独裁・中東の覇者へ一直線か?トルコ 2016.3.6

自爆テロが続いて、シリアのクルド勢力を攻撃。難民がおしよせてEUとも対立と、災難を次々招いているようなトルコ。今度は、政府に批判的な大手新聞社ザマンを政府管理下に置くという、民主主義国家とは思えない動きに出て、国際社会を懸念させている。

土曜、イスタンブールでは、これに反対する市民ら500人ほどが、ザマン本社周辺に集結して抗議デモを行ったが、トルコの治安部隊が催涙弾を使うなどしてデモ隊を蹴散らした。その後、このニュースはすっかりなくなったことから、今回もトルコ政府がすっかりとおさえこんだものとみられる。

エルドアン大統領は、2年前までは首相だった。しかし、強硬的に大統領のイスを設立し、自分がその座に納まり、その後は、そのカリスマを活かして、次々とトルコを動かしている。

大統領になった2014年、エルドアン大統領は、1000部屋もあり、6億1500万ドル(700億円程度)もする超が3つつきそうな”ホワイト・パラス(白い宮殿)”を公表した。

エルドアン大統領が住むこの宮殿は、ホワイトハウスよりも、モスクワのクレムリンよりも、パリのベルサイユ宮殿よりも大きいという。かつての偉大なオスマン・トルコ帝国をめざすと言っているエルドアン大統領らしい宮殿である。

www.bbc.com/news/world-europe-30061107 (豪華な宮殿・BBC)

<トルコ・イランとの協力へ>

そのトルコだが、イスタンブールでの暴動とほぼ同時期に、余裕でダウトオール首相をイランに派遣していた。トルコはスンニ派で、サウジアラビアと欧米NATO軍の側にいる国。イランはシーア派でいわば、敵対している国である。

イランを訪問したトルコのダウトオール首相は、ロウハニ大統領に会い、「シリア問題について両国の立場は違っているが、これ以上の流血を防ぐため、イランとトルコが協力するべきだ。」と伝えた。

また両国の貿易を増加することでも合意した。

<トルコとシリア難民状況>

シリア難民はまずトルコにのがれ、そこからギリシャ、マケドニアを通ってヨーロッパに入るルートをたどる。現在、トルコとシリアの国境、シリア側にシリア難民が足止めになっている。またギリシャとマケドニア国境には3万人を超える難民が、足止めとなっている。

マケドニアの難民キャンプでは、伝染病やのみがわくなど健康被害が懸念されている。しかし、今のところ、足止めになっている難民がヨーロッパに向う見通しはまったく立っていない。

ヨーロッパは、シリアからの入り口になるトルコに、これ以上、シリア難民を通さないようにと圧力をかけるとみられている。しかしそれでは難民はどこへ行けというのだろうか。難民の様子は悲惨きわまりない。本来ならシリアに帰れるようにできれば最善だが、シリアに帰れる見通しはまったくない。

シリア、イラクから来て、マケドニアで足止めになっている難民:1500人がせいいっぱいの場所に1万3000人以上がいる上、まだ日々新しい難民が到着している。

www.bbc.com/news/world-europe-35738842

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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