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ラファ侵攻その後:大きな戦闘なくケレン・シャローム検問所から物資搬入再開
6日、イスラエル軍は、ラファ南部にいた避難民、約10万人に海岸沿いの避難地域へ移動するよう警告し、その翌日、ラファ検問所のガザ側へ入り、ハマスとの戦闘の後、検問所周辺を制覇したと伝えられていた。
しかし、その後、その地域で、大きな戦闘があったといった報道はない。
アルジャジーラによると、ラファへの空爆が部分的にあったほかは、ガザ北部での戦闘の様子が伝えられているだけである。
ラファの検問所は今も閉鎖されているが、イスラエルは、5日のハマスの攻撃で、イスラエル兵4人が死亡して以来、閉鎖していた、ケレン・シャローム検問所からの支援物資の搬入を再開したと発表した。
国連はまだ入ってないと、イスラエルを非難していたが、以下の記事では、入っていくトラックの様子がみられる。
アメリカがラファ侵攻反対・武器支援を保留
アメリカは、イスラエルがハマスが承諾したという停戦案が、イスラエルが承認するとして提示していたものとは異なっていることを認め、イスラエルが承認できない事情は理解したと言っていた。
しかし、その後で、バイデン大統領が、イスラエルへの軍事支援を保留にしたと正式に発表した。NYTによると、保留にされるのは、爆弾約3500発。
www.nytimes.com/2024/05/08/us/politics/biden-bombs-israel.html
その理由として、「アメリカは、イスラエルの安全保障にコミットしてはいる。しかし、今、イスラエルに、民間人の犠牲を防止する十分な策があるとはいえず、今、ラファへ踏み込めば、多数の民間人の犠牲者が出る。そこにアメリカの武器が使われることは受け入れられない。」と表明した。
バイデン大統領自身、イスラエルに対し、「ラファ攻撃を中止するのか、(ラファを攻撃して)アメリカを失うかだ」とまで明言している。
ラファ検問所侵攻以後、今のところ、大きな動きがないのは、アメリカとの交渉が行われているのかもしれない。現在、CIAのバーンズ長官が、エジプトとカタールを訪問し、本日はイスラエルに来て、なんとか交渉を継続させようと奔走している。
また、イスラエルでは、13日日没から戦没者記念日、続く14日日没からは、76回目の独立記念日である。もし、ラファへの攻撃を開始するとすれば、独立記念の後になるのだろうか。それとも攻撃を中止するのか。しかし、中止して停戦に応じた場合、それはイスラエルの敗北ということにならないだろうか。
イスラエルのエルダン国連代表は、アメリカの動きに失望を表明した。
イスラエル国内の極右勢力と左派勢力のバランスとり?
国内では、引き続き、戦争ではなく、ハマスとの交渉をして、たとえ数人でも人質を取り戻すべきだとのデモも続いている。一方で、今、イスラエル軍がラファへ限定的に入ったことについて、実はまだラファへ入ったわけではなく、まだ検問所周辺のみであり、「ラファへ入った」という言い方は正確ではないとの指摘も出ている。
ハアレツの記事によると、今のラファへの限定的侵攻は、エジプトとアメリカへの圧力というだけでなく、強行的な攻撃を要求している極右政治家たちの政権離脱を防ぐためのゼスチャーだったのではないかとの見方もある。
しかし、バランスどころか、今、アメリカの動きを見て、イスラエル国内では、右派左派議員の間で、論議が激しくなっている。
リクードや右派系政治家たちからは、絶対にここで戦闘をやめるべきではないとの声が出ている。一方で、戦闘ではなく交渉を主張する左派勢、世俗派たちからは、ネタニヤフ首相は、国際社会でのイスラエルの立場をどんどん悪化させているとの批判が相次いでいる。
バイデン政権・苦悩の二面性
バイデン大統領は、最近、争いを前に、いったいどっちなのかという二面性の様相が続いている。それが、状況を悪化させているようにもみえる。
全米の大学で、2000人以上の逮捕者が出るほどの反イスラエルデモが発生する中、バイデン大統領は、言論の自由を支持するとしながら、暴力的なデモは批判した。
また、イスラエルについて、バイデン大統領は、イスラエル人が感動するような理解を語ることがある。デモがエスカレートする中で行われたホロコースト記念日のイベントでは、「人々は、10月7日のハマスのイスラエルへの暴力を忘れている」と指摘し、イスラエルメディアは、これを好意的に取り上げていた。
ところが、その後、上記のように、ハマスと戦うイスラエルへの武器支援を停止したわけである。イスラエルは支援するが、同時に“紳士的”なアメリカ大統領として、ガザの民間人が多数死亡するのを受け入れてまでも、イスラエルのラファへの攻撃を受け入れることはできないのである。
しかし、イスラエルが今、ラファへの攻撃をしなかった場合、ハマスが温存されることになり、将来のイスラエルの安全保障はない。大きな矛盾といえる。
バイデン大統領の本心はわからないが、どちらにもつけないと葛藤しているのだろうか。それとも、深い政治的計算で動いているのだろうか。。?
こういう点が、おそらく、トランプ前大統領との違いであろう。トランプ氏は、人にどうみられるかはほとんど気にしないで、それがいいかどうかは別として、どんどんはっきりした行動をとる。
トランプ氏は、「バイデン大統領はハマスに味方して、世界を第三次世界大戦に向かわせた。」との声明を出した。
ところで、バイデン大統領のすぐ近くにいるマイク・ジョンソン下院議長は、福音派クリスチャンで、アメリカがイスラエルへの武器支援保留に反対しているとのこと。
石のひとりごと
イスラエルはいよいよ、世界の中で共通した悪者との位置付けになりつつある。そうした中、今、世界で唯一の同盟国、アメリカの反対の中で、イスラエルがラファへ攻め込む可能性が出てきた。
もしそうなった場合、アメリカを含む全世界が、イスラエルを止めるためとして、集まってくる可能性もなきにしもあらず。。。
その時、欧米と対立する、ハマス、ヒズボラ、フーシ派、その背後のイランなどの中東諸国、ロシア、中国の対立、北朝鮮はどうなるのか。トランプ氏が言うように、世界は第三次世界大戦になってしまうか。
ではどう祈ったらいいのか。。主が、なんとしても、イスラエルとともに立ちつづけてくださること。時が遅すぎる前に、日本に、世界にリバイバルを起こしてくださるように。