アメリカの新シリア介入策:シリアの反応は? 2013.3.3

先週、ケリー米国務長官は、アサド大統領退陣にむけて圧力をかけるため、アメリカは今後反政府勢力を支援するとの方針を明らかにした。

その後、具体的には武器以外の食料や薬品、その他新政府設立のために6000万ドル(約55億円)を支援すると発表した。これに対するシリアのアサド政権、反政府勢力の反応は以下の通り。

<アサド大統領:退任する意思はない>

シリアのアサド大統領は3日、イギリス紙のインタビューに答えて、「条件つきで反政府勢力と対話してもよい」としながらも、政権は渡さないと退陣の意思はないと表明した。

シリアのモアレム外相は、イランのサレヒ外相とともにテヘランで記者会見。「アメリカはどうかしている。政治的に解決するといいながら、シリア市民を殺害しているテロリストを支援する。アサド大統領が出ていくかどうかは来年の総選挙で決まることだ。それまで大統領はアサド氏だ。」と語った。

*シリア政府には武器を提供するロシアがついている。アメリカの反政府勢力への支援は武器以外である。アメリカが、敵にまわったと表明しても、アサド大統領には何の脅威にもならないようである。

<反政府勢力:今必要なのは武器>

反政府勢力も、「今必要なのは武器。食べ物や薬ではない。それらがなくて死ぬなら死ぬ方を選ぶ。」と語った。

*アメリカや国際社会が反政府勢力に武器を提供できないのは、シリアに様々なイスラム過激派が入り込んでおり、供与した武器がテロにまわされる可能性があるため。

<アメリカの財政危機>

シリアへのてこ入れを決めたアメリカだが、先週、議会との合意が得られず、今年度850億ドル(7兆8200億円)もの歳出削減が決まった。どこで削減するかだが、まずは軍事費になるみこみ。

アメリカは、現在イスラエルの迎撃ミサイルに関わる防衛費を援助しているが、それらが削減される可能性が高い。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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