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ハマスとイスラエルの交渉が、まだ合意に至らないまま先行きが見えず、イスラエルがいよいよラファへ侵攻するかという事態になっている。しかし、世界はまだ諦めずに、なんとかそれを阻止しようとしている。
イスラエルからの歩み寄りオファーをハマスはどうするか
カタールが若干お手上げの様子を見せた後、現時点では、エジプトが、本腰を入れて、人質解放と停戦への交渉を試みている。
伝えられているところによると、週末に、イスラエルは、人質130人のうち、40人の解放を要求していたところ、33人に減らしている。
イスラエルが人質の数を減らしたのは、それ以外は死んでいるとの見方もある。その33人との交換に数千人のテロリストを釈放するとしている。
さらにイスラエルは、40日間、停戦とするという、譲歩案を出しており、これでもだめならラファ攻撃を開始すると最後宣告のような声明を出している。
ブリンケン国務長官は、イスラエルがかなり、かなりと強調しつつ、譲歩しているのだから、ハマスはそれに合意することを望むと声明を出している。
www.timesofisrael.com/blinken-hopes-hamas-takes-israels-extraordinarily-generous-truce-offer/
ハマスは、昨日29日(月)、カタールとエジプトの仲介者に、イスラエルからの提案に対する返答を表明する予定だった。しかし、その内容について、「これまでと目立った違いはなかった」と述べ、合意する動きには出ていない。
イスラエルは、本日、カイロの代表団を送り出すとのことだったが、ハマスの返答を待つとして、派遣を保留にしたとのこと。
いわば、最後の試みであり、これで交渉が挫傷すれば、イスラエルのラファ攻撃が始まる可能性が高まっている。
アメリカがサウジアラビアとの国交正常化で、イスラエルのラファ侵攻停止説得急ぐ:ブリンケン国務長官中東歴訪開始
1) サウジアラビアとイスラエルの国交正常化への働きかけ
アメリカはそれでもまだ諦めていない。Times of Israelによると、昨日から、中東全体を視野に入れて情勢沈静化を目指すアメリカのブリンケン国務長官が、皮切りとなるサウジアラビアを訪問している。
アメリカは、イスラエルにサウジアラビアとの国交正常化という大きなアメをもたらすことで、ガザへの侵攻を思い止まらせようとしている。
ブリンケン国務長官は、サウジアラビアの後、イスラエルとヨルダンを訪問する予定である。
サウジアラビアは、イスラエルとの国交を、受け入れてもいいと匂わせながらも、パレスチナ国家をイスラエルが認めることを明確な条件にあげている。
このため、ブリンケン国務長官は、イスラエルにパレスチナ国家を認めるよう、圧力をかけている。
無論、イスラエルにとっても、サウジアラビアとの国交正常化は、魅力的な話だが、その条件として出されている、パレスチナ国家を認めることは、およそ不可能である。
パレスチナ人が住んでいるガザは言うまでもなく、西岸地区にもイスラエル殲滅を狙うハマスはじめ、さまざまな過激派組織がとぐろをまいている。そこに、過激ユダヤ人たちも負けておらず、暴力の応酬はエスカレートを続けて、死者も相次いでいる。
パレスチナ自治政府はこれに全く対処できていない。だからイスラエル軍が入って対処せざるを得ないのだが、それを世界は、イスラエルの占領というわけである。
これが現状であるそ自治政府をかしらとするパレスチナ国家を、隣人として正式に受け入れることは、ネタニヤフ首相が言うように、非現実的でしかない。
2) アメリカと17カ国がハマスに人質解放を要求声明
こうした中、25日、アメリカは、17カ国を率いて、ハマスに対し、すみやかに人質を解放するように訴える共同声明を出していた。17カ国は、人質になっているイスラエル人の中で、二重国籍を持つ人々が所属する国々である。
先週、アメリカ国籍も持つイスラエル人、ハーシュ・ゴールドバーグ・ボーリンさん(24)のビデオが、公開されたあと、アメリカがようやく、ハマスへの直接の圧力を公にした形である。
17カ国とは、アルゼンチン、オーストリア、ブラジル、イギリス、ブルガリア、カナダ、コロンビア、デンマーク、フランス、ドイツ、ハンガリー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、セルビア、スペイン、タイ、となっている。
イスラエル人の多様性には驚かされるところだが、これをみても、イスラエルとハマスの戦いが、世界にも影響を及ぼすものであることを象徴しているかのようである。
ハマスへの厳しい声明を出すと同時に、アメリカは、26日、ガザ沖に、支援物資搬入様の桟橋建設(3億2000万ドル)を開始した。
アメリカは、イスラエルを支えるが、同時にガザの人々への人道支援も忘れていないという、バイデン大統領のダブルスタンダード?と揶揄される方針を見せている。
jp.reuters.com/world/us/WEVNBY4EYRK3DCDN55YTBQ6CLM-2024-04-25/
イスラエル国内のハマスとの交渉優先デモ続く:“ラファは待てる“
強硬姿勢を崩さない政府に対し、ラファ侵攻よりもハマスとの交渉をすすめて、人質解放を優先するよう、訴えるデモは毎週続けられている。
昨日29日、テルアビブで、数千人が、ラファ侵攻より、ハマスとの交渉を行い、戦闘ではなく、交渉で人質を取り戻せと訴えるデモを行った。こうしたデモは、反政府、ネタニヤフ政権打倒、また極右政治家たちへの非難を訴えている。今週も、警察と暴力沙汰の衝突となり、5人が逮捕された。
אלפים בשער בגין לפני דקות אחדות בקריאה לשחרור החטופים. (קרדיט: שב"פ) @N12News pic.twitter.com/EedPRl18DM
— אור רביד | Or Ravid (@OrRavid) April 29, 2024
石のひとりごと
歴史を振り返れば、外の敵よりも、国内の分裂がイスラエルに最も大きな危機であったことは、イスラエル人なら誰もが知っているパターンである。
しかし、デモをしている人々も、ネタニヤフ首相も、どちらもが自分こそ、国にとって正義だと信じているので、一致を祈ろうにも、どうにも非現実的にみえるだけである。
イスラエルを一致させるのは、共通の敵、イランのような存在でしかない。一致を祈って外敵を呼び寄せるのも嫌な話である。
私たちには、もはや、どうしたらいいのか、どうなったらいいのかもわからない。そういう時は、「主よ。何か言ってください!何かしてください!」と祈れとは、ニューヨークのディアナ牧師がいつも言っていることである。