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イスラエル軍がイスラム聖戦トップ指導者3人暗殺
9日深夜2時、戦闘機、ヘリコプターなどを含む40機ものイスラエル空軍機が、ガザ北部、カン・ユニス難民キャンプエリアへの空爆を行った。これにより、イスラム聖戦のトップ指導者3人を含む13人が死亡。20人が負傷した。
イスラム聖戦のトップ指導者が死亡していることから、攻撃の応酬が、数日間続く可能性があるとイスラエル軍はみている。激しい戦闘に備え、予備役も招集したとのこと。
現在、ガザ国境周辺に在住する住民に避難指示が出され、滞在先のホテルなどの宿泊先も準備された。少し内陸のベエルシェバや、ラキシュでも学校は休校。屋外活動も休止の指示が出ている。
Footage documenting one of the Israeli airstrikes on Khan Yunis, south of the Gaza Strip, earlier tonight. pic.twitter.com/A4Ae8sp8Rt
— Quds News Network (@QudsNen) May 9, 2023
死亡したイスラム聖戦指導者はベテラン指導者
今回、イスラム聖戦はトップに数えられる指導者を三人失った。以下はイスラエル軍からの情報である。
カリル・バヒティニは、ガザ北部のクッズ旅団指導者で、90年代の自爆テロ時代からのベテランテロリストである。現在は、イスラエルへのロケット攻撃はじめ、市民へのテロを指導していた。前任者が、昨年イスラエルに殺された後、このポジションに就任していた。(写真左端)
ジャヒード・アヒマン(62)はかつてガザ南部の総司令官をしていたほどのベテランで、高齢ながら、資金や武器をイスラム聖戦やハマスに運ぶ働きをしていた。(写真右端)
テレク・アサルジン(49)は、西岸地区出身で、ガザを行き来して、テロ活動に必要な資金や武器を運搬していた。自爆テロの2000年代にイスラエルの刑務所で服役した経過があった。(写真中央)
www.timesofisrael.com/israeli-forces-bomb-islamic-jihad-terror-group-in-gaza/
夜中ということもあり、3人は妻や子供たちとともに死亡したと、エルサレムポストは伝えている。
www.jpost.com/israel-news/article-742477
ネタニヤフ首相の決断はどこから?
イスラエルでは、先週、イスラム聖戦指導者ハダール・アドナン(45)が、イスラエルの刑務所でのハンガーストで死亡し、その反応でガザから100発以上のロケット弾が打ち込まれたところであった。
この攻撃で外国人1人が重傷となったが、死者も、特に大きな被害も出ていないからか、ネタニヤフ首相はすぐに反撃をしなかった。
ネタニヤフ主層がいつものピンポイント攻撃を返したのは、早朝の攻撃に対して、夜になってからであった。その後、大きな衝突には発展しなかった。
この対応について、ベン・グビル氏ら極右政治家らからは、甘いと激しい反発が出た。ベン・グビル氏は、この時のネタニヤフ首相の対応に反発し、その後の閣議を欠席することで、その不満を表明するにいたった。これに対し、ネタニヤフ首相は、連立政権から出たいなら出たらよいと言い返すなど、政権内部の分裂が懸念される事態となった。
こうした背景、経過の中で、これほどハイレベルのイスラム聖戦司令官たちを3人も暗殺したということである。イスラエルの治安維持には必要だったとは思うが、背景に何か政治的な理由もあったかもしれない。
ガザを支配するのはハマスなので、今、イスラエルはハマスの出方に注目する。しかし、攻撃から6時間以上経つが、今の所、まだガザからの反撃の報告はない。
ハマスは、「イスラエルはこの支払いをすることになるだろう」との声明を出している。しかし、ライバル組織のために、ハマスが動くかどうかは不明との見方もある。
いずれにしても、現時点では、南部住民は避難し、緊張はかなり高まっている。