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西岸地区でパレスチナ人逮捕相次ぐ
西岸地区や東エルサレムで、ハマス関連(背後にイランも関与)の活動が活発化しており、パレスチナ自治政府が手に負えないまでになっていることはお伝えしている通りである。
このため、イスラエルの治安部隊は、国内でのテロ行為を未然に防ぐため、自ら西岸地区へ踏みこむようになっている。当然、パレスチナ人とイスラエル治安部隊との暴力的な衝突が続いている。
*3-5月中の服数のテロ事件でイスラエル人19人死亡、同時期のイスラエルの西岸地区での踏み込み捜査中の衝突でパレスチナ人30人死亡(自治政府データ)
西岸地区で1日夜でパレスチナ人13人、17人逮捕
6月29日明け方までに、西岸地区ジェニンなどに踏み込んだイスラエル治安部隊とパレスチナ人の衝突で、パレスチナ人のモハンマド・マハー・マレイが死亡。合計13人が逮捕された。
2日前の27日には、夜まだ夜明け前までに、ジェニン、ラマラの郊外など複数の地域で、計17人のパレスチナ人が逮捕された。これに伴い、多数の武器が押収された。この作戦では、幸い双方に、負傷者は報告されていない。
このほか、28日、東エルサレムの旧市街、神殿の丘では、パレスチナ人が治安部隊隊員をナイフで刺そうとして逮捕された。このような事件は5月中にも発生していた。
西岸地区から、イスラエル側へテロ目的で侵入するパレスチナ人も後をたたないため、イスラエル軍はこの4月から、西岸地区との間に、まだ十分な防護壁がない地域に、あらたに9メートルの防護壁を再建中である。
このように、パレスチナ人との関係は、非常に険しいのだが、同時にイスラエルは、西岸地区やガザ地区から、パレスチナ人がイスラエル国内で働けるようにと、労働ビザを発給している。
ガザのパレスチナ人への労働ビザ発給については、ガザからのロケット弾攻撃があったことから、一時停止されていたが、約2週間後の22日、平穏が保たれることを条件に再開している。
今回、イスラエルは、新たに2000人を受け入れるとしており、計1万4000人がイスラエル国内で働いて、生計をたてることになる。イスラエルの国防省は、現状をみながら、今後、最大2万人までビザを出す予定とのこと。
なお、給与は、ガザでの平均日給は60シェケル(2400円)だが、イスラエルでは400シェケル(1万6000円)稼げるという。日本人もイスラエルで働きたいかも???
ガザにいるイスラエル人捕虜の健康悪化か
こうした中、ハマスは、28日、2015年の戦争以来、もう7年も捕虜にしているイスラエル人2人のうちの1人、ヒシャム・アル・サイードさん(イスラエル国籍のベドウイン・写真右)の健康状態が悪化していると連絡を入れてきた。
その後、サイードさんの映像を投稿している。レバノンのメディアによると、ハマスは、サイードさんと交換に、イスラエルの刑務所に収監されている病気のパレスチナ人すべてを引き渡すよう、要求しているという。
كتائب القسام تبث مشاهد للجندي في جيش الاحتلال الأسير لديها هشام السيد pic.twitter.com/9Q0vdcW6Dv
— وكالة شهاب للأنباء (@ShehabAgency) June 28, 2022
現在、ガザで、生きたまま捕虜になっているのは、サイードさんとアベラ・メンギツさん(エチオピア系ユダヤ人で2014年から捕虜)で、2人はどちらも精神障害があり、みずからガザ地区へ入っていったと考えられている。このほか、2015年の戦争以来、イスラエル兵2人の遺体が、ハマスに奪われたままである。
首相府は、ハマスが捕虜の2人がイスラエル兵士だと誤った認識を語っていると指摘。ラピード外相は、「病人を取引に使うような非人道的な組織だ。精神障害がある2人をこれほど長く捕虜にするなど残酷極まりない。」と非難した。。
ガンツ防衛省は、この情報が真実かどうかわからないとした。つまり、ハマスの要求に応じないということである。
イスラエルは、2011年、当時ハマスに人質になっていたイスラエル兵シャリートさんを取り戻すために、要求に応じて、イスラエルに収監されていたパレスチナ人テロリスト1027人を釈放したことがある。
結果、その1027人の中から、多数の凶悪なテロ事件を引き起こす者が現れ、多数のイスラエル人が犠牲になった。もはや、イスラエルが、簡単に捕虜交換に応じることはないとみられる。
www.timesofisrael.com/hamas-releases-footage-showing-israeli-captive-hooked-up-to-oxygen/