コロナ鍋真っ最中の4月23日に始まったイスラム教のラマダン。毎日日中の断食と夜には家族親族が集まって毎夜、賑やかに食事を共にする。
このため、感染が爆発的に拡大するのではないかと懸念されていたが、5月24日、無事終了。その後から2日間、ラマダン終了を祝うエイド・アル・フィトレも26日日没で終わる。
イスラエル国内では、ユダヤ人居住地に比べて、アラブ人居住地での検査が進まず、感染が進んでいるのではないかと懸念されたが、最終的に、アラブ人の間で、感染者も死者も多く出ることもなかったわけである。これは東エルサレムも含めてである。
政府からの正式なデータではないが、タウブセンター(私立統計機関)によると、イスラエル総人口の13%はアラブ人とベドウインである中、アラブ人・ベドウインで感染した人は、9%にとどまっていた。
ナハリヤのガリラヤ医療センターの疫学専門家のアグファ氏は、イスラエルでの新型コロナ犠牲者280人のうち、アラブ人は10人以下だとみている。
ただし、これらの数字は、ユダヤ人とアラブ人が混ざっている地域の数字は含んでいないことと、人口5000人以下の小さな村では、正確な数字が公式に出ていこないため、統計に反映されないということを加味しなければならないとのこと。
また、ユダヤ人より、アラブ人の方が感染率が低いという点については、今回、特に超正統派ユダヤ教徒の間で感染が拡大が顕著であったこと、また、アラブ人より、ユダヤ人の方が、海外への出入りが激しかったということもあるだろう。
またアグファ氏は、アラブ人社会では、世代を超えて家族が共に住んでおり、特にクラスターになりやすかった高齢者ホームがないということも要因の一つではないかと語っている。
また、アグファ氏は、イスラム教指導者たちが、意外にも素早く、地域のロックダウンとともに、モスクを閉じて、オンラインでの礼拝に変えたことも上げている。
イスラエルのアラブ人たちは、多くが医療関係者でもあるため、各地に医療的な知識が広まりやすかったとも分析している。
www.timesofisrael.com/jubilant-over-low-virus-rates-arab-israelis-enjoy-eid-as-pandemic-victory-day/
*中東アラブ諸国の感染状況:ジョンズ・ホプキンス大学データ(26日)
www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/world-data/
パレスチナ自治政府:感染者423人、死者7人(ガザ1人)
ヨルダン:感染者711人、死者9人 エジプト:感染者1万7967人、死者783人
レバノン:感染者1119人、死者26人 サウジアラビア:感染者74795人、死者399人
トルコ:感染者15万7814人、死者4369人 イラン:13万7724人、死者7451人
<石のひとりごと:まだまだ謎の新型コロナ>
この3月から5月、世界は文字通り、新型コロナにふりまわされた。まだ未知の部分が多く、油断もできない。感染しやすい人、しにくかった人、軽症で終わる人と重症化して死に至る人の違いに至るまで、まだ多くはわからないままである。
日本は、感染も死者数も少なかったため、WHOは「成功」との評価を出した。しかし後手にまわることが多いという危機管理のまずさ、かなりのIT後進国ぶりからすると、日本がとった作戦がうまくいったというよりは、まったく神の憐れみであったと、へりくだって考える方がよいのではないかと・・・これは石のひとりごとである。
しかし、専門家自身も、ほんとうにうまくいったのか、解除後もやもやが続くとの記事もある。(日経新聞)
www.nikkei.com/article/DGXMZO59532670V20C20A5I00000/?n_cid=NMAIL007_20200526_H
そのまずさが、逆に益になったという考え方もあるが、それならそれで、何が功を奏したのかを分析し、次回に役立てられたら世界の祝福になれるだろう。
いずれにしても勝負はこれからだ。第二波が来る前の今のこの間に、検査、医療システム上の改善や、呼吸器など物品の準備と医療授時者の訓練、必要なIT化を急ぐとともに、なぜ日本は少なかったのか、日本でも研究が進み、ワクチンや治療薬の開発世界の祝福になれればと思う。