<イスラエル軍攻撃と、イスラエル側被害>
イスラエル軍の現時点での攻撃目標は、ガザの地下トンネルの排除である。空軍、地上軍ともにトンネル破壊が集中的に進められている。しかしそれでもまだ、トンネルを使ったハマスの攻撃が続いている。
イスラエル軍は、現時点で、トンネルの80%は破壊したと見込んでおり、今後90%をめざすと言っている。一方、ハマスは、トンネルはまだまだあると言っている。
28日、シャアル・ハネゲブ地方のナハル・オズ内部に続くトンネルから、テロリストが侵入。このときの銃撃戦で、ハマス戦闘員2人射殺。イスラエル軍兵士5人(18才2人、19才2人、21才1人)が死亡した。ハマスは、兵士1人の遺体をトンネルへ引き込もうとしたが、これは阻止している。
同じく28日には、ガザ国境に着弾した砲弾で、イスラエル兵4人が死亡。またガザ内部での戦闘でも1人が死亡。28日だけで、イスラエル兵10人が死亡した。 http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/183461#.U9sAJqW9DCs
ガザ地区内部では、民家やモスクなどあらゆるとこころで、トンネルへの入り口がみつかっており、戦闘員がいきなり現れるというモグラたたきのような状態になっている。
こうした激しい戦闘で、30日にはイスラエル軍兵士3人(20才、21才2人)が死亡。31日には、5人が死亡して、イスラエル軍の戦死者は61人となった。
イスラエルでは、連日各地で悲しい葬儀が行われている。
10日前に戦死したカイネサン・カサフン軍曹(エチオピア系・39才)の妻ゲレイトさんは、昨日4人目の女児を出産。「この子は一生、父親に会えない。」と深い痛みを語っている。
こうした状況を受けて、イスラエル軍は、ガザ地区全域へ、攻撃範囲を拡大。地上軍とともに、空軍が激しい空爆を実施している。
一方、今週もガザからは、南部を中心にロケット弾やミサイルが撃ち込まれている。31日、テルアビブを狙ったミサイル(ハマスの主張)が、キリアットガットに着弾。3人が負傷した。このうち中国人労働者の男性(30)が重傷となっている。
この1時間後にはエシュコル地方にロケット弾が着弾し、少なくとも9人が負傷した。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4552636,00.html
作戦開始後22日目でのイスラエルの民間人の犠牲者は2人と、タイ国籍労働者1人の計3人。
*戦車を守る、戦車用迎撃システム
今回、歩兵に戦死者を多く出しているが、イスラエル軍の戦車の被害は少ない。これは、ちょうどイスラエルの上空を守るアイアンドームのように、戦車一台の周囲をドーム型に守る対戦車砲・迎撃ミサイルシステムが搭載されていることが要因だと考えられている。都市を守るアイアンドームと同様、戦車用迎撃ミサイルが、実戦で実用されるのはこれが初めてである。
<悲惨なガザの住民>
イスラエル軍が、ガザ全域に攻撃範囲を拡大したため、ガザ市民は、転々と逃げる日々を送っている。もはや逃げる場所がないという。
BBCによると、現在、国連の避難所で避難生活を送っている人は22万5178人。家族親族を頼っての避難は20万人とみられる。心理社会的ケアを必要としている子供は29万9000人。
死者は、31日の攻撃だけで79人を記録。同じ家族から11人の死者を出したガザ市民もいる。ガザ地区の死者は、計1437人となった。このうち、戦闘員の死者は約300人なので、圧倒的に民間人が犠牲になっていることを現している。
先日紹介したが、8ヶ月の妊婦がイスラエルの空爆で倒壊した建物の下敷きになって死亡し、帝王切開で生まれた赤ちゃんだが、昨日、死亡した。
また避難所になっている国連の学校をが砲撃を受けて16人が死亡した件について、イスラエルは、この日、イスラエルの砲撃が一発、学校中庭を直撃したことを認めた。しかし、報道官は、その一発が着弾したところには人はいなかったと主張している。
ガザ地区での負傷者は6500人にのぼり、このうち大部分は子供である。ガザのイスラエルへの憎しみと怒りは以前より比べ物にならないほど高まっており、「イスラエルはあらたに180万人のハマスを生み出した。」とも言われている。