ガザ激戦中:これまでにハマス5〜6000人死亡とIDF・トンネル海水注入案も 2023.12.6

ガザ内部の戦闘員 IDF

カン・ユニスで激戦中:これまでにハマス指導者5人・5000〜6000人死亡か

IDF 報道

ハマスとの交渉が破綻して以来、イスラエル軍は、空軍と空挺部隊に加わり、数千人規模の地上軍(戦車部隊、戦闘員、工兵部隊)を派遣し、残党ハマスと追っている。

その規模は、10月7日以降、最大規模だという。IDFによると、これまでにハマス5000〜6000人(総数2万人と推定)を殺害し、少なくとも5人の中心的指導者の排除に成功したとのこと。

IDFによると、現在の戦闘は、第3段階であり、焦点は、ガザ北部のジャバリヤとシジャイヤ、ガザ南部のカン・ユニスである。この3箇所は、まさにハマスが拠点としている地域であり、全滅させるまでにまだ数週間はかかるとみられている。

特にカン・ユニスは、100万人が住んでおり、その下には、数十キロに及ぶトンネル網がはりめぐらされている。IDFは、休戦中にこの地域に関する情報をかなり集めており、5日の時点で、イスラエルはカン・ユニスを包囲したとのこと。

www.ynetnews.com/article/syrh7p2ba#autoplay

以下は、ジャバリヤかシジャイヤへのイスラエル空軍による空爆で、ロケット弾の隠し場所を破壊したか、大きな火炎があがっているのがわかる。

この間、現地朝から夕刻にかけて、ガザからまだロケット弾が、発射され続けている。最長では、40キロ離れたベエルシェバでサイレンがなったが、被害はなかった。

イスラエル軍3日で9人戦死

4日、イスラエル軍では5人が戦死。続いて5日にも2人が戦死した。ガザ内部での地上戦が始まってからの戦死は82人となった。

4日に死亡が確認されたのは、エイタン・フィスチ大尉(23)、ヤハル・ガジット大尉(24)、ツバル・ヤアコブ・ツァナニ兵士(20)、ヤキル・ヤディディヤ・シェンコレフスキー軍曹(21)ギル・ダニエルス上等軍曹(34)、

5日に死亡したのは、マタン・ダマリ上等軍曹(31)、イライ・エリヤフ上等軍曹(23)

www.timesofisrael.com/idf-raids-hamass-general-security-hq-in-jabaliya-expands-ground-ops-in-south-gaza/

その後新たに6日に死亡した2人の戦死者の報道が出た。ヨナタン・マルカ一等軍曹(23)、ヨハイ・グール・ハルシュバーグ少佐(52)

 

 

ガザ民間人の様子:ハマス1人につき民間人3人犠牲か

IDFは、ガザを600箇所以上に分けて、焦点のあたった警報と避難勧告を出し、安全地帯として指定されている地域へ避難するよう指示している。特にジャバリヤとシジャイヤでは、西側海岸方面への避難させることに成功したとIDFは報告している。カン・ユニスについては、やはり海岸沿いにあるアル・ムワシが安全地帯に指定されている。

www.timesofisrael.com/idf-officials-2-civilian-deaths-for-every-1-hamas-fighter-killed-in-gaza/

しかし、アルジャジーラによると、相変わらず破壊された建物から犠牲者を救出する様子が伝えられている。ある建物には、避難してきた150人がいる中で攻撃されたため45人以上が死亡したと言っている。

しかし、イスラエルが攻撃しているのは、ハマスの拠点や武器庫などのみであり、巻き添えになりそうな地域には上記のように綿密に避難指令を出している。もしこのアルジャジーラの報道が正しいとすれば、この人々は、まさに人間の盾だったということである。しかし、ガザの人々も馬鹿ではないことと、イスラエルが人々の避難に成功したと報告していることから、おそらく、人々は攻撃前に逃げていたのではないかと思う。

ガザ保健省(つまりはハマス)によると、これまでの死者は、1万6200人以上とのこと。もしこれが正しいとすれば、死者のうち5000〜6000人がハマスとして、ハマス1人につき3人の民間人が犠牲になっていることになる。*イスラエル軍はハマス1人につき民間人2人と試算している。

www.aljazeera.com/gallery/2023/12/5/searching-for-survivors-after-israeli-attack-on-central-gaza-building

今後の見通し:ホワイトハウスはあと数週間・1月には終わる?

