イランとイラクの国境付近で12日夜9時ごろ、M7.3の大地震が発生したことは日本でも報じられている通り。400人以上の死者、8000人以上の負傷者が確認されている。イラク側の死者は9人。被災して家を失った人は7万人以上だという。イランの冬は厳しい。
日本と同様、イランの下にはアラビア半島とユーラシア大陸のプレートの接点があるため地震が多い。昨年だけで16回、その前年には19回の地震が発生している。今回の地震による被害はすでに今年最大だという。
いつもはにこやかなロウハニ大統領の表情の厳しさが印象的だ。
www.bbc.com/news/world-middle-east-41988176
イスラエルは、赤十字を通じて、イランとイラクに支援活動の申し入れをしたが、速攻で拒絶されたという。
www.timesofisrael.com/israel-offers-medical-aid-to-iran-iraq-after-quake-rocks-region/
そのイランだが、じわじわとイスラエルとの国境近くにイラン軍を配置しはじめている。
1)シリア南部停戦合意でイスラエル国境に接近の可能性
アメリカとロシア、ヨルダンは、ヨルダンの要請により、シリア南部を停戦地帯にする案で協議が行われていたが、今週月曜に発表されたところによると、イランを含むすべての外国勢力は、シリア南部から撤退するということで、3国は合意したと伝えられた。
しかし、この合意によると、撤退義務とされる境界線のラインが、イスラエルからわずか5-7キロ地点であることが明らかになった。いいかえれば、イスラエルからわずか5-7キロ地点に、イラン軍が近づいてくる可能性を含んでいるということである。
イスラエルが要求していた撤退ラインは、イスラエル国境から50-60キロだったのだが、これは受け入れられなかったということである。この他にも、撤退期限が定められていないことなどから、イランを地域から排斥するという点では、つめの甘さがあるとイスラエルは指摘した。
すると、ロシアのラブロフ外相は、「イランには、シリアに軍事基地を設置する権利がある。イランがシリアから撤退することをイスラエルに約束した覚えはない。」とのコメントを出した。
ネタニヤフ首相は、「ロシアには、前から伝えてあるが、イスラエルは自分の防衛は自分で対処するだけだ。」との言い返した。(イスラエルは、防衛のためなら、手段をえらばないだろうということ)
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5043231,00.html
2)ダマスカス近郊にイラン軍基地か
BBCが西側諜報すじとして伝えたところによると、衛星写真で、ダマスカス南部に、新しいイランの軍事基地とみられる施設が確認された。ゴラン高原からわずか50キロ地点である。
www.bbc.com/news/world-middle-east-41945189
イランはシリア領内に多数の軍事基地をすでに建設済みで、今回発見されたものもその一つ。8月にもバニヤスの東方に、イランのミサイル施設と同様のシリアのミサイル基地が確認されている。
シリア領内にイランが軍事基地を多数、建設するということは、イランが、恒久的にシリアに居座ることのしるしであるとして、イスラエルは警戒を強めている。リーバーマン防衛相は、「イスラエルは、シリアがシーア派枢軸国の拠点になることは容認できない。」と語った。
www.jpost.com/Middle-East/Report-Iranians-built-a-new-military-base-in-Syria-513973
Yネットのコメンテーターで、アラブ世界に詳しいやアロン・フリードマン博士によると、まだメディアの関心はないが、シリアの反政府勢力の情報によると、イランの革命軍が、ゴラン高原から30キロのクリスチャンの村に拠点を置き、シリア人少年たちを兵士として雇っているという。(月200ドル)イランがシリア人を雇うのはこれが初めてになる。
この新しい部隊は「第313部隊」と呼ばれている。この数字には特別な意味がある。シーア派イスラムの伝統によると、救い主マフディは、313人の兵士を連れて来臨すると考えられているのである。
シーア派からするとスンニ派のISISはサタンであり、これをシリアからほぼ排斥した今、勝利ムードにあり、メシアへの期待となっているのではないかとも考えられる。それが、イスラエルまで30キロの地点にまで迫っているということは、次なる敵は「シオニスト」イスラエルということであろう。