民族浄化!?:ミャンマーのロヒンギャ難民問題 2017.9.12

仏教国ミャンマーで、少数派イスラムのロヒンギャ難民問題が再び悲惨なことになってきた。

ロヒンギャといえば、最近では、2015年、ミャンマーから迫害を逃れて海へでたものの、周辺諸国のどの国からも引き取り手がなく、海上をただ漂流しつづけたことがニュースになった人々である。

このロヒンジャが、今回は、陸路バングラディッシュへと逃れ始め、今やその数37万人になっているという。住む場所はおろか、食べ物もなく、引き取り手もなく、まったく行き場のない、悲惨きわまりないロヒンギャの人々の様子が報じられている。

今回の難民流出については、先月、ミャンマーのロヒンギャ居住地アラカン州で、ミャンマー軍と武装化した「アラカン・ロヒンギャ救世軍」との間で武装闘争になり、双方で100人以上の犠牲者が出たことが発端となった。

この衝突を機に、ロヒンギャの村が広範囲に襲われ、村が焼き払われたため、ロヒンギャの人々が避難を強いられたのである。

問題は、だれがロヒンギャたちの村を焼き払ったのかだが、ロヒンギャたちは、ミャンマー軍兵士だと主張するのに対し、ミャンマー政府は、ロヒンギャ自身も関係するイスラム過激派グループだと主張する。事実は不明のままだ。

バングラデッシュは、ミャンマーがこれらの人々を受け入れるべきだと主張しているが、とりあえずは、国境に難民キャンプを設置して、そこに置くことには同意しているようである。しかし、難民キャンプでは、なんの基準も、決まりもないまま、無法状態である。

国際社会からの支援が来ると、飢えた難民たちが一気に殺到し、大混乱の中、物資を奪い合っている様子が報じられている。その姿はあまりにも悲惨だ。さらに悲惨なのは、この人々には正式な国籍がないということである。このため、ここからどこへも行けないという事態になっている。

BBCによると、ロヒンギャたちの中に、両足を失ったような負傷者がいるという。彼らの逃亡経路に地雷が埋めてあり、それを踏んだ難民たちがひどい負傷を負っているのである。

国際社会は、ミャンマー政府が、ロヒンギャたちを抹殺し、民族浄化を図っているのではないかと指摘している。

www.bbc.com/news/av/world-asia-41233481/rohingyas-in-bangladesh-desperate-for-aid (BBCミャンマー関係ビデオ)

www.bbc.com/japanese/41235882(日本語)

<国籍のない流浪の民>

ロヒンギャの人々は、ミャンマーに住んでいはいるのだが、ミャンマー政府は、彼らをベンガル地方から違法にミャンマーに入ってきた不法移民だとみなす。1982年からは、正式に国民ではないとされた。このため、ミャンマーの国籍はない。

ミャンマー政府は、”ロヒンギャ”という名前すら受け入れず、「ベンガル人」という呼び名を貫いている。このため、難民の責任を追及されても、いっさいそれを認めないのである。

一方、バングラディッシュ側も、ロヒンギャはミャンマー人であると主張して譲ら無い。今難民となっている人々は、どこにも所属がなく、助ける義務を負う国がどこにもないという、世界から拒絶された人々なのである。

ところで、ミャンマーといえば、ノーベル平和賞を受賞したアウン=サン=スーチー氏がいるが、この問題に介入する様子はなく、批判が殺到している。平和賞を取り上げるべきだとの声もある。

しかし、ロヒンギャの問題は、かなり奥が深く、スーチー氏が介入しない(できない)理由もうかがえないわけではない・・という歴史がある。そこには、第二次世界対戦で、ミャンマー(当時はビルマ)を一時支配した日本も、一役かっているという事実もあった。

<日本も無関係ではないミャンマーの民族紛争>

パレスチナ問題も同様、20世紀には、イギリスがあちこちで今にいたる国際紛争を生み出したようである。ミャンマーは、当時インドを支配していたイギリスに併合された時代があり、この時に、仏教徒が主流のミャンマーの海沿い、ラカイン州地域に、ベンガル人が多数流入するようになったのである。その中にはイスラム教徒もおり、ロヒンギャの元になったと思われる。

実際、ロヒンギャの人々は、皮膚の色も黒く、顔の堀が深く、一般の仏教徒ミャンマー人とは、見た目も違う。どちらかといえば、インド人に近い。このためミャンマーとしては、ロヒンギャは、ミャンマー人ではなく、ベンガル人だと主張するのである。

