イスラエルでは、今週、西岸地区とガザ周辺で、互いに死者が出るという深刻な衝突、またガザとの軍事衝突も発生した。
1)西岸地区でパレスチナ人1人死亡:正当防衛か否か
30日木曜、西岸地区ナブルス南部のパレスチナの町クスラ近くの空き地で、ユダヤ人入植者(引率の大人2人と小・中学生グループ)とクスラ住民が衝突。最終的にクスラ住民のマフムード・ウダさん(48)が、入植者の1人の銃撃で死亡した。入植者大人2人は軽いけがだった。
この一件について、イスラエル側とパレスチナ側の証言が大きく食い違っていることが、問題になっている。
入植者の証言によると、子供達の1人のバル・ミツバ(成人式)を祝うためにハイキングに来ていたところ、パレスチナ人の一団が、石や岩を投げつけて近づいてきた。
リンチされると思い、子供たちを洞穴へ避難させ、大人1人は子供たちとともにいて子供を守り、1人は外でパレスチナ人が近づいてくるのを威嚇射撃などで防ごうとした。しかし、止められなかったので、パレスチナ人への一団へ向けて銃を発射した。正当防衛だったと主張している。
一方、クスラ住民によると、外で畑仕事をしていたウダさんが突然、入植者に撃たれ、意識を失った。そばにいた息子(6歳?)が町に通報したため、住民たちが駆け付けた。それで入植者と衝突になったということである。
つまり、パレスチナ人の一団が来たので、銃撃に及んだというのが、入植者側の訴えで、銃撃で住民が撃たれたので、皆が出てきて入植者と衝突したというのがパレスチナ側の訴えということである。
軍は、入植者側が誤った判断で、パレスチナ人を死亡させた可能性があるとみて、調べを急いでいる。
これについて、左派イスラエル人の弁護士会「イエシュ・ディン」は、パレスチナ側の主張を取り入れ、入植者を非難する声明を出した。
すると、捜査がまだ終わっていないにもかかわらず、金曜、リーバーマン外相が、「これは正当防衛にあたる」との見解をツイッターに書き込んだ。
*イエシュ・ディン
左派ユダヤ人の弁護士からなる団体で、パレスチナ人の権利を守ることを目的とし、西岸地区での入植者や、イスラエル軍兵士らのパレスチナ人に対する行為を監視し、法的措置による訴えを支援するグループ。
西岸地区の土地に関する入植者との争いでは、パレスチナ側の弁護士として、(イスラエルの)裁判所に訴え、弁護する。イエシュ・ディンは、ヨーロッパからの支援で成り立っており、イスラエル国内では問題視されている存在。
2)アラッドでテロか?:イスラエル軍兵士(19)死亡
木曜夕方、イスラエル南部アラッドのモール前バス停で、若い男性が上半身を刺されて倒れているのが発見された。救急隊が駆け付けたときにはすでに呼吸も意識もなく、死亡とされた。
後に、イスラエル軍から、男性は、イスラエル軍ナハル部隊所属のロン・クキヤさん(19)と発表された。軍はテロとみて、付近の捜索を行っているが、今の所、新しい情報はない。葬儀は日曜予定。
www.jpost.com/Israel-News/Police-in-hunt-after-two-suspected-terrorists-after-Arad-stabbing-515724
3)イスラム聖戦の砲撃:イスラエル軍ガザへ報復
イスラエル軍の発表によると、木曜、ガザとの国境に駐留しているイスラエル軍に向かって12発の迫撃砲が撃ち込まれた。現場では、農作業に当たっていたイスラエル人たちがいたが、幸い皆無事に避難した。
これに対し、イスラエル空軍は直ちにガザ内部のハマス拠点2カ所、イスラム聖戦拠点2カ所、さらに2カ所への空爆を行った。パレスチナ側の情報によると、この空爆でパレスチナ人2人が負傷したもようである。
イスラエル軍スポークスマンによると、この攻撃は先月のトンネル破壊への報復とみているという。