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イスラエル社会が分断の様相になる中、強硬右派政治家とされるスモトリッチ経済相と、ベングビル国内治安相の強硬な政策や問題発言が続き、その度に国内が仏語となっている。ネタニヤフ首相はそのしりぬぐい三昧の日々になっている。
アラブ自治体への追加予算送金へ
スモトリッチ経済相が、東エルサレムへの支援(アラブ人学生の奨学金含む)と、前政権が約束していた、地方アラブ自治体への追加予算(2億シェケル)送金のキャンセルを発表し、国内のアラブ人たちが、大規模なデモとストを決行するに至った件。
ネタニヤフ首相は、スモトリッチ氏を説き伏せ、まずは東エルサレムの支援については、増額して実施すると発表。この時点では、地方アラブ自治体への追加支援送金は、凍結されたままであった。最近続くアラブ人の間での殺人事件急増を受けて、資金が悪用されることが懸念されるとの理由であった。
しかし、当然ながら、これについては与野党からの反発があった。20日、スモトリッチ氏は、資金の流れや使われ方を監視するシステムの元で、増額した送金を行うと発表した。ネタニヤフ首相の指示であったと発表している。
ベングビル氏問題発言に「アラブ人の行動の自由は大事」とネタニヤフ首相がフォロー
西岸地区では、パレスチナ人によるテロが相次ぎ、犠牲者も29人と増加する傾向にある。
こうした中、ベングビル氏が、チャンネル12の番組の中で、その責任は、穏健なギャラント国防相のせいだといいつつ、「ユダヤ・サマリア地区の道路を利用する私の妻や子供たちの権利は、アラブ人たちの移動の権利より重要だ。」と述べた。
さらに、横に座っていたアラブ人ジャーナリストに対し、「すまない。モハンマド。これが現実なのだ。私たちが生きる権利は、アラブ人たちの移動の権利よりも優先されるのだ。」と言った。
לראשונה שר ישראלי מודה בשידור שישראל מקיימת משטר אפרטהייד המבוסס על עליונות יהודית
"For the first time, an Israeli minister admits on air that Israel enforces an apartheid regime,based on jewish supremacy” pic.twitter.com/RI3LRG4Lf3
— Ahmad Tibi (@Ahmad_tibi) August 23, 2023
これに対し、国内アラブ政党、野党などから、人種差別(アパルトヘイト)の発言だと非難が出て、SNSでは、イスラエル兵が、パレスチナ人たちに暴力を振るう映像とともに「すまない。モハンマド」と書かれた投稿が次々にアップされるようになった。アメリカ国務省を筆頭に、国外からも非難がで始めた。
ネタニヤフ首相は、「アラブ人の移動は非常に大事だ。」と声明を出した。
イスラエル国内のアラブ人地域での犯罪殺人が、今年に入ってからだけで157人と、昨年同時期の2倍以上となっている。警察を管轄する国家安全保障相が、極右政党のベングビル氏であることから、アラブ人たちからは、人種差別による警備不備だと非難の的となっている。
このため、ネタニヤフ首相は、「西岸地区での移動は、ユダヤ人にもアラブ人にも最大限の自由を認めている。」と発表した。しかし同時に、テロリストはこの自由を使って、イスラエル人の女性や子供を殺害していると述べ、これを防ぐために、特別な「安全保障対策」を講じていると発表した。
結局なにも変わらないということなのか?なんともうまいのがれことばのようにも聞こえなくもないが・・。
www.timesofisrael.com/after-ben-gvir-storm-pm-says-palestinians-get-maximum-freedom-of-movement/
サウジと国交正常化条件のパレスチナ譲歩断固反対を表明:スモトリッチ氏
スモトリッチ氏は、上記のように、強気発言を出すや否や、ネタニヤフ首相にしりぬぐいされる様相にあるが、こりずに、またサウジアラビアへのパレスチナ問題への譲歩も絶対認めないと表明した。
サウジアラビアとの国交正常化はネタニヤフ首相が、最大の目標ともするとことろである。ただパレスチナ人の国を認めるという決断は、さすがにネタニヤフ首相でも難しいことだろう。しかし、ネタニヤフ首相は、スモトリッチ氏の直接的な表現をしないまでも、うまく立ち回ろうとしていたとも考えられるので、このしりぬぐいはどんな形になるのだろうかとも思う。