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バイデン大統領とプーチン大統領の電話会談
ウクライナを包囲する10万以上のロシア軍。その一部が、キエフにも近いベラルーシで軍事演習をするとともに、黒海でも6隻もの上陸戦艦が訓練を開始する。
きわめて、危険な様相になる中、12日(金曜)、バイデン大統領はプーチン大統領と62分間の電話会談を行った。
バイデン大統領は、ロシアが懸念するNATOの東方進出に対する懸念を払拭しうるような合意案も提案したようだが、受け入れられなかった。プーチン大統領は、これについて、アメリカからの実質的な提示がなかったと言っている。
また、バイデン大統領は、もしロシアがウクライナへ侵攻したら、同盟国と共に厳しい措置(経済制裁)を貸すことになり、ロシアは厳しい代償を払うことになる、多くの人を傷つけ、ロシアの地位も低下するだろうと警告した。
しかし、プーチン大統領に態度の変更はなかった。これにより、アメリカは、ロシアが外交的にこの問題を終えようとする意図がないのではとの見方になったもようである。
edition.cnn.com/2022/02/12/politics/biden-putin-call-ukraine/index.html
www.cnn.co.jp/world/35183446.html
安息日の緊急会議:イスラエル人を12日までに退避させる方針決定
この会談の後、ロシアは、16日(水曜)にもウクライナへの侵攻を開始するという見通しが、世界に発信された。イスラエルには、アメリカから直接、詳しい情報が伝えられたもようである。
それによると、早ければ15日(火曜)にも侵攻が始まる可能性とされていたとのこと。今、アフガニスタンの時のように、事態が急速に悪化し、まもなくウクライナ国外へ出る民間機が、発着できなくなる可能性がある。
これを受けて、ベネット首相は、12日、土曜安息日にもかかわらず、ラピード外相と緊急会議を行い、その後、治安と外交のトップレベルでも会議を行い、ウクライナにいるイスラエル市民を緊急に火曜日までに脱出させる方針を固めた。
ベネット首相は土曜日中に、ウクライナにいるイスラエル人に、至急、国外へ退避するよう呼びかけた。正統派のベネット首相が、安息日に動いていることからも、事態がいかに緊急かが読み取れるだろう。
現時点で、ウクライナにいると正式に登録しているイスラエル人は4500人。実際には、1万から1万5000人はいると推定されている。現在、民間航空会社エルアル、イスレア、アルキアが、増便して、イスラエル人の退避を急いでいる。(来週中32便、うち10便は48時間以内)
無論、現時点では民間機による移送が好ましいのではあるが、軍による移送も必要になるかもしれないとの見通しから、ガンツ防衛相は、その準備をするよう指示を出したとのこと。
大勢の緊急移住にも備え
また、ウクライナには、まだイスラエル国籍をとっていないユダヤ人が、最大拡大解釈で20万人ほどいる。このうち7万5000人は、危険なウクライナ東部に住んでいる。
イギリスのユダヤ人団体によると、緊急の移住に備えた準備も進められているもようで、ウクライナ東部で活動していたこの団体のスタッフやユダヤ機関スタッフ、シニアスタッフを除いて、13日には退避する。
外務省は、キエフにいた大使館職員とその家族はすでに退避させたが、大使館業務は増大する中でも継続できるよう、イスラエルからの応援人員を派遣した。ガンツ防衛相は、軍に、大勢の一斉緊急移住じ備えるよう指示を出したとのこと。
ベネット首相と外務省は、この動きに伴ってロシア軍が差し迫っているためというような、ロシアを名指しする声明は、政府はもとより、民間レベルでも出すことがないようにと指示を出している。
イスラエルは、シリアにイランが進出する事を防ぐため、水面下でこれを攻撃する作戦を続けているが、これが可能なのは、ロシアの黙認があるからである。イスラエルとしては、この件で、ロシアとの良好な関係を失うことはあってはならないことである。
ウクライナ危機・イラン危機・台湾危機とアメリカ:イスラエルの立場
プーチン大統領は、ロシアはウクライナに侵攻するつもりはないとし、欧米はこれまでになくヒステリックになっていると指摘した。またウクライナのゼレンスキー大統領は、国際社会がパニックになって動くことは、ウクライナの助けにならないと世界にむけて訴えた。最終的に戦争になった場合、戦場になるのは、ウクライナなのである。
確かに、アメリカが、世界のパニックを煽っているといえばそうかもしれないが、ロシアが、10万を超える軍を国境に配備し、そこでいかにも侵攻しそうな訓練を行っているとなると、いくらロシアが侵攻するつもりはないと言っても、楽観的に構えることは難しいだろう。
またロシアが、がんとしてウクライナのNATO加盟を認めないとすれば、もはや、ウクライナを取り戻すことがロシアの最初からの目標と考える方が、自然かもしれない。では、どんなふうに戦争が始まるのか。
どちらかの偶発的な発砲や、情報操作などで、アメリカが先に攻撃させられるとか、戦争に発展するさまざまなシナリオは、様々ありうる。アメリカが言っているように、いつ戦争に発展してもおかしくないというのが現状である。
しかしながら、大きく深く考えると、このウクライナ問題と、イランとの新たな核合意の問題、中国の台湾侵攻問題、また北朝鮮のミサイル発射問題など、いわば、アメリカの弱体化により、表に出てきたとも考えられている。
アメリカとしては、今、ウクライナ問題で、権威を取り戻したいところであり、アメリカが実はウクライナ問題で、事態を炎上させ、ロシアとの対立を通して、その権威をとりもどそうとしているのではないかとの分析もある。しかし、そうであるなら、もし、それに失敗すれば、それこそ世界は、まさにGゼロ、リーダー不在の世界になる。世界は今、大きな転換期に立っているのかもしれない。
こうした中で今、生き残りをかけて、アメリカともロシアともよい関係を維持しなければならないイスラエルにとっては、本当に難しい事態である。
ただイスラエルの最終的な目標は、ユダヤ人の国として、一人でも多くのユダヤ人の命を守ること。その一言につきるだろう。