イスラエルの新型コロナ免疫達成率:20−30% 2021.2.1

ワクチン接種会場 スクリーンショットhttps://www.youtube.com/watch?v=Pyfvq4tfhu8

感染から1年:イスラエルの免疫達成率

イスラエルは、新型コロナとの戦いを治安維持と同レベルで対応してきた。その戦い方とは、①無症状者を含む大規模な検査と、濃厚接触者洗い出し検査による陽性者の隔離、②教育機関を含む厳しいロックダウン、③空港、地上国境からの入国停止、③全国民へのワクチン接種である。

しかし、以下にも述べるが、ロックダウンは特に超正統派地域で、十分には守られておらず、マスクの着用もかなりいい加減という状況であった。

この状態で、どのぐらいの免疫達成率が得られたのかの記事が出ていた。免疫達成率とはすなわち、新型コロナを撃退する抗体を備えた人間の割合を意味する。これが70%程度になると集団免疫の状態になり、ウイルスは、寄生する十分な人体がないので、消滅に向かうことになる。

イスラエルは、感染拡大が、かなり深刻なので、実際に感染して抗体を自分で作って免疫を備えた人も少なくない。これに世界最速のワクチン接種で免疫を得た人が加わっている。保健省の発表によると、現時点で、地域差はあるものの、全国で、20−30%の免疫達成率に至っていると推測されている。

最も達成率が高いのはハイファで31.65%。感染して抗体を得た人は1万1521人。ワクチンで抗体を得た人が7万5000人。テルアビブは、27.96%。感染で抗体を得た人は1万6755人。ワクチンが10万9131人。

エルサレムは、低い方で21.22%。9万3000人(全住民の約10%)が感染しての抗体、10万人がワクチンによる抗体である。

興味ふかいのは、超正統派の町、ブネイ・ブラック。免疫達成率は、26.56%だが、感染して抗体を得た人の方が多く、3万7217人。ワクチンからは1万4652人となっている。超正統派たちの地域では、このケースのような傾向になっている。これは、超正統派人口では、子供が多く、ワクチン接種を受ける順番がまだ回ってきていない人の数が多いことも考慮しなければならない。

最も免疫率が低いのは、住民のほとんどがアラブ人であるナザレ。免疫達成率は、18.25%。感染で免疫を得た人が6436人。ワクチンが7845人。アラブ系住民は、検査にもワクチンにも消極的であることがわかっている。

www.ynetnews.com/health_science/article/SJ8VPwEed

ワクチン接種と感染の現状:若年僧の重症化増加

イスラエルで、ワクチン接種(1回目のみの人を含む)を受けた人は、全人口の32%にあたる300万人以上。2回目も完了した人は、17万2865人で、全人口の18.76%。特に70歳から79歳の高齢者の92%はすでに1回目接種を終え、2回目も終えた人は約80%である。現在は、重要な試験に備える16歳以上のティーンエイジャーたちの接種が始まっている。

情報管理が一元化されていることもあり、接種にかかる時間は一人約10分だという。多くの人が接種を受けて安全性が明らかになるにつれ、接種に消極的であった人も接種に来るようになっていきているとのこと。

今、世界では、ワクチンの争奪戦になっているが、イスラエルにその心配はない。ネタニヤフ首相が相当早くから、ファイザーと直接交渉を繰り返し、かつ表示価格より多い金額を申し出た。加えて、接種を受けた人々の医療情報を提供し、今後の開発に協力すると約束したことで、すでに国民全員分のワクチンを確保している。

もしワクチン接種がこのままですすめば、本当に、3月末までに、16歳以上の全国民への接種を終え、世界で最初に集団免疫を獲得し、新型コロナに勝利することも期待できるかもしれない。

しかし、現状がまだ楽観視できる状態にはまだほど遠い。イギリス型はじめ、複数の変異種が検出されている。イスラエルの感染者は減少傾向にはあるが、まだ毎日5000人程度で、陽性率は10%(検査2万6000件)と高止まりが続く。

重症者は1162人。人工呼吸器依存者は298人。死者は、毎日20〜30人以上(28日は64人)とまだ高どまりが続いており、死者合計は、4745人。このうち、1000人以上(全死者数の25%)が、1月に入ってからの死亡である。イスラエルにとって、新型コロナほど手強いテロリストは未だ経験したことがないという見方である。

www.timesofisrael.com/over-3-million-receive-1st-vaccine-shot-but-covid-outbreak-still-raging/

さらに懸念されることは、今、若年層に感染と重症化が拡大しているという点。保健省公衆衛生担当者によると、40歳以下で、ECMO(人口肺)に依存する重症者が25人。人工呼吸器依存は17人。感染者の中で、教育機関に関係する感染者は40%に上っている。このため、ワクチンは16歳以下にも必要だとの懸念があがってきている。

www.ynetnews.com/article/HkjMjDNed

政府は、5時間以上に上る論議の後、死者をこれ以上出したくないということと、ワクチン作戦を無事終えることを最優先にしたいというネタニヤフ首相の主張により、1月31日までであったロックダウンを5日間延長することを決めた。(後述)

www.timesofisrael.com/israel-to-send-palestinians-5000-coronavirus-vaccine-doses-for-health-workers/

石堂ゆみ

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。