神殿の丘問題で、いったんベネット政権から退いていた、アラブ政党ラアム党のアッバス氏が、週間後の11日、ベネット政権に復帰すると発表した。
この3週間の間、アッバス氏は、神殿の丘問題(イスラエルの警察がモスクに踏み込んだなどの問題)イスラム社会とイスラエルとの溝が深まる中、ベネット政権との交渉を続けてきたのであった。
ベネット首相と同様、アッバス氏とその家族も、敵と交渉しているとして死の脅迫を受けながらの交渉であった。アッバス氏が、このまま政権から退いた場合、ベネット政権は過半数を大きく下回ることになり、ベネット首相は、解散総選挙することになるといったニュースも出始めていた。
さらには、アルジャジーラ記者の死亡というスキャンダルな事件まで発生した。この真っ只中にある11日、アッバス氏は、政権に残る、政権にもう一度チャンスを与えるとの最終決断を発表したのであった。
今、退いて、国会が解散総選挙になったとして、ラアム党が、最大議席数をもつ野党リクードと組めるかどうかは、現時点ではわからない。ならば、今退いてしまってもなんの益もないと判断したとみられる。
しかし、アッバス氏は、将来は、リクード(右派)との協力を目標にするという野望も否定していない。
また、アッバス氏は、政権復帰するにあたり、交渉で、ネゲブの5つの町を公認とすること、アラブ系住民への予算拡大、神殿の丘問題に関して、ヨルダンのアブドラ国王との話を進めるなどの要請を勝ち取ったとしている。
アッバス氏は、これまでのイスラエルとアラブ人との関係を大きく変換させることを勇気をもって、表に始めて出したひとであった。ラアム党の理念は、「ユダヤ人とアラブ人の間に、人道的に正しく平等な関係を築く」ということなのである。この点からアッバス氏は、ぶれていないということのようである。
www.timesofisrael.com/not-just-funds-with-return-to-coalition-raam-hopes-to-solidify-paradigm-shift/
しかし、この考え方は、イスラム陣営だけでなく、ユダヤ人右派の間でも反発があり、今後、この新しい動きが発展していくのか、足をひっぱられて、埋もれてしまうのかは、まだまだわからない。
ラアム党と多様な政権を誇るベネット政権は、今回もなんとか乗り越えたようではあるが、今後、ラアム党が崩されてしまった場合は、もう2度とこのようなアラブ社会からの動きはないだろうとも言われている。