イスラエルの新型コロナ陽性39人:アメリカも含むすべての国を隔離対象に? 2020.3.9

シェバ・ホスピタルの隔離病棟 出展:Jerusalem Post Abshalom Sasson

イスラエルの新型コロナ要請39人

3月9日、一気に14人増えて、イスラエル人で新型コロナ陽性者は39人となった。死者は出ていない。新たに陽性となった人は、イタリア、スペイン、ギリシャ、オーストリアから戻った人、またフランス人観光客と接触があった人、その人々に接触した人々だが、感染源が不明な人も14人となっている。

関係したフライトや訪問先が公表され、フライトに同乗していた人や、訪問先が重なる人など、わかっている人は、すべて自宅隔離するとともに、保健省に連絡が義務付けられている。

現在、隔離対象になっている人は、8万から10万人はいるとされ、今もどんどん増えている中、隔離を守っていない人が問題となっている。イスラエル警察は、チームを作って、指示を守っていない人の取り締まりに乗り出している。

www.timesofisrael.com/4-new-cases-of-coronavirus-detected-raising-number-in-israel-to-29/

なお、今の所、死者は出ていないが、先月、ギリシャ人観光グループのバスを運転していた東エルサレム在住男性(38)が、意識不明で人工呼吸器装着の重症となっている。

テルアビブへのフライトをキャンセルした航空会社

イスラエルが厳しく外からの訪問者の入国を停止し、イスラエル人に海外旅行全般を禁止する動きにあることから、ヨーロッパ系の航空会社が次々に乗り入れを停止している。ルフトハンザに続いて、新たにエア・フランス、アリタリア、イベリア、ウイズエアが乗り入れを停止した。

入国拒否は、今の所、中国、香港、タイ、シンガポール、マカウ、韓国、日本、イタリア、フランス、ドイツ、スペイン、オーストリア、スイス、オランダだが、アメリカのニューヨーク、ワシントンDC,カリフォルニアから来た人も2週間の隔離となっている。

www.timesofisrael.com/israel-reportedly-decides-on-self-quarantine-for-ny-dc-california-arrivals/

しかし、今後、外国人はすべて入国拒否の対象にすることも議題に上っているとのこと。

www.timesofisrael.com/2-more-israelis-diagnosed-with-coronavirus-bringing-total-to-23/

アメリカ人も隔離の対象か:ネタニヤフ首相とペンス米副大統領会談

アメリカでは、カリフォルニア沖のクルーズ船の21人が陽性になるなど、新型ウイルスの感染が急速に拡がっている。3月9日の時点で、感染者は450人。死者は19人となっている。ニューヨーク州が緊急事態宣言を出し、政府は一部の地域を閉鎖する可能性にも言及している。

www.nytimes.com/2020/03/08/world/coronavirus-news.html?action=click&module=Top%20Stories&pgtype=Homepage#link-436ae2a2

ネタニヤフ首相は、アメリカで、新型コロナの担当に任命されたペンス副大統領と電話会談。技術的な面での協力の他、入国拒否に関することも話し合ったとみられるが、その内容の発表については、1日延期された。閣僚たちと話し合うようである。

アメリカからの出入りを遮断することは、イスラエル経済にとってはあまりにも大きな決断である。

若者を市街地の大規模消毒に駆り出す?

ネタニヤフ首相ば、まだオフィシャルではないが、すでに世界的パンデミックになるとの認識を表明し、早急に、電車やバスなど、公共施設を大規模に消毒する必要があると語った。空軍によると、そのための薬剤は十分あるとのこと。

そのための人材として、「幸い、このウイルスは、若者を重症にはしていない。若者をボランティアとして徴用し、消毒に当たらせてはどうか。」と提案した。イスラエルのユースグループは、これにポジティブな反応を示しているという。

しかし、一部の親たちからは激怒し、子どもも感染するとの懸念と「そういうことはプロがするべき」との声が出る一方、「子どもたちに、社会の役に立つ経験をさせるよい機会だ。」という声もある。

www.jpost.com/Israel-News/Parents-outraged-at-proposal-to-have-children-disinfect-public-facilities-620231

ダイアモンド・プリンセス号のイスラエル人乗客のために来日した、保健省副ディレクターのイタマル・グロット博士は、子供達も感染すると警告。一方で厳しすぎる特殊な施設での隔離ではなく、家で隔離するだけで、十分、感染の拡大は防げると語った。

www.jpost.com/HEALTH-SCIENCE/Health-Ministry-D-G-Children-teens-can-catch-coronavirus-620197

この他、ネタニヤフ首相は、「新型コロナは必ず終息させる」として、国民全員を検査して、感染している人を早急に見分けて隔離する案も出している。

企業支援40億シェケル(1200億円)計上

9日、テルアビブのストックマーケットは、石油と天然ガスが弱くなったことから、株が文字通り急降下し、一時35%も下がった。エルアル航空は、1.4ー1.6億ドルの損失との発表が出た後、その株価は8%落ちた。

急速な経済の悪化で、企業が職員の解雇を余儀なくされているが、特に空港では、パートの70%が、無給休暇となっているという。生活がかかっているので、解雇は、独身が優先されるとのこと。カフロン経財相は、雇用主らに、自宅からの遠隔労働をすすめている。

www.timesofisrael.com/tel-aviv-stock-exchange-plummets-as-coronavirus-fears-deepen/