ホワイトハウスがCNNに語ったところによると、イスラエルは、ガザでの戦闘をあと数週間、1月には終えるのではないかとの見通しを語っている。

www.israelnationalnews.com/news/381491

戦闘の中で、注目されている点は次の2点

1)トンネルに海水注入案

ガザの地下トンネルの破壊で、浮上しているのが、大量の海水をトンネルの中に流し込むことである。イスラエル軍は、先月、ガザ市アルシャティ難民キャンプ近くに、1時間に数千キロリットルに及ぶ海水の放水も可能になる、5台の大型給水ポンプを設置していた。

これについては、ガザの水道システムが破壊されると懸念されることや、人質のことも懸念されるのか、まだ実行には至っていない。報道官もそれについては、明確にしていない。ハレヴィ参謀総長は、これについては、「よい考えだ」と語っている。

www.timesofisrael.com/idf-chief-says-flooding-gaza-tunnels-with-seawater-a-good-idea/

www.jpost.com/breaking-news/article-776594

2)ハマストップ・ヤヒヤ・シンワルに焦点

現在のガザのハマスのトップは、ヤヒヤ・シンワル(61)である。イスラエル軍は、特にシンワルがいる場所を追跡している。5日、ハレヴィ参謀総長は、IDFが、カン・ユニス中心部にせまっており、シンワルにも到達する可能性に言及している。シンワルを倒せば、状況が劇的に変わる可能性があるとみられている。

www.jpost.com/israel-news/defense-news/article-776715

*ヤヒヤ・シンワル

Yahya Sinwar (Photo: EPA)

ヤヒヤ・シンワルは、1962年ガザのカンユニス難民キャンプで生まれ育った。両親は、今のアシュケロンに住んでいたが、イスラエル建国の際にガザに逃げて、そのままになっている。

シンワルは、20歳の時に最初にテロ行為でイスラエルに逮捕された。1986年にハマスが設立されると、その一員として、ガザ内部で裏切り者を摘発する警察のような働きを担当し、12人のパレスチナ人を殺害したこともあり、ハマス創始者ヤシン師に訴えられたこともある。22歳で、イスラエル兵2人を誘拐・殺害し、同時にパレスチナ人4人を殺害していた件で、イスラエルに再逮捕され、以後、22年も刑務所にいた。

そこでヘブライ語をマスターし、ニュースを見ながら、イスラエルのエキスパートになったとみられる。人質を取る方法を外のハマスに指示したのはシンワルだったと言われている。そうして2011年、シンワルは、ハマスに誘拐され5年になっていたイスラエル兵、ギラッド・シャリートさんとの交換で釈放された1062人のパレスチナ囚人の1人として、ガザに返り咲いたのであった。

シンワルはその6年後の2017年にハマスのトップとなった。その後、イスラエルは何度か暗殺を試みたが失敗している。なお、シンワルと共に釈放された1000人以上のパレスチナ人は、その後10年以内にほぼ全員再逮捕されている。

シンワルは、2021年にトップとして再選された際に、洪水のようにイスラエルにパレスチナ人がなだれ込むとの計画を示唆していた。そのままが10月7日に起こったことである。

22年間もイスラエルの刑務所にいながら、イスラエル殲滅の思いはまったく失せていないことからも、今起こっていることは、彼自身の信仰に基づく宗教戦争であることがわかる。その場合、自分や仲間が死ぬことは栄誉として考えられるので、ガザ市民が犠牲になることはいうまでもなく、まったく悪とは考えないということである。

石堂ゆみ

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。