目次
アメリカ大学のイスラエルへの憎しみはどこから?
デモ隊が訴えていることは、イスラエルが、パレスチナ人に対してジェノサイドを行っているとして、大学にイスラエル、またイスラエルに関連する団体との経済的、学術的な関係を一切断つことである。なぜそこまでの考えに至るのだろうか。
近代のグローバルに拡大する反ユダヤ主義を研究するシンクタンクの一人、チャールス・アシャー・スモール博士( founding director and president of the Institute for the Study of Global Antisemitism & Policy)は、アメリカでのこうした運動の背景に、まず、白人優越につながる反発があると解説している。
すなわち、アパルトヘイト、入植地、帝国主義といった反黒人差別につながる感情が、イスラエルとユダヤ人に向けられているということである。
しかし、今回はそれにとどまらず、そうした感情を伴いつつ、イスラエルが、実際にパレスチナ人に対するジェノサイドを行っていると信じているため、学生たちが、絶対的な正義感で、イスラエルに反発しているということである。
カナダのトロント大学では、学生が、「10月7日、イスラエルは自国民を殺害し、それを使ってジェノサイドを正当化している」というプラカードを掲げている者もいた。
McGill. This, apparently, is what higher education now does to you. pic.twitter.com/t2wos9HclU
— Warren Kinsella (@kinsellawarren) May 2, 2024
陰謀論を思わせるようなコメントである。世界の頭脳と言ってもいい、優秀な学生たちがなぜそうなるのか。
スモール博士によると、コロンビア大学やUCLAでは、著名な教授たちが、10月7日のハマスの虐殺を、イスラエルの“占領”に対する正当な、抗議行動であるとの視点から、心理、哲学的論理で、解説していたという。
コロンビア大学のジェンダー問題を専門とする教授にいたっては、ハマスの性的暴力を、占領に対する、正当な抵抗運動と解説していたとのこと。
その背景にあるのが、イスラムに基づくカタールのアメリカはじめ、世界の名門大学への進出である。
スモール博士は、こうした背景に、カタールが、アメリカはじめ、世界の大学に世界最大級の資金援助を行っているため、多くの学術的研究プロジェクトのスポンサーになっている。このため、教育内容や、メディア部門にも影響力があると指摘する。
アメリカでは、2005年から、アメリカ・ムスリム・フォーパレスチナ(AMP)が、全国にオフィスを展開しているが、これは、カタールが支援するムスリム同胞団(ハマスの母体)による団体である。これが、今回のデモ拡大にも大きく影響していると言われている。
スモール教授は、カタールでは、本物のイスラム教徒なら、ヒトラーの仕事を完成させるべきとの教えがなされていたとのこと。(スモール教授の発言であり、確認できているわけではない)
したがって、カタールとイスラム同胞団の究極の目的は、イスラエル(イスラムからは小さなサタン)を世界から孤立させ、消滅させるとともに、昔からある反ユダヤ主義を使って、アメリカ(イスラムからは大きなサタン)を混乱させることであると、スモール博士は語っている。
アメリカがカタールにハマス指導者追放を要請:カイロでの交渉でのハマスの出方により
カタールは、ハマスの保護者的立場の国である。イシュマエル・ハニエなど、ハマス指導者らをその首都ドーハに滞在することを許可している他、ガザへの現金支援も行ってきた国である。
さらには、イランとも通じている国でもある。
イスラエルやユダヤ人関係者からは、だいたい、このカタールが、イスラエルとハマスの間の交渉役になっていることに反発の声もあるが、如何せん、現時点で、最もハマスと話ができる立場にあるのは、カタールなので、仲介役の中心を担ってきたということである。
*エジプトのシシ政権は、ハマスの母体であるムスリム兄弟団を弾圧する側に立っている。
アメリカは、10月7日の事件が発生した後、カタールに、ハマス指導者らの追放を要請していたが、実施されなかった。
アメリカは、もし、現在カイロで行われているイスラエルとハマスの交渉において、ハマスが今の条件を受け入れない場合、その報復として、カタールから追放するよう、要求したと報じられている。
今イスラエルが出している条件を、ハマスが受け入れるようにとの圧力のつもりかもしれないが、ハマス指導者らは、その場合は、トルコに移動すればいいだけなので、効果は疑問と、Times of Israelは見ている。