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ガザへの人道支援物資搬入時118人死亡:イスラエルの銃撃によるものではない
29日、ガザでは、イスラエルが計画した人道支援物資搬入のコンボイに、ガザ市民が殺到し、大混乱の中、118人が死亡するという事態になった。
日本を含め、世界中が、死亡した118人(ハマス主張)は、イスラエル軍の銃撃によるものだったと報じた。
しかし、そもそも飢えるガザ市民が、生き延びられるように食糧を届けようと、このトラック38台にものぼる大コンボイを計画、実施したのは、イスラエルであった。そのイスラエルが集まった群衆を殺戮を目的に銃撃するなどありえないことである。
イスラエル軍のハガリ報道官は、イスラエル軍は、群衆を解散させるための威嚇としての発砲はしたが、群衆がいるトラック方面への発砲はしていなかったと断言。死者たちの多くは、将棋倒しやトラックに轢かれて死亡したと述べた。
威嚇射撃で群衆を解散できなかったイスラエル軍が撤退を開始したところ、物資を強奪しようとやってきた者たちが、イスラエル軍に向かってきたため、国際法に基づく形で反撃はしたという。調査は厳格に行うと発表した。
ハガリ報道官は、何度も繰り返して、「イスラエル軍は、ガザ市民と戦っているのではなく、ハマスと戦っているのだ」と強調した。
ところでだが、ガザ地区は、戦争前からすでに人道支援物資の搬入に頼る事態になっていた。戦前は毎日500台のトラックが入っていたとのこと。(Times of Israel)
イスラエルによる新たな人道支援搬入計画:保育器50台をガザへ搬入
国際社会にアメリカも加わって、ガザ北部への食糧を上空から落下させての物資搬入が行われているが、どこへ落ちるかもわからず、地上からの搬入ほどの効果は上がらない。
イスラエル軍は、再びトラックのコンボイによる搬入を計画しているという。ただし同じ失敗に陥らないよう、南部の検問所からではなく、北部の検問所からの搬入し、そこから民間組織に委ねるのではなく、目的地に到着するまで、イスラエル軍が護衛する形になりそうである。
イスラエル軍はまた、3日、新生児用の保育器50台をガザ内部のシファ病院、ナセル病院、アクサ病院など複数の病院へ送り届けたと発表した。
50 incubators designated for hospitals in northern and southern Gaza Strip have entered Gaza this morning.
List of hospitals these incubators will be delivered to: Shifa Hospital, Kamal Adwan, Hospital, European Hospital, Nasser Hospital, and Aqsa Hospital. pic.twitter.com/PoYE3BMmbx— COGAT (@cogatonline) March 3, 2024
イスラエルのガザ戦後管理案にむけて:地域部族2つが反応
アメリカのパレスチナ国家案に反対するイスラエルにも案がないわけではない。イスラエルは、ハマス解体後、ガザをハマスと無関係のガザ住民に管理してもらい、治安の維持についてはイスラエルが監視する形である。
これに備え、イスラエルは、まずテストケースになる地域をつくり、そこを人道支援ポケットとして、物資を安心して供給、配布する地域を設立しようとしている。
これにむけて、ハマスなしで、その人道支援ポケットを管理するガザ在住の部族長たちにアプローチしている。多くはハマスの反発を恐れて、断っているが、一つの大きな部族ともう一つが検討しているという。
ただ、これを実現できるかどうかは、やはりハマスを本当に殲滅できるかどうかにかかっているともいわれている。
www.jpost.com/israel-news/article-790033
ガザの悲惨にハマスの責任もある:日本の読売新聞記事より
本日の読売新聞には、カイロ大学、ハーバード大学客員教授をされ、今は東大名誉教授。東大中東地域研究センター長歴任、今も中東調査会常任理事の山内昌之氏の分析が、一面記事として載せられていた。
山内氏は、ハマスがガザの統治者として、10月7日の奇襲の結果をどこまで予測してに打って出たのかとの視点でコメントを出されていた。
山内氏は、ガザの市民の間では、「これほどの惨事になるとは考えずに攻撃を仕掛けた」ハマスへの批判が、公然と聞かれるようになっていると指摘。
「ガザの自決権と生存権の確立は、ガザ住民に犠牲を強いるハマスのやり方では決して果たされない。」と分析している。
しかし同時に、山内氏は、ガザがイスラムの社会である以上、外国のイデオロギーがそれを管理することはできないとし、イスラエルによる管理ではなく、アメリカのハマス抜きの2国家案を支持する立場のようである。