感染うなぎのぼり:人口100万人あたりイスラエルが世界最悪 2020.9.28

人口100万人あたりの患者数(紺色がイスラエルのライン) 出展: Channel 12

世界の新型コロナによる、または関連死の死者数は、ついに100万人を超えた。ヨーロッパでも感染がじわじわ増えている中、イスラエルの24時間の新規感染者は、先週後半から3日連続で8000人を超えた。

昨日土曜は、ロックダウンに入った上、安息日でもあったので、検査数が少なかったせいか、24時間の感染者数5855人にまで”減った”。しかし、日曜になり、検査数が6万人台に戻ると、感染者数も8315人に戻っている。

検査数に対する陽性率は、14%から15%を超えて16%近くと、驚異的な数字が続く。これまでに感染したとされる人は、22万9148人で、イスラエルの総人口(924万6000人)の2.5%に近づいている。別の言い方では、イスラエル人の40人に1人は感染している計算である。

人口100万人あたりの感染者数は199人で、イスラエルは、アメリカ、ブラジルを抜いて世界最悪となった。

www.ynetnews.com/article/rkGaAs6Hw

重症化、死者も増え続けている。入院を要する人は、6万9629人、このうち、重症者は最新のデータで、767人、196人が人工呼吸器依存である。この予備軍ともいえる中等度の人は、267人。イスラエルに既存する病院で対処できる重症者は800人なので、限界は目前である。

 

死者数(紺色がイスラエル)
出展:Channel 12

死者は、連日20−30人で、最新データによると死者累計は、1450人。イスラエルでは、感染者数は多いのだが、高齢者への感染が少ないこともあることや、医療施設の充実もあり、死亡率は、0.6%と最低限で抑えられている。

しかし、チェジー・レビ保健省長官は、「今、イスラエルは今、もう手に負えない状況にある。」と警告した。

ガムズ教授が始めた軍による大規模クラスター対策班については、システムが完成して効果的に機能するのは、11月になるとみられており、今の爆発感染拡大にはもはや間に合わないとみられている。準備開始時が遅すぎたと考えられている。

病院では、退職した医療従事者を呼び集めるなどの対策を急いでいる他、ハイファとペタフ・ティクバの戦時用、地下駐車場の野戦病院を準備、開設したところである。

www.timesofisrael.com/health-ministry-chief-lockdown-to-continue-israel-near-point-of-no-return/

ネタニヤフ首相は、第1波の時のロックダウンの解除を急ぎすぎたと、国民に謝罪。今また改めて、ロックダウンするとともに、それぞれが感染予防に努めるよう要請するメッセージを出した。

www.timesofisrael.com/netanyahu-admits-mistakes-made-as-8221-new-coronavirus-cases-confirmed/

<感染が深刻な地域の感染者の割合:超正統派地域:25%/アラブ人地域10−15%>

全国的なロックダウンではあるが、地域別にみると、明らかに最も深刻なのが超正統派地域で、アラブ人地域がそれに続く形が続いている。両地域ともに多くの子供達を含む大家族である。

感染者の年齢別の内訳でいくと、最近のデータでは、(0−19歳)33.6%、(20−39歳)31.4%、(40−59歳)23.5%、(70−79歳)9.1%、(80歳以上)は1.7%である。幼児は感染しにくいが、それ以上の子供達、若者がキャリアになるという傾向はイスラエルでも同じである。

エルサレムポストによると、超正統派地域で感染者が819人発覚した際、半分以上の514人が26歳以下のイシバ学生であった。この無症状の若い感染者たちが、大家族の家に帰ることで、大人や高齢者たちに感染を拡大しているとみられる。特にローシュハシャナ(新年)で集まったことの結果が今出始めているとみられている。

地域別でみると、エルサレムが最も多く、全感染者の14%にあたる3万2673人。次にブネイ・ブラック、アシュドドでいずれも超正統派地域。これに続くのが世俗派地域のテルアビブ・ヤッフォなどとなっている。

corona.mako.co.il

<これからどうするのか>

これからのポイントは、これから感染が下火になっていくかであるとともに、2週間後、ロックダウンをどう解除していくかである。どう解除していくかが勝負で、下手をすると第三波、第4波と続いていく可能性があるとの懸念も広がっている。

結局のところ、最後の望みは、国民が意識して、マスクをつけて、手を洗い、ディスタンスを守ることしかない。政府が混乱している以上、個々人が自覚して感染予防策を取っていくしかないということである。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。