15日午後9時すぎ、ガザから発射されたロケット弾2発が、テルアビブ周辺のグッシュ・ダンとオール・ヤフダ地域に着弾した。迎撃ミサイルは発動しなかったが、空き地に着弾したため、被害はなし。
人口40万人(91%ユダヤ人)のエルサレムに次ぐイスラエル第二の都市テルアビブが標的になるのは、2014年以来。住民は、突然のサイレンで、「訓練か」と思ったが、あわててシェルターへ駆け込んだという。負傷者はなかったが、5人がショックで病院搬送された。
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この後、ガザから、南部国境周辺地域へロケット弾が、9数発打ち込まれた。このうち迎撃ミサイルが撃墜したのは6発。こちらも空き地などに着弾して被害はなし。なお、イスラエル南部地域へのロケット弾発射は、ここ数日、散発しているが、大きな被害にはならず、ニュースにもならず。。。といった状況が続いていた。
ネタニヤフ首相兼・国防相は、イスラエル軍参謀総長らとただちに治安会議を行い、ガザへの空爆を開始。ハマス関連地域、特に武器製造関連、ドローン関連とみられる地点など100箇所への空爆を行った。
ガザ側の情報によると、負傷者は4人。できるだけ人間に害を与えず、施設に打撃を与えるというイスラエルの方針が遵守されているようである。
<12時間後に両者停戦合意>
イスラエルは、反撃に際し、ハマスの責任と非難したが、ハマスはこれを否定した。ハマス幹部の情報としてTimes of Israelが伝えたところによると、ハマスは、現時点では、イスラエルとの衝突は望んでいないとのこと。また、この幹部は、どのグループが攻撃を実施したのか”知らない”と語ったという。
後に、イスラエル軍も、攻撃はハマスではなく、下級組織が誤って放ったものであり、テルアビブを狙ったものではなかったとの見解を発表。テルアビブにロケッド弾が着弾してから約12時間後の15日午前11時ごろ、パレスチナ、イスラエル双方のメディアが、エジプトの仲介で双方停戦に応じたとのニュースを発信した。
15日は、金曜で、毎週のガザでの暴動が行われる日だが、ハマスはこれを控えるよう指示したもようで、暴動はなかった。ハマスは、「今はイスラエルとの衝突は望まないが、イスラエルとの闘争をやめたわけではない。」と苦しい見解を出している。
テルアビブ攻撃から24時間後、イスラエルはいつもの平穏な安息日を迎えている。
<直前のガザ市民のデモ>
テルアビブへのロケット弾騒ぎの直前、ガザ内部(北部ジャバリア難民キャンプ)では、物価高騰などあまりに厳しい生活環境の改善を訴える、数百人規模の市民のデモが、発生していた。主催者が何者かは不明だが、ハマスと敵対するパレスチナ自治政府との見方もある。
テルアビブへのロケット弾はこの直後であったことから、ハマスへの非難をまぎらわす目的でイスラエルを攻撃した可能性も考えられる。しかし、この程度のデモでハマスがそんな大きな賭けに出るとは考えられないと見る分析もある。
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<イスラエルも総選挙26日前>
今回のガザからの攻撃は、イスラエルにとっても総選挙26日前という微妙な時期。100箇所への空爆という強力な反応を示したことで、ハマスが屈服したような形となり、ネタニヤフ首相のリーダーシップを社会に示した形になった可能性がある。
少なくとも汚職疑惑でピンチに立たされているネタニヤフ首相にとって、非難が多少、まぎらわされた形になった。
www.timesofisrael.com/rocket-fire-on-tel-aviv-pushes-gaza-to-center-stage-in-israels-elections/