ガザとの衝突が続いていた26日(金)、ネタニヤフ首相が極秘にオマーンを公式訪問していた。訪問の公式発表は、ネタニヤフ首相が、帰国してから行われた。
www.jpost.com/Israel-News/Netanyahu-makes-historic-visit-to-Oman-570388
イスラエルの首相がオマーンを公式訪問するのは、これが初めてではない。1996年にシモン・ペレス当時首相がオマーンを公式訪問し、一時はイスラエルの貿易事務所がオマーンに置かれた。しかし、4年後の第二インティファーダで閉鎖され、以後両国の経済関係は発展していなかった。
今回、特記すべきことは、ネタニヤフ首相のオマーン訪問が、オマーンのスルタン(国王のようなもの)、カブース・ビン・サイード・アル・サイードからの公式の招待によって実現したという点である。
ネタニヤフ首相の訪問の数日前、スルタン・カブースは、パレスチナ自治政府のアッバス議長を公式に招待しており、イスラエルとパレスチナの仲介にも一役買う意気込みがあるとみられる。
オマーンのユーセフ・ビン・アラウィ外相は、同時期に開催されていたバハレーンでの治安サミットにおいて、「イスラエルは中東に存在している。中東の皆はそれを理解している。世界も同様だ。そろそろイスラエルを国として認め、その義務を果たしてもらう時がきたのではないか。」との認識を語った。
<オマーンでの国際道路・交通議会にカッツ交通相招待:イスラエル閣僚の招待は初>
オマーンは、ネタニヤフ首相に続き、来週開催される国際道路・交通議会に、イスラエルのカッツ運輸交通相を招待した。この会議にイスラエルの交通相が招かれるのは初めてである。
カッツ交通相相は、地中海からイスラエルとヨルダンを通過して、ペルシャ湾に至る鉄道のビジョンを持っている。カッツ交通相はこのビジョンを中東での国際交通会議でプレゼンすることになっている。
この他、29日には、ドバイで開かれる国際メディア・カンファレンスにイスラエルのアユーブ・カラ・コミュニケーション相が参加する。
アブダビでの国際柔道トーナメントには、イスラエルの文化・スポーツ大臣のレゲブ氏が、アブダビ入りし、訪問中にアブダビ最大のモスコを訪問した。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5382508,00.html
<ネタニヤフ首相には渡りに船>
ネタニヤフ首相は、湾岸アラブ諸国との関係改善が、パレスチナ人とのなんらかの和平にもつながるか、逆にパレスチナ人との和平が先になって、湾岸アラブ諸国との国交回復につながっていくとの関係を語っている。
オマーンからの公式招待は、ネタニヤフ首相には渡りに船であった。ネタニヤフ首相とともに、オマーンへ同行したのは、モサド長官のヨシ・コーヘン長官他、国家治安アドバイザー、首相府長官、首相府軍事秘書であった。ネタニヤフ首相のリキが感じられる。
オマーン以外にもイスラエルの閣僚を招く湾岸アラブ諸国が出てきたことも、ネタニヤフ首相には朗報である。このような流れになってきたのは、両者が、イランという共通の敵をもつようになってきたからである。
湾岸アラブ諸国の代表はサウジアラビアだが、今、自国民のジャーナリスト、ジャマル・カショギ記者を、領事館にて拷問の上、殺害したというスキャンダルで立場が危うくなっている。これはまたアメリカをもピンチに追い込むスキャンダルであった。
その中での今回のオマーンの動きである。オマーンは、アメリカに経済いおいて大いに依存しているため、この背後にアメリカが動いている可能性もうかがえる。
ところで、アメリカは、イスラエルとパレスチナとの和平案を発表するといいながら、なかなかそのよき時期を見出せず、今もなお発表されていない。湾岸諸国がイスラエルに敵対しないということを確認してから、発表するのではないかとの見方もある。
ただし、アメリカが発表する予定の中東和平案が、イスラエルに好意的かどうかは、まだ不透明である。