シリア・世界ドナー会議:ロンドン 2016.2.4

<シリア和平会議は延期:実質頓挫か>

シリア問題を解決するために、国連主導で、アサド政権と反政府勢力の代表が同席する交渉が計画され、双方の代表団がジュネーブに到着した。今回の目標は、シリア内部にいる18地域1350万人の市民への人道支援の実現だった。

しかし、アサド政権側は、反政府勢力をきちんとテロ組織と区別しない限り、国連の人道支援でも協力はできないと強気の主張。アサド政権の背後にいるイランとロシアもこれに同調している。

BBCによると、ロシアが本格介入して以来、アサド政権は、反政府勢力に奪われた領地を次々に奪回している。ロシアとイランは、シリアに地上軍を派遣しているため、両国の協力がないと、いかに国連でもシリア国内に入るのは難しい。

一方、反政府勢力だが、本来欧米諸国がついているはずだった。しかし、欧米と同盟国は空爆と多少の地上軍支援だけであるため、どうしても、ロシアを味方に持つアサド政権に対し劣勢となっている。

この段階では、実質的な合意は無理との見通しから、デミストゥーラ国連シリア問題特使は、会議を2月末まで延期すると発表した。

mainichi.jp/articles/20160205/k00/00m/030/029000c

<世界ドナー国会議>

解決への見通しが遠のいたが、シリア難民は400万人が国外へ、国内では600万人が難民となり、シリア領内では、自宅にとどまっている人も含め1350万人が緊急に人道支援を必要としている。なんとかしなければならない。

ヨルダンなど難民を受け入れている周辺諸国は、もはや限界をとうに超え、そこにとどまる難民たちの生活は悲惨きわまっている。ここからまたテロは発生して行くことは避けられないことと懸念される。

本日4日からは、ロンドンで、シリア難民に対処するためのドナー会議が行われた。出席したのは日本を含む60カ国。目標額は90億ドル(約1兆円)だったが、実際には100億ドルの約束がなされた。

これほど額が大きくなったのは2015年のドナー会議で約束された額で、実際に送金されたのは43%(29億ドル)にとどまったからである。今回も、約束はしても実際に送金するかどうかは不明・・・

シリア問題。やはり人間の手には負えない状況になりつつある。

なお、2015年の最大支援国はアメリカで、次はイギリス。日本は10番目の支援国である。今回の会議については外務省からの情報はまだない。
www.bbc.com/news/world-middle-east-35488674

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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