ネタニヤフ首相は8日、エルアル航空など、新型コロナの影響で経営難に陥っている企業に40億シェケル(1200億円)を計上したと発表した。イスラエルは人口わずか900万人の小さな国であることを思うと、これは相当莫大な額。ちなみに人口1億2000万人日本の経産省が計上している支援額は5000億円。

www.jpost.com/Breaking-News/Netanyahu-Avoid-fake-news-about-coronavirus-620175

www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf#search=%27新型コロナ+政府の企業支援額%27

危機に強いはずのイスラエル人もパニック

戦争に慣れているイスラエル人は、多少のテロ事件が発生しても、恐ることはない。ミサイルが飛んできても、どのようにしたらいいのかわかっているので、パニックになることはない。しかし、新型コロナは、なにもかもが未知であるからか、イスラエル人たちも相当なパニックになっている。

他の国ほどではないが、イスラエルでも、マスクや、手指のアルコール消毒剤だけでなく、非常食や、保存食の販売が伸びている。

大手スーパーラミレビ社長は、在庫を40%増やすよう指示したという。社長によると、来月には過越の祭が控えているが、例年のように休暇期間中、海外に出る人が減っているので、その分、国内での消費がさらにアップするとみている。

www.timesofisrael.com/israelis-join-global-panic-buying-amid-coronavirus-fears/

石のひとりごと:未知の世界に入る時

未知ということは、全く自分の手に負えない、自分でコントロールできないということなので、これが人間にとっては耐えられないのである。

突然、あっという間に愛する家族を失った人や、自分が陽性と言われた人や、悪化しつつある人々の心中は、想像に絶する混乱だろう。これは人間なら、だれでも絶対に避けたい、恐怖である。

聖書では、出エジプトで出てきたイスラエル人たちが、いよいよ未知の約束の地に入ろうとする時、パニックに陥っている。約束の地にいたのは、聞いてはいたが、今まで見たことがないような恐ろしい巨人たちだったからである。

同様に、私たちの前に今、これまで見たことのないような新型コロナ(スペイン風の悲惨を知らない世代がほとんどなので)という、巨人が私たちの前に立ちはだかっている。それは私たちの手にまったく負えない敵である。

考えてみれば、イスラエルは、近頃建国70年を超えた。日本も令和という新時代に入ったばかりだが、今、全世界が新しい時代に入ろうとしているのではないか。一歩終わりの時に近づいたというような・・・。

聖書では、巨人を前にパニックになったイスラエル人に向かって、彼らの神は次のように言われた。

・・・聞きなさい。イスラエル。あなたはきょう、ヨルダンを渡って、あなたよりも大きくて強い国々を占領しようとしている。その町々は大きく、城壁は天に高くそびえている。その民は大きくて背が高く、あなたの知っているアナク人である。あなたが聞いた。「だれがアナク人に立ち向かうことができようか。」(申命記9:1−2)

さらに次のように言われた。

・・・きょう、知りなさい。あなたの神、主ご自身が、焼き尽くす火として、あなたの前に進まれ、主が彼らを根絶やしにされる。主があなたの前で彼らを征服される。あなたが主が約束されたように、彼らをただちに追い払って、滅ぼすのだ。(申命記9:3)

私たちは、今新型コロナという目に見えないほど小さいウイルスという”巨人”を前にうろたえ、パニックに陥っているが、今までみたことのないような方法で、しかも神の力と方法とわかるような方法で、これが撃退されるのかもしれない。

しかし、注意しなければならないのは次のことである。

・・・あなたの神、主があなたの前から彼らを追い出されたとき、あなたは心の中で、「私が正しいから、主が私にこの地を得させてくださったのだ」と言ってはならない。これらの国々が悪いために、主はあなたの前から彼らを追い出そうとしておられるのだ。

あなたが彼らの地を所有することができるのは、あなたが正しいからではなく、またあなたの心がまっすぐだからでもない。・・・また主があなたの先祖、アブラハム、イサク、ヤコブになさった誓いを果たすためである。(申命記9:4−6)

未知の世界に入る時、未知の敵が前にたちはだかるものである。しかし、同時に、その状況を主がどうされるのか、その祝福の度合いも未知であるということである。もしかしたら、このことを通して、なにかリバイバルのようなことが起こるのではないか。それが私たちの正しさが条件にならないというところが希望ではないか。

私たち聖書の神を信じる者は、自分の能力は言うまでもなく、理解すら超えたところ、自分にコントロールが全くない時こそ、主に期待するものである。

このコロナウイルス。この先に何があるのだろうか。主はどうされるのか。まだまだ油断も、安易なポジティブシンキングに陥ることは赦されない。できることは確実にやっていかなければならない。すでに苦しみの中にいる人々のための祈りも忘れてはならない。

しかし、このことを通しても、きっとこの聖書の神こそが本物であることに目覚める人が、起こされるだろう。

今は絶望的に聖書を知らない我が国においても起こされることを信じて祈っていこうではないか。ちなみに、9日日曜、筆者所属の教会では、子供6人を含む8人がバプテスマを受けた。感謝!

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。