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カタールでの交渉は希望薄
ハマスが新たな人質解放への条件を出してきたことから、イスラエルも交渉に戻ることで合意。遅れての出発だったが、イスラエルからは、モサドのバルネア長官たちが、カタールへ向かった。交渉が18日夜から始まっている。
Times of Israelによると、ハマスは条件また変えているようである。アメリカのサリバン国家安全保障顧問によると、その条件は、イスラエルが受け入れるとは思えないものであったとして、交渉は「とらえどころのないもの」であったと語っている。
イスラエルの担当者は、交渉は、少なくとも2週間かかると試算している。2週間で何かが決まるのだろうか。ハマスはイスラエルの滅亡に全力を挙げているのであり、イスラエルもガザのハマスを完全に解体することを、絶対に変えない目標と言っているのである。
アメリカがラファ攻撃承認せず・武器供与遅れ?
ネタニヤフ首相は、ラマダンが終わってからになる?と匂わせているが、近くラファへの攻撃は必ず実施すると言っている。しかし、ラファには140万人とも言われる難民がぎっしりテントの中で生活しており、戦闘になれば、民間人にも膨大な犠牲が出ると予想されている。
アメリカは、イスラエルに対し、10月7日の残虐な行為に対して自衛する権利があると強調しながらも、ガザの民間人にはできるだけ犠牲が及ばないようにする策を求めている。
ラファへの攻撃も、できるだけ焦点を当てた攻撃で、民間人を守る具体的な方策があるなら、背後で認めるといった、微妙な態度を取り続けてきた。
しかし、ガザでの死者が3万人を超え、餓死の懸念も出てきたことを受けて、上院トップのシューマー氏(ユダヤ人)が、攻撃を意地でも実行しようとするネタニヤフ首相は、「道に迷っている。イスラエルにとって良い決断をしていない。」と厳しく批判する声明を出し、バイデン大統領もこれに同意するなぢ、アメリカのイスラエルへの友好関係に影がさしはじめている。
18日、バイデン大統領はネタニヤフ首相と45分に及ぶ電話会談を行った。
バイデン大統領は、改めて、ハマスの殲滅には同意しているが、ラファへの攻撃については、大勢の民間人が死亡するだけでなく、地域が無政府になる懸念を伝え、明らかにそれを防ぐ有効な策を出してもらいたいとネタニヤフ首相に伝えた。
www.jpost.com/breaking-news/article-792576
この電話会談を報告したサリバン国家治安大統領顧問は、18日、記者会見で、バイデン大統領と同様、イスラエルの防衛の権利を認めると繰り返しながら、ラファへの攻撃には、強い懸念を表明した。
その理由として次の3点を挙げた。①140万人もの人々おり、巻き添えの死者は膨大になる、②ラファは人道支援物資搬入の入り口の一つなので、戦闘中、支援物資の搬入が滞る、③エジプトが国境で敏感になっており、将来、イスラエルとの関係が悪くなる可能性がある。
アメリカは、イスラエルがラファへ攻撃しないで、目標を達成できるようにするため、イスラエルの代表団をワシントンへ招いて話し合う可能性もある。しかし、サリバン氏は、イスラエルがその前に攻撃を開始しないことを願うとも語っている。
アメリカはイスラエルに武器を供給する友好国である。先週、イスラエルの当局者が、ハマスとの戦争以来、アメリカのイスラエルへの武器搬送のスピードが落ちていると発言し、物議となった。アメリカはこれを否定している。
しかし、もし、イスラエルがラファへ攻撃を開始した場合、アメリカはこれに反対を表明しているので、イスラエルへの武器供与を本当に遅らせる可能性もありうる。サリバン氏は、将来の憶測にすぎないと語っている。
www.timesofisrael.com/israel-said-to-complain-of-slowdown-in-us-arms-deliveries-amid-growing-rift/
なお、アメリカ政府の中には、ネタニヤフ首相が、首相でなくなればいいのではないかとの声もあがっているとのこと。
ネタニヤフ首相は戦闘継続の決意と必要性を表明
ネタニヤフ首相は18日、エルサレムを訪問しているAPAC代表団を前に、イスラエルの将来のために、また私の考えでは、中東とその先のためにも「私たちは勝たなければならない」と語った。
戦闘を継続し、ハマス殲滅の目標を達成するとの決意が変わっていないこと。また、イスラエルは、そこに近づいていると強調した。
イスラエルがどこを目標にしているのかについては、ガザが危険でなくなるようにすることをあげた。また、今必要なことは、団結だと強調した。(語りかけたのはアメリカのユダヤ人たち)
アメリカの反ユダヤ主義暴力527%増加:イスラエルとユダヤ人の非人間化から暴力への発展懸念
オリーブ山通信ではまだまとめられていないのだが、ガザの悲惨すぎる様相をみせられている世界は、ますます反イスラエル、反ユダヤになりつつある。各地で大規模な反イスラエルのデモやラリー暴力も発生している。
世界ユダヤ会議のアーネスト・ヘルツォグ常務は、反ユダヤ主義の専門家は、比べることはできないものの、今世界は、ホロコーストの前の状態になりつつあると指摘する。
ホロコーストの暴力が始まる前、ドイツ社会では、ナチスのプロパガンダもあり、ユダヤ人の非人間化が見られた。ユダヤ人は悪魔関係者だとする考えが、社会の普通になったのである。それでドイツの社会は、アウシュビッツを受け入れてしまった。
反ユダヤ主義は、今に始まったことではなく。世界に2000年以上前から存在し、無意識のうちに人々の中で頭をもたげるものである。そこへ、今世界では、SNSが非常に有効に扇動し、プロパガンダの役割を果たすようになっている。今後が懸念されるとヘルツォグ氏は語っている。
石のひとりごと
今後、もしイスラエルが、ラファを攻撃して、大勢のガザの子供たちが犠牲になったりすると、イスラエルは悪魔だとする情報が拡散されるかもしれない。イスラエル人やユダヤ人へ暴力を振るうことが普通になっていくことも懸念される。
とはいえ、ではこのままラファを攻撃せず、ハマスを温存させたら、どうなるというのか。アメリカはそちら側の案も出すべきではないかと思う。イスラエルのラピード前首相も言っていた。「世界はなぜハマスに圧力をかけて、人質を出すようにしないのか」まさにそう思う。
イスラエルの第5代首相であったゴルダ・メイヤー氏が次のような言葉を残している。「世界は反発するユダヤ人を憎む。世界が私たちを愛するのは、私たちが惨めな時だけだ。」The world hates a Jew who hits back. The world loves us only when we are to be pitied.」