ベネット首相とプーチン大統領電話会談 :ウクライナに武器供与しないイスラエルの読みとは? 2022.2.28

October 22, 2021. (Kobi Gideon/GPO)

ベネット首相とプーチン大統領電話会談:27日

イスラエルは、これまでロシアを名指しで非難することを控え、ロシアとの関係を維持する立場を守ろうとしている。その結果、ロシアは、イスラエルのシリアでの対イラン攻撃を黙認する方針を変えることはないとの確約を取ることができた。

www.timesofisrael.com/russia-says-military-coordination-with-israel-in-syria-will-continue-as-usual/

これを受けて、ベネット首相は昨夜深夜前に、プーチン大統領と電話会談し、ロシアとウクライナ、両方と深い関係を持つ国として、仲介を申し出た。しかし、その時には、もうロシアはすでに、ベラルーシとの国境に、ウクライナとの交渉のための代表団を派遣したあとだった。プーチン大統領は、その申し出を断ったとのこと。この電話会談は、ロシアのウクライナ侵攻以来初めてであった。

またベネット首相は、この時の会話の中で、イスラエルが、ウクライナに人道支援物資を送るが、それ以外の武器はないことを約束して、その許可をとったとのこと。ベネット首相は、これに先立ってのゼレンスキー大統領との電話会談で、大統領の武器供与の要請を辞退したと伝えられていた。

www.timesofisrael.com/bennett-declined-ukrainian-request-for-military-aid-report-says/

イスラエルはウクライナへの武器供与はしない:将来の仲介も視野か?

欧米各国が、ウクライナに武器を供与しているが、イスラエルは、ゼレンスキー大統領からの要望もある中、武器の供与はしないことを決めた。

イスラエルは、おそらくヨーロッパのどの国よりもウクライナに関係する国民を抱えている国である。戦争という事態になれば、イスラエルほど優秀な国はないだろう。それが今、ウクライナへの軍事支援をしないと決断するには、相当な理由があることと思われる。

またアメリカもイスラエルにとっては最大の友好国なので、ウクライナへの支援をしないとなると、バイデン大統領との関係にも微妙に水をさすことになるかもしれない。

それでもなお、今、明確にロシアを敵に回さないという背景には、ウクライナ、ロシア双方にいる大勢のイスラエル人とユダヤ人を守るためであり、イスラエル自身をイランの脅威から守るためである。しかし、それだけではないという分析がある。

たとえば、今、イスラエルがロシアを敵にまわし、明らかに欧米入りしてもさほど大きな影響はないだろう。昨日、ベネット首相が、今この時に、その仲介の役割を買って出たが、拒否されたということは、今はその時ではなかったということの確認になったということである。

しかし、もし、将来、どうしても仲介者が必要になった時、その時には、今ロシアが敵視していないイスラエルだけが、仲介者になれる可能性が出てくる。どこも皆、ロシアに敵対しているからである。

また、そのときになって、ウクライナはじめ欧米の信頼も失っていてはならないので、今、イスラエルは、武器供与はしないが、大規模な人道支援をウクライナに送ると発表している。その中には、食糧や医薬品といった物だけでなく、最新技術による浄水のシステムや、医療チームという人材派遣も含まれている。

www.timesofisrael.com/why-a-clear-moral-anti-russian-stance-from-israel-might-not-be-good-for-anyone/

イスラエル自身を守るだけでなく、同時に将来、世界の祝福にもなれるかもしれないという道である。

石のひとりごと

ここまで考えている国は他にあるだろうか。イスラエルは、今懸念されることを恐れていないということである。つくづく、イスラエルは、実質思考であり、先読みの国であり、他国にどう思われるかとか、関係維持のおつきあいだけで、動く国ではないということをあらためて思わされた。

しかし、今仲介できなかったので、これから先、ウクライナで大きな戦争が待っているのかもしれないが、なんとかこのイスラエルの読みが当たって、両国の仲介ができればと思う。もしくは、読みがはずれて、今日の交渉で、ロシアが戦闘をやめるかだが。。。

石堂ゆみ

石堂ゆみ

ジャーナリスト、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて18年。学校・企業・教会などで講演して15年になります。