イスラエルのコロナ情勢改善:学校、モールも解除へ 2020.11.22

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感染改善傾向もアラブ人居住地で感染続く

イスラエルでは、先月より、新型コロナの感染が落ち着きを見せはじめ、徐々に制限の解除が進められている。

保健省によると、19日の新規感染者は781人。実施された検査4万5,424人の陽性率は1.7%である。この時点で発症している人は、8,518人で、重症者は314人。人工呼吸器依存者は126人。死者は、毎日2、3人で、合計2740人となっている。

また、感染者の約半数が、アラブ人地域に集中していることがわかっている。特に、最大のアラブ人居住地ナザレでの感染が深刻となっているため、保健省はナザレをレッド・ゾーンに指定した。

それ以外のグリーン地域では、超正統派地域も含め、感染が落ち着いていることから、1−4年生は登校を再開。5−6年生も今週火曜から登校を再開する予定である。11−12年生は、来週から登校再開のみこみ。

大型モールはまだ解除されていないが、今週火曜にはオープンの予定。通りに面した店は解除されているので、街にはかなりの活気が戻っている。

死海とエイラットで旅行業再開

海外からの旅行者の受け入れはまだ先になりそうだが、死海とエイラットで、国内旅行者を受け入れることが決まった。これらの地域は、居住地からは離れているため、旅行の”島”としての扱いだという。

ガイドの友人によると、大きなバスに10人ぐらいが乗る高齢者グループが、これを利用し始めているとのこと。

しかし、また解除のスピードが速いすぎるとして、懸念の声もあがっている。保健省は、感染拡大の様相が見えはじめたら、またすぐに制限を戻すと言っている。

アストラゼネカのワクチン最大1000万回分購入で合意

ネタニヤフ首相によると、イスラエルは、イギリスのアストラゼネカから、最大1000万回分(500万人分)のワクチンを購入する契約にほぼ近づいたとのこと。

イスラエルは、この他、モデルナ、ファイザーとも取引をしている他、ロシアのスプートニク5とも交渉中だという。イスラエルの人口は920万人なので、まもなく国民全員分を用意できる形である。

さらには、国内で生産するワクチンもすでに人体実験が始まっており、すべてクリアすれば、来年夏までには、実用が可能になるとのこと。ただし、ワクチン接種は強制ではなく、希望する人のためとしている。

www.timesofisrael.com/netanyahu-israel-to-ink-deal-with-astrazeneca-for-millions-of-vaccines/

ワクチンで先行するハダッサ・ヘブライ大学病院

エルサレムのハダッサ・ヘブライ大学病院は、完全な国立ではなく、建てられたいきさつから、今も海外の女性シオニスト団体が運営する形が続いている。ここ数年、赤字が続いていることが問題となっていた。

ハダッサは、政府がロシアのスプートニク5ワクチン(効果92%)について契約を進める頃には、すでに独自で150万回分の契約に署名していた。このため、先行して、ワクチンの実験も開始しており、独自に早期に摂取を開始するとみられている。これによる、収入で、赤字を解消したい考えである。

ハダッサは、スプートニク以外のワクチンについても、中心的存在になることをめざしているとのこと。しかし、ハダッサは、政府が承認するまで、スプードニクの摂取は待つべきだとして、独自のこの動きに批判も出ている。ハダッサ側は、感染拡大を予防するためには、速い方が良いと反論している。

www.timesofisrael.com/israels-hadassah-vies-to-become-a-regional-hub-for-russias-covid-19-vaccine/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。