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イスラエル軍アサド政権軍事力80%を破壊
シリアで反政府勢力がわずか12日でアサド政権を崩壊させたが、イスラエルはその横で、緩衝地帯を制覇し、標高2814メートルのヘルモン山を支配下に置いた。これにより、ダマスカスからその周辺一帯を見下ろす位置に立ったことになる。
また、イスラエルは、戦闘機、ドローンなどで、シリア各地にあった軍事拠点への空爆を行っていたが、明らかになった情報によると、攻撃は350回以上に及び、アサド政権の軍事力、戦闘機、戦車、防空ミサイル、巡航ミサイルなど、重要な戦略兵器の80%は、失われたとみられている。IDFは、この攻撃を「バシャンの矢」と呼んでいる。
攻撃は、ラタキヤの海軍基地にも及んでおり、15隻の戦艦を撃沈する壮絶な破壊の様子が伝えられている。
ネタニヤフ首相は、シリアの新政権と協力する用意はあるとしながらも、イスラエルの治安を少しでも脅かす気配があれば、躊躇はしないと表明している。
この状況から、国際メディアは、シリアに侵攻している、恐怖のあまり戦火に油を注いでいる、といった批判的な表現で報道している。
シリア反政府勢は軍病院で拷問跡がある遺体40体発見:アサド政権を拷問犯罪で指名手配へ
シリア反政府勢力HTS(シャーム解放機構)は、9日、ダマスカス郊外の軍のハラスタ病院の遺体安置所で、拷問の形跡がある遺体40体を発見した。
遺体は、ダマスカス郊外にある、サイドナヤ刑務所の拘留者である可能性が高い。サイドナヤ刑務所では、2011年から2018年までに、少なくとも3万人が、拷問、医療の欠如、飢餓で死亡したと推定されており、「死の刑務所」と呼ばれている刑務所である。
HTSはダマスカスを解放した際、真っ先にこの刑務所を解放しており、留置者の家族たちが、解放された人々の間に家族がいないか探しにきている様子が報じられていた。
イギリスの人権保護団体によると、アサド政権下の民主主義運動の弾圧で、2011年以来、10万人が行方不明となっている。このうち6万人が拷問で死亡したとみられていた。
HTSは、アサド政権を拷問・致死で訴えると言っている。
イラクへ逃げるシリア政府軍
こうした中、これまでにシリア軍兵士たち4000人以上が、イラクに逃れたとイラク西部民兵当局が発表した。兵士たちは、武器弾薬、装甲車も引き渡しているという。イラク政府によると、その後テントで保護されているとのこと。場所は不明。
イラクは、シリアとイランとも関係が深いが、現時点では中立の立場を表明している。