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重症者・人工呼吸器依存者現象傾向
イスラエルでは、過去24時間の感染者が127人の計12982人、死者は10人増えて計152人。人工呼吸器依存者は122人。保健省は、新たな感染者が、回復者(308人)より少ないことと、重傷者数、人工呼吸器依存者数が減少傾向にあることから、ピークは脱したとみている。
ネタニヤフ首相は、過越後に、経済活動の復帰を考えると予告していた。16日、ネタニヤフ首相は、テレビモニターで、保健相、経財相、防衛相など閣僚たちと、外出規制緩和について、6時間に及ぶ論議を行った。
保健省のバル・シモン・トーブ長官は、基本的に、まだ規制緩和に入る時ではないと考えている。特に、今月29日には独立記念日があるので、せめて、これが終わる今月末までは、外出規制を継続すべきだと主張した。
しかし、カフロン経財相は、イスラエル経済が、すでに2020年分ほとんどが失われたとし、今、終わりが見えないとなると、人々が希望を失って通りに出始めると警告(自暴自棄になって混乱がはじまる)。*失業率は高まる一方で、昨日の時点で109万3465人(26.25%)
現状としては、もしかしたら2021年前半にはなんとか少し回復も望めるかもといった状態で、ぎりぎりだと主張し、少しでも経済活動の再開を主張した。また、必要なら、独立記念日だけ、外出制限を出せば良いと提案した。
経財相に同意するベネット防衛相は、リスクの少ないところから経済活動を再開すべきと主張。最終的には保健省が、兜を脱いだ形となった。
エルサレム・ポストは、閣僚が最終的にまとめた案として以下のように報告している。土曜夜に国会審議が行われ、最終的な指示が発表されて、日曜から適応となる。
www.timesofisrael.com/with-2020-economy-already-in-the-garbage-ministries-clash-over-exit-strategy/
エルサレムポストによると今のところの案は以下の通り。
①保健省の規定*を守ることを前提に、取引、サービス業、製造業を再開させる。(15−50%?議論中)
②モール、理髪店、学校は閉鎖を続ける。(保健省規定を守るのが難しいため)
③家から500mまで外出を許可する。
③65歳以上の人、基礎疾患のある人は。自主隔離を続ける。この場合、失業保険給付を受ける。
④広範囲で検査を行い、分析を続ける。(イスラエル軍が担当)
*来週にも中国から検査施設が届く予定で、到着すれば、1日に1万2000件のコロナ検査が可能になる。
*保健省の規定
①入り口で発熱をチェック ②コロナ感染の症状がある者は出社しない ③義務としてマスクを着用する ④人と人との間は2メートル ⑤公の施設は、2時間おきに消毒する ⑥50−65歳の労働者のために、滅菌エリアをつくる
www.ynetnews.com/article/HkViwEI00U
メア・シャリームは封鎖続行
2週間前から封鎖に置かれていた、ブネイ・ブラックでは、最も感染が深刻なエリアが判明したり、症状のある700人を、町から出すなどの措置がすすめられている。
以下、i24 news マスクをせずに集団でいる超正統派の様子など
このため、今も公共バスの出入りはないが、自家用車での出入りは許可となった。また北部ブネイ・ブラックの産業地帯では、比較的感染が少ないので、封鎖はさらに緩和された。
www.timesofisrael.com/cabinet-eases-bnei-brak-lockdown-extends-jerusalem-neighborhoods-closure/
しかし、メア・シャリームなどエルサレムの超正統派地域は19日まで、封鎖を継続することが決まった。これを受けて、メア・シャリームでは、また警察との衝突が発生。
超正統派たち100人ほどが、警察に物体を投げつけたため、警察はスタンガンも使って、対処した。この時、たまたま通り掛かった8歳の女の子と、乳母車の赤ちゃんが、スタンガンの被害を受けて、病院で手当てを受けた。この衝突で、12が逮捕され、警察官3人も負傷している。
イスラエルでは、シナゴーグやイシバ(ユダヤ教神学校)は閉鎖され、ミニヤン(男性10人以上の祈り)も、屋外で離れてとなっている。ユダヤ教正統派閣僚たちは、この点に関する規制緩和を訴えている。
北部アラブ人2地区を7日間封鎖
北部、カルミエルに近いアラブ人地区デール・アル・アサド(人口12400人)では、感染者62人と急増しているため、土曜朝8時から封鎖することとなった。封鎖中、食料など必要物品は、国から供給される。
この町には、アラブ人クリスチャンの教会があるとのこと。町の祝福になれるよう、祈ってほしいとのことであった。
なお、これに伴い、カルミエルも、出入りを制限するとのこと。
www.timesofisrael.com/2-arab-israeli-towns-declared-restricted-area-amid-fears-of-virus-outbreak/
社会構造の溝からくるツケ
イスラエルでは、一般地域においては、経済活動の回復を議論するところまでたどり着いた。しかし、ユダヤ教超正統派や、アラブ・イスラム教徒の居住地では、まだ規制緩和を回復することができていない。
この構図は、イスラエルの一般社会における貧困層が11%と低いのに対し、超正統派とアラブ人社会では、人口の半数近くが貧困層であることと連動している。
イスラエルは、これまで、これらの社会から、目を反らした形で発展してきたが、今、この地域での感染を抑えなければ、イスラエル全体に危機が及ぶことになる。今、これまでのツケを払う時が来て、この地域に目を向け、対処しなければならなくなっていると指摘されている。
これは、また西岸地区やガザ地区のパレスチナ人社会についても同じ事がいえるだろう。
www.ynetnews.com/article/Hks805Su8
パレスチナ自治政府へアメリカから500万ドル
トランプ大統領は、14日、WHOが、中国で新型コロナが感染した際、早期にパンデミックを宣言しなかったとして非難。アメリカからの拠出金(約15%)を一時停止して、独自で諸外国へのコロナ対策支援を行うと発表した。
その流れか、アメリカのフリードマン在イスラエル大使は、アメリカは、パレスチナ自治政府の対コロナ対策として、500万ドル(5億5000万円)を支援すると発表した。アメリカがUNRWAへの支援停止を決めてから始めてのパレスチナ支援となる。
しかし、パレスチナ自治政府は、14億ドルの借金に加えて、コロナ対策だけで1億2000万ドルの資金を要するとみられるため、アメリカの支援金は、とうてい十分ではないと言われている。