イランは、2015年に、JCPOA(包括的共同行動計画(アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、中国、ロシアとEU)と、イランが、イランが核兵器開発を停止し、ウラン濃縮活動を停止することなどを約束することで、その時まで課されていたイランへの制裁を解除した。
それから10年、イランは、2018年にアメリカが、トランプ大統領の元、JCPOAから離脱して、独自のイランへの制裁を再開。イランは、IAEA(国際原子力機関)の査察を拒否し、ウランの濃縮も平和利用以上に高めているなど、約束に違反するようになった。
また今年6月に、イスラエルとアメリカが、イランの核施設や軍事施設を攻撃した後、IAEAの査察を中断していた。このため、イギリス、フランス、ドイツから、制裁を再開すると警告されていた。

イランは、危険レベルにまで濃縮されているウランを全て提出するなら、制裁を3ヶ月遅らせると言われたが、これを拒否した。
イランのペゼシュキアン大統領は、こうした措置を「不公平で違法だ」と非難した。アメリカなどは核兵器を保有できるのに、なぜイランはできないのかと言うのである。
ロシアと中国が、国連安保理において、制裁を6か月遅らせる案を出したが、可決できなかった。その後も改善が見られないことから、9月28日(日)、イランへの経済、軍事面における制裁が再発動となった。スナップバックプロセスと呼ばれている。制裁が再開となった今、今後イランは、次のような取り扱いを受ける。
武器輸出禁止、ウラン濃縮の禁止、核弾頭装着可能な弾道ミサイルに関する活動の禁止、数十人のイラン人物と会社の資産凍結、渡航禁止、イランの航空、海運業における荷物の査察許可

これを受けて、イランの通過リアルの価格は、過去最低にまで下落。経済的な打撃が予想され、イランから脱出する市民の数が急増している。
BBCによると、イランのアラツキ外相は、「トランプは、外交的に裏切った(JCPOA離脱)が、E3(イギリス、フランス、ドイツ)は、それを葬った」と語ったとのこと。
www.bbc.com/news/articles/c39rpgpvwy1o
制裁が発動した後も、欧米諸国は、もしイランが、IAEAの査察を再開させ、危険レベルの濃縮ウランについて、適切な処置をするなら、制裁の再開を6ヶ月延期することは可能だと言っている。トランプ大統領は、イランには、外交的な窓はまだ開いていると言っている。
ところで、制裁が発動になる直前、ロシアが、イラン南部に4基の原子力発電所を建設する250億ドルの契約を結んでいた。イランがこれを払えるのかどうか・・?
また制裁が発動した翌日29日(月)、イランは、イスラエルのスパイだったとする人物バフマン・コウビ・アスルを処刑したと発表した。
www.timesofisrael.com/iran-hangs-man-accused-of-spying-for-israel-amid-wave-of-executions/
石のひとりごと
イランへの制裁が発動になる2日前の26日(金)、ネタニヤフ首相は、国連総会での演説の中で、イランへの制裁は再発動するべきだと言っていた。その2日後と言うタイミングに注目させられた。
また、フランスやイギリスは、パレスチナ国家問題で、イスラエルに厳しい状況を突きつけたが、イランについては、イスラエルと同じところに立っているという様子も興味深いと思った。
やはり、イスラエルという国はあなどってはならないと感じる。
