ペンス副大統領がイスラエルを訪問した同じ日、パレスチナ自治政府のアッバス議長は、ブリュッセルのEU本部を訪問。EU諸国の外相たちに対し、東エルサレムを首都とするパレスチナの国をただちに承認するよう要請した。
アッバス議長は、トランプ大統領、ペンス副大統領といった名前はださなかったものの、ペンス副大統領の訪問と同じ日であったことから、アメリカに反発していることを明確にした形である。
しかし、アッバス議長が要請したように、EUがアメリカに対抗してただちにパレスチナを国家として認めることはないとの見通しである。
EUのモルゲニ外相は、エルサレムは大きな課題であると認識していると語り、「EUは、エルサレムをシェアする形での2国家案を支持する。」との立場を強調した。
<EUがグループとしてパレスチナを国と認めることは可能か?>
Eu加盟28カ国の中で、スウェーデンとポーランドを含む9カ国はすでにパレスチナを国と認めているが、グループとしてのEUは、まだ認めていない。
EUのルールとして、いかなる合意も、独立国のみが対象となるので、今のままで、イスラエル(独立国)とパレスチナの仲介はできないとする意見もある。
これについて、フランスが、パレスチナに関しては、「組合合意」という一段下がったレベルでの合意は可能なのではないか持ち出しているという。
いずれにしても、EUとしては、イスラエルやアメリカとの交易を犠牲にするわけにはいかないという事情もある。
アッバス議長は、仲介者としてのアメリカを見限り、今、EUと並行し、中国とロシアにもその役割を担うようアプローチをはじめているところである。