エルサレムでのバス停爆破事件の前日にあたる22日朝、西岸地区のパレスチナ人地域ジェニンの病院から、自動車事故で重傷となり、病院で死亡していたとみられるイスラエル国籍のドルーズ族、ティラン・フェロさん(18)の遺体が拉致された。
ティランさんは、カルメル山のドルーズ族地域、ダリアット・アル・カルメルの住民である。なぜジェニンにいて、そこで交通事故にまきこまれたかは不明だが、パレスチナ人に、イスラエルのスパイと間違われたもようである。
ティランさんの叔父は、パレスチナ人が、ティランさんが、まだ人工呼吸器につながって生存しているのに、それを遮断して拉致し、結果的に死亡したと主張。激しい怒りを表明した。その後、ダリアット・アル・カルメルでは、ドルーズたちの群衆が、遺体をすぐに返すよう主張するデモを行った。
דלית אל כרמל👇 pic.twitter.com/v4yyKf3whB
— Real News IL (@RealNewsIL) November 23, 2022
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さらに遺体を奪還しにジェニンヘ乗り込む勢いとなっていた。しかし、その背後でイスラエルとパレスチナ自治政府が、交渉していたのだろう。事件発生から30時間後の24日早朝、遺体が家族に返還された。交渉には、パレスチナ自治政府と、イスラエル軍のCOGAT(イスラエルとパレスチナの間で人道・実質的なことを取り扱う)、警察、国際組織、特に、カタール、ヨルダン、エジプトの代表も加わっていたとのこと。
遺体を拉致したテロリストは、さまざまな組織に属しており、既存の組織と断定しにくいという。もし、ティランさんの遺体の奪還に失敗して、イスラエルのドルーズ族がジェニンに殴り込んでいたら、パレスチナ自治政府の手には追えなくなり、大混乱になる可能性もあった。自治政府がかなり、必死に遺体の奪還に働いたとのことである。葬儀は、無事、本日午後に行われる。
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*ドルーズ族
もとはイスラム教シーア派から出ているが、その後、異端とされ、イスラムからはイスラム教の一派とは考えられていない。独特の信仰、独特の服装などもあるが、一般の大学で勉強するなど社会参画も普通にしている。
ドルーズは、レバノン、シリア、イスラエルに分散して住んでいる。基本的に在住する国に忠誠であることから、イスラエルにいるドルーズは、イスラエルに忠実で、アラビア語を理解することから、イスラエルの警察や刑務所で働く人も多い。