クリスマスイブの24日夕方から25日にかけて、イスラエルでは、待ちに待った雨が降った。しかし、降ったり止んだりの降ったとは言い切れないようなミゼラブルな雨であった。
現代イスラエルは、海水を淡水化するなどの技術があるため、日常生活にはほとんど影響がないのだが、実際には、ここ5年間、ずっと干ばつが続いている。これは、過去40年で最悪の事態だという。
イスラエルでは、通常、仮庵の祭りが終わった頃から雨が降り始めるのだが、今年も、まだ弱い雨が2回ぐらいしか降っていない。しかも例年より気温は暖かい日が続いている。気象学者によると、今年もイスラエルの農業が必要とする雨量の47%にとどまる見通しだという。
Yネットによると、豊かな湧き水で人々が渓流歩きを楽しむゴラン高原、テル・ダンの美しい渓流が干上がっている。
イスラエル国立公園ゴラン教育センターのナアマ・マンスフィールド氏によると、テル・ダンでは、渓流の流れが弱くなったことで、ゴラン高原にいる牛(バシャンの牛)など動物たちの糞が流れきらず、夏の暑さで危険な大腸菌が繁殖した。そのため観光客たちには、水のあるところには入らないよう、指示が出されたという。これは異例の事態である。
この影響が、イスラエルで最も肥えた地であり農業の中心であるフラ・バレーなど北部の農家が影響を受け始めている。この地方では、まだ海水から淡水化された水の供給が十分ではなく、自然の雨とゴラン高原からの湧き水、地下水が不可欠である。
雨が降らない上に、水の価格が上昇しはじめており、対策が急がれている。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5060767,00.html
<イスラエル政府農業相が断食と祈り集会よびかけ:嘆きの壁>
雨だけは、人間の努力でどうにかなるものではない。ラビたちは、「神はユダヤ人に対して怒っておられる。」として、断食と悔い改めをして神に雨をふらせてくださるよう祈れと呼びかけている。
ラビだけではない。イスラエル政府農業省のウリ・アリエル農業相が、21日木曜、嘆きの壁で、神に雨を求める祈り会を行うと発表し、広く市民たちにも参加するよう、呼びかけている。
祈りを導くのは、チーフ・ラビ局から、ラビ・ダビッド・ラウ、ラビ・イツハク・ヨセフで、農業従事者や、開拓入植者の指導者たちが参加する。そこに市民たちにも参加するよう、呼びかけているのである。
ウリ農業相によると、政府は、農家を助けるため、これまで、水道料金を下げたり、少ない水で育つ作物の研究に投資するなどしてきた。それでも干ばつは続いている。人間にできることは、もう祈りしかないということであろう。