治療がなされた結果、耐性の強い真菌株が発生している可能性が指摘されている。
イスラエル兵が、ガザ市民のいるキャンプに入ることはほぼないが、そうした菌は土や泥の中にも存在している。負傷兵がその上に寝かされた時に、傷口からそれらの菌が入り込むことは大いに考えられる。ベン・グリオン大学の疫学専門家のダビドヴィッツ博士は、今はまだ拡大に様相はないが、いったん広がり始めたら、拡大は早いと語る。
ダビドヴィッツ博士と、ハダッサ・ヘブライ大学病院のマルガリット教授は、今、ガザにいる数十万人のイスラエル兵が、イスラエル国内に感染症を持ち帰ってくる可能性に備えるべきであると訴えている。
ガザ地区の衛星状況:新型コロナとインフルエンザなど16万人が感染
戦争が始まってから、ガザのパレスチナ人の85%にあたる190万人が自宅を出て避難民となっている。割り当てられている水は、一人1日3リットル。十分なトイレがないため、外で用をすます人も多い。ゴミを処理することもできず、難民がいる環境は不衛生そのものである。
また、この時期は、寒く雨もふる。しかし、電気はほとんどなく、暖房などまったくないと思われる。食料も不足して、国連は50万人が餓死する危険にあるといっている。栄養不足で抵抗力も落ち、ガザ内部は、感染症拡大の温床そのものである。
OCHA(国連人権問題調整事務所)によると、ガザでは、戦争が始まって以降、下痢を患っている5歳児未満の子供の数が25倍になったという。新型コロナやインフルエンザなど様々な感染症に感染している人が16万人はいるとみられている。疥癬やシラミといった皮膚病も増加している。
ダビドビッチ博士によると、戦争が始まってから、すでに地中海に向けて大腸菌などが流れ出しており、アシュケロン海上にまで到達しているとのこと。
ガザへの人道支援を強化するか否か
こうした状況の中で、ガザへの人道支援を停止することで、伝染病が拡大すれば、ハマスの力弱体化して、さすがに投降が早まるだろうという声もあった。
しかし、ダビドヴィツ博士は、ハマスの指導者たちは、自分以外のハマス戦闘員や、ガザ市民が感染症に苦しんでも気にしないだろうと指摘。一方で、ガザで感染症が拡大すれば、イスラエル兵に感染し、さらにはイスラエル国内にまで拡大する方が危険だと警鐘を鳴らしている。
歴史的にも軍隊の中で感染症が蔓延して、戦闘での死者数より感染症で死んだ人の方が多かったという例はめずらしくない。今後、この耐性真菌が拡大しないように、とりなしが必要である。
ガザへの人道支援物資搬入に関する問題
悲惨な状況にあるガザへは人道支援のトラックが1日に125台と、まったく不足した状態にある。
国際社会は、イスラエルが厳しい査察を行なっていることと、イスラエルの激しい空爆で搬入ができないからだとイスラエルを非難している。
しかし、ヘルツォグ大統領は、先週、訪問先のフランスで、ラーシェ上院議長との会談の中で、イスラエルは、1日あたり、トラック300台、もしくは400台が入れるようにしていると主張。一時的にカレン・ショムロン検問所も開けて搬入できるようにも手配している。
ガザへの搬入が遅れているのは、国連とガザ内部との連絡に問題があると指摘した。ガザでは、以前にも国連の食糧庫に積み上がった食料が問題となっていた。
また、レヴィ首相府報道官によると、ハマスが人道支援(燃料含む)トラックを乗っ取る事件が相次いでいる。UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業)は、それを隠蔽する動きがあるとこれについても国連を非難した。