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新型コロナ感染者677人
イスラエルでは、ドライブスルー検査を開始したこともあり、感染者はさらに増えて、20日現在で、677人となった。重傷者は6人。中等度は13人。回復した人は14人。
www.timesofisrael.com/number-of-confirmed-virus-cases-in-israel-jumps-to-677/
イスラエルの方針は、怪しいと思う人はできるだけ早くに検査して、早期に病気を抑えてしまうと同時に、隔離を確実に行って、感染拡大を防ぐということである。
人々は基本的に、家にいることになっているので、マーゲン・ダビッド・アドン(MDA/救急隊)が、ボランティアとともに、電話相談を受け付けている。1日に5−8万の相談があり、手に負えなくなったため、新たに補助電話相談書を増設した。
電話相談で、発熱などの症状があることが分かった場合、MDAが家まで行って、検査を実施する。必要であれば、そこから病院へ直行するか、自宅待機する。
www.timesofisrael.com/number-of-confirmed-virus-cases-jumps-to-529-as-testing-ramps-up/
検査を確実に行うため、19日、スパイ組織のモサドが10万人分の検査キットをイスラエルに持ち込んだ。購買元がどこの国かは発表されていない。チャンネル13によると、イスラエルと外交関係にない2カ国からだという。
モサドは、さらに400万人分を、ここ数日の間に準備するとのこと。ただし、これらは簡易な検査キットではなく、従来の粘膜検査用品とのこと。(時間がかかる)保健省のバル・シモン・トーブ長官は、はモサドに感謝を伝えた。
www.timesofisrael.com/mossad-said-to-bring-100000-virus-test-kits-to-israel-in-overnight-operation/
これと同時進行で、数え切れないほどあるバス停、公園など、すべての公共施設で消毒作業が行なわれている。
イスラエル人意外の外国人の入国は、禁止されている。出国もできないので、外国人でビザが切れる予定の人のビザは6月末まで延長された。
最悪のシナリオに向けて準備する全国の病院
イスラエルでは具体的な最悪のシナリオが出されたが、それに対する備えが始まった。全国のすべての病院は、新型コロナに特化した30省を準備する。イスラエル最大のシェバメディカルセンターでは、呼吸器を備えた50床が準備される。
今後、新型コロナの患者が1000人を超えた場合、病院は閉鎖され、その他の不可欠な医療以外の医療行為は停止する。もし1400人を超えたら、入院は必要だが、重症ではない患者420人分の病棟を準備する。350人はリションレチオンの高齢者センター、70人はベエルシェバのシュムエル・ハロフェ・センターへ移送する。
もし1800人を超えたら、テルアビブ、ハイファ、ヘルツェリアのすべてのプライベートな病院での外科手術亜は停止し、公立病院からコロナ患者を受け入れる。もし2000人を超えたら、軽症のコロナ患者は、近くのホテルに収容する。そこでは、HMO(公立病院)スタッフが対処する。
www.ynetnews.com/article/Hkw8u0eUL
*イスラエルの最悪のシナリオ
感染者1人が2人を感染させる。人口の80%が感染し、144万人が発症。1日あたり、1450人、27万人が重症となり、2万1600人が死亡する。必要な病床は4万2500床。ICUは、1400床必要となる。
www.timesofisrael.com/israel-seeking-to-avert-worst-case-scenario-of-21600-virus-deaths-report/
医療物資輸入確保
様々な医療物資が不足することを予測して、ネタニヤフ首相は先週、輸出入停止の措置をとっているインドのモディ首相に連絡し、イスラエルへの輸出ラインを特別に維持するよう要請。受け入れられた。
イスラエル保健省は医療物資最大の市場、ニューヨークなど複数の輸入ラインを確保している。これらの物資を運搬するのは、防衛省、イスラエル軍が担当する。
新型コロナ特効技術開発のスタートアップ企業に5000万シェケル(約15億円)
新型コロナの検査キットやワクチン、感染防止、治療薬、ICUでの技術、呼吸器など、この問題の解決に直結するような技術開発をするスタートアップ企業に、イスラエル・イノベーション部、保健省などから合計5000万シェケルを支給する。
技術研究案件があるスタートアップ企業は、計画書などを提出し、認められた会社がこの中から資金供与される。申し込み期限は3月26日。
www.timesofisrael.com/government-offers-nis-50-million-to-coronavirus-fighting-startups/
ユダヤ教の律法もアジャスト
スファラディのチーフラビ・イツハク・ヨセフは、医師や保健省に従うことを勧め、保健省の監視下におかれている陽性患者や、検査結果待ちの人たちは、通常なら閉じることになっている携帯電話を安息日中も開けておくよう指示した。これは大変大きな決断である。
イスラエルでは、10人以上の集会は禁止されている。安息日にシナゴーグを開けるかどうかについて、ラビ・ヨセフは、病院内のシナゴーグは閉鎖。地域のシナゴーグでは、安息日を含め開けておくが、10人以上にならないようにするよう指示した。ユダヤ教では、男性が10人集まれば、共同の祈りを捧げることになっている。
そのほか、新型コロナ関係の規制を受けて、アジャストした規則を発表している。
www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/277530
人事尽くして天命を待つ?
嘆きの壁では19日、嘆きの壁担当のラビ・ラビノビッツ(アシュケナジー)を中心に、新型コロナウイルスの終息に向けた祈りがささげられた。現地での参加者は、保健省で定められた間隔をあけての祈りで、人数は多くない。しかし、ネットを通じて、全世界に公開された。
石のひとりごと
イスラエルは、通常はかなりアバウトなのだが、一旦危機管理となると、非常に綿密だ。これほどの準備を先手先手で進めている国はほかにない。ネタニヤフ首相の危機管理はクレイジーに見えても、少なくとも真剣であることから評価する声もある。
日本では、大阪府吉村知事が専門家からの報告として伝えたところによると、兵庫県の感染者1人が、他者を感染させる二次感染率が、1を少し超えるという。厚労省は、現時点で、兵庫県において、爆発感染(オーバーシュート)の可能性があるとして、明日からの3連休、兵庫県と大阪府の間で不要な行き来を自粛するよう指示を出した。
イスラエルの危機管理でいくと、1人が感染させる人の数が1.2の場合、市民の35%が感染するという計算になっている。ということは、たとえば、二次感染率が1を超え始めた兵庫県で言えば、ーあくまでもイスラエルが条件なので、そのまま兵庫県にはあてはめることはできないのではあるがー、その確率を当てはめた場合、190万人が感染し、2万8000人が死亡するということになる。こうなると間違いなく医療崩壊となり、イタリアのように治療を受けられないまま自宅で死亡する人が出てくる。
大阪府の吉村知事は、厚労省の指示を真剣に受け止め、大阪市民に兵庫県への移動自粛を促した。しかし、兵庫県の井戸知事は、これに不快感を示し、特に危機感を持っている様子はみられなかった。
headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20200320-00434213-fnn-soci
大阪府では、新型コロナ患者の病院への割り振りを担当する専門のフォローアップセンターを立ち上げるなど、様々な対策がなされている。しかし、兵庫県では、クラスターが高齢者施設や子供関連であるにもかかわらず、特に注目されるような対策がなされていない。井戸知事の自粛への反応に、少々、懸念を感じさせられた。