先週、ケリー米国務長官は、アサド大統領退陣にむけて圧力をかけるため、アメリカは今後反政府勢力を支援するとの方針を明らかにした。
その後、具体的には武器以外の食料や薬品、その他新政府設立のために6000万ドル(約55億円)を支援すると発表した。これに対するシリアのアサド政権、反政府勢力の反応は以下の通り。
<アサド大統領:退任する意思はない>
シリアのアサド大統領は3日、イギリス紙のインタビューに答えて、「条件つきで反政府勢力と対話してもよい」としながらも、政権は渡さないと退陣の意思はないと表明した。
シリアのモアレム外相は、イランのサレヒ外相とともにテヘランで記者会見。「アメリカはどうかしている。政治的に解決するといいながら、シリア市民を殺害しているテロリストを支援する。アサド大統領が出ていくかどうかは来年の総選挙で決まることだ。それまで大統領はアサド氏だ。」と語った。
*シリア政府には武器を提供するロシアがついている。アメリカの反政府勢力への支援は武器以外である。アメリカが、敵にまわったと表明しても、アサド大統領には何の脅威にもならないようである。
<反政府勢力:今必要なのは武器>
反政府勢力も、「今必要なのは武器。食べ物や薬ではない。それらがなくて死ぬなら死ぬ方を選ぶ。」と語った。
*アメリカや国際社会が反政府勢力に武器を提供できないのは、シリアに様々なイスラム過激派が入り込んでおり、供与した武器がテロにまわされる可能性があるため。
<アメリカの財政危機>
シリアへのてこ入れを決めたアメリカだが、先週、議会との合意が得られず、今年度850億ドル(7兆8200億円)もの歳出削減が決まった。どこで削減するかだが、まずは軍事費になるみこみ。
アメリカは、現在イスラエルの迎撃ミサイルに関わる防衛費を援助しているが、それらが削減される可能性が高い。