アブラハム合意に参加し、イスラエルとの友好関係にも積極的な国、UAE(アラブ首長国連邦)の首都アブダビで、11月21日(木)、ユダヤ教正統派ハバッド派のラビ・ズヴィ・コーガン(28)が拉致され、3日後の24日の(日)、オマーンとの国境近く(アブダビから150キロ)で遺体となって発見された。
UAEは、ラビ・コーガンが拉致されてからすぐに捜査を開始しており、すでに、殺害に関係した3人を逮捕したと発表している。しかし、詳細は明らかにしていない。遺体は、25日(月)、イスラエルに送還予定とのこと。
UAEは、イスラエルとの実質的な外交、貿易、技術開発に力を入れていた国であるため、駐米UAE大使が、ショックをXに投稿していた。ネタニヤフ首相も反ユダヤ主義暴力だと非難する声明を出した。
ネタニヤフ首相は、「凶悪な反ユダヤ主義テロ行為だ」と非難し、テロリストを裁くために全力を尽くすと表明した。
*IDFにも従軍経験を持つラビ・ズヴィ・コーガン氏(28)
ラビ・ズヴィ・コーガン氏は、モルドバ国籍と二重国籍を持つイスラエル人。ユダヤ教正統派ハバッド派に所属しつつ、IDFでの兵役も務めた経験を持つ。
2020年、アブラハム合意が成立したことを受けて、以来、UAEには、イスラエル人やユダヤ人人口が増える傾向にある。
この中で、ラビ・コーガンは、モルドバ国籍を使って、妻のリヴキーさんとともに、UAEのアブダビに住むようになった。
アブダビとドバイで、コシェル(ユダヤ教律法に即した食物)食品店、リモン・マーケットを経営し、他のラビとともに、ユダヤ教教育センターを設立するなど、UAE在住ユダヤ人の宗教的ケアを担当していた。
しかし、Times of Israelによると、ドバイのリモン・マーケットは、ガザでの戦争が始まって以来、親パレスチナ勢力のオンライン攻撃の的になっていたという。ラビ・コーガンの殺害が報じられて以来、店は閉鎖している。
ラビ・コーガンの妻のリヴキーさんは、2008年にインドのムンバイで発生した、シナゴーグ襲撃テロで殺害されたラビ・ガブリエル・ホルツバーグの姪であった。リヴキーさんは、家族をテロで失う2回目となった。
www.timesofisrael.com/united-arab-emirates-arrests-three-suspects-in-killing-of-chabad-rabbi/
*ハバッド派
ハバッド派は、ユダヤ人がいるところなら、どこへでも行って、その国に定住し、そこにいるユダヤ人たちにユダヤ人としての生活ができるよう、またあらゆる支援を行なっている。緊急時にも対応する。
Ynetによると、ラビは、全世界に6000人とのこと。日本でも神戸と東京に拠点がある。
派閥からの経済的な支援はなく、それぞれのラビが、献身し、その地に一生を捧げるといった奉仕の形とのこと。実際的には、地域のユダヤ人ビジネスマンや、様々な献金で支えられているとのこと。