ガザとの戦闘中に発生した、国内でのアラブ人とユダヤ人の衝突は、停戦以来、今のところ、メディアを騒がせるような大きな衝突には発生していない。(国境や西岸地区では発生している)
ガザとの戦闘中に発生した国内での暴動、暴行で、先週までに警察が逮捕した人数は1550人にのぼった。
ニューヨークタイムスが報じたところによると、このうち70%がアラブ人で30%がユダヤ人とのこと。ユダヤ人の方が少ないと非難されているが、近年、アラブ人地域では、暴力団による殺人事件が頻発しており、その対策も含まれていたと警察は言っている。
アラブ人居住地での治安の悪化は、以前からアラブ系市民が訴えていたことで、実際、アラブ政党ラアムも、政権への協力の条件の一つとしてアラブ人居住地での治安の強化を挙げている点である。
www.timesofisrael.com/over-1550-suspects-arrested-in-jewish-arab-rioting/
こうした中30日、2週間前の夜間、エルサレムのマハネイ・ヤフダ市場のアグリッパ通りで発生した乱闘で、アラブ人男性(25)を10回以上刺して大怪我をさせたとして、逮捕されていた極右ユダヤ人4人の求刑が確定した。
4人ともテロ行為の殺人未遂で、一人は悪質で意図的ながついての殺人未遂とされた。
被害にあったアラブ人男性は、肺や肝臓にまで至る刺し傷を負って病院に搬送されたが、その後回復し、すでに退院している。
www.timesofisrael.com/four-jews-charged-with-terrorism-after-allegedly-stabbing-arab-in-jerusalem/
<石のひとりごと>
極右はアラブ人だけでなく、ユダヤ人の中にもいる。しかし、こんな暴動がマハネイ・ヤフダで発生したことになんともいえない思いがする。
マハネイ・ヤフダは通常は、エルサレムのカラフルで賑やかなオープンマーケットである。焼き立てのそれはおいしいパン、オリーブや果物、野菜、豆類、にぎやかな売り子の声。ユダヤ人に混じって多くのアラブ人も店を構えているし、ユダヤ人の店で働くアラブ人も多くいる。
観光客も来るし、超正統派も買い物にきている。兵士も警察官も普通にいる。路上アーティストもいれば、時々は選挙に向けた運動もある。通常の日常においては、ユダヤ人もアラブ人も皆が生計を立てている、いわば、すでに共存が実現しているかのような場所なのである。
しかし、完全には平穏であるとはいえないのだろう。ここではかつて大きな自爆テロもなんども発生した。イスラエルでは、暴力の爆発が、突然やってくるかもしれず、それらは人間の予想や思いをはるかに超えたところで、引き起こされているように思う。しかし、それでもすぐにまた日常に戻るのである。「異常事態が日常である国」といわれたりするが、エルサレムの人々にとっては、そういう日常もまた日常なのである。選択肢はないといえる。