第二次世界対戦中は、日本軍が来て、一時この地域を支配したが、この時、日本軍は、ミャンマーの仏教徒を武装させ、イギリス軍との戦いに協力させた。一方、イギリス軍は、このベンガル人らを武装させ、日本軍との戦いに協力させたのである。

しかし、やがてこの図式が、仏教徒とイスラム教徒の戦いへと発展し、今に至ったということである。

しかしながら、今いる一般のロヒンギャの人々、子供達にとっては、こうした歴史的な流れは無関係なのであり、ただ一人の人間として、きちんと国籍を与えられ、保護される権利があるというものである。泣き叫ぶロヒンギャの人々の様子に心が傷む。ただ祈るしかない。

<石のひとりごと>

世界はますます混乱を極めようとしている。戦争があり、暴虐があり、これまでにないひどい災害が発生している。かつて神はノアに仰せられた。「すべての肉なるものの終わりが、わたしの前に来ている。」確かに地球は聖書のいう終わりに向かっているようである。

それにしても・・いつもながら、日本から出て、エルサレムでテレビのニュースをひらけば、あまりにも悲惨な世界の様子にいつもながらうちのめされる。

私たち日本人は、外からの脅威におぼやかされた歴史がほとんどないという、世界有数、いやもしかしたら世界一恵まれた民族かもしれない。

世界には、非常に悪いものを受けている人々がいる。私自身はこれまで非常によきものばかりを与えられてきたのだと思う。主の前に感謝するとともに畏れも感じている。

石堂ゆみ

石堂ゆみ

ジャーナリスト、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイド、イスラエル政府公認ガイドとして活動しています。 イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて18年。学校・企業・教会などで講演して15年になります。

3 comments

初めてコメントいたします。

>>日本も無関係では無いミャンマーの民族紛争。

このような事は安易に言わないで頂きたいですね。貴方はWW2時に日本側がミャンマー人を武装させて…英国側がロヒンギャ族を武装させて戦わせた為にと仰りられていますが…そうなった原因は他方からロヒンギャを連れて来て英国の手先として使い、ビルマ人から過酷な搾取をした英国の植民地統治の仕方に禍根の元があるんですから。日本軍が行く前からロヒンギャはビルマ人から憎まれていたんですよ。日本軍が行く前から英国の手先として特権に肖ってきたロヒンギャと過酷な搾取に苦しんでいたビルマ人との間でイスラムvs仏教徒の対立の根は張られてしまっていたんです。
だからロヒンギャは特権を失いたくない一心で英国側に付き、ビルマ人の方は解放の旗手として日本軍を熱狂的歓呼で喜び迎え日本側に付いた。英国統治下で燻っていた問題が表面化しただけで日本の進軍が原因なのではありまん。原因はイギリス統治のせいです。

>>日本も無関係ではない。

だから何だと言うんですか?
何が言いたいのか解らないんですけど?
日本に出来る事なんて無いですよ。

数年前にタイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン等で受け入れ拒否されて海を漂うロヒンギャ族の難民を日本が受け入れましたが(というか勝手に船で乗り込んでき来た) そのロヒンギャが在日ミャンマー大使館の前で抗議デモを行ない暴れたりしましたね。日本の警察も大迷惑してましたわ。
あの連中は本来なら英国が引き取るべき難民じゃないですか?白人の手先として現地人から搾取する事で特権の上にヌクヌクしてきた連中の子孫でしょ?それ故に現地人から憎まれて戦後は行き場を無くした人々ですが…元は英国が蒔いた種です。これ以上の事は日本には出来ません!英国が責任取るべきです。イスラム住民は日本でも増えていて問題を起こしつつあります。安易に「日本も無関係では無い」などとは言わないで頂きたいです。

因みにロヒンギャというのは彼等が自称しているだけです。アレは民族的にベンガル人です。英国が併合した際に英国の尖兵として送り込まれビルマ(ミャンマー)に攻め込んで来てアラカンを滅茶苦茶に蹂躙したベンガル人の子孫です。その連中が現在はロヒンギャと勝手に自称しているだけ…。
ですからロヒンギャをベンガル人だというミャンマー側の主張は正しいのですよ。元々はアラカンに居なかったのがロヒンギャですから。まぁこうした事情はBBCでは言わないでしょうね。
ですから日本軍の進行が原因なのではなく日本軍の進行により前々から英国に因って作られた原因が【表面化】したにすぎないというのが妥当ですね。

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