GHF(ガザ人道財団)食料配布センターに閉鎖を求める世界NGO165団体:GHF福音派牧師所長の反論 2025.7.3

A Palestinian picks up aid at a Gaza Humanitarian Foundation distribution center on June 8, 2025. (GHF)

GHF食料配布センターの現状:NGOなど165団体が閉鎖を要求

アメリカとイスラエルが、ガザ南部で開始した食料配布センター。ガザ各地に食料を運搬するのではなく、市民に取りにきてもらうシステムである。

(GHF), near the Nuseirat refugee camp in the central Gaza Strip on June 25, 2025. (Eyad BABA / AFP)

国連の配布方式では、途中で、ハマスやテロリストたち、また空腹な市民たちに横領されてしまい、それらが高値で売られて、貧しい人には届かないという状況になっていたからである。

ガザ市民が飢餓状態に陥っているとすれば、それは、搬入量をイスラエルが制限していることが原因とは言い切れないということである。

しかし、食料配布センターでは、取りに来る人々が無秩序に大混乱に陥ることもあり、パレスチナ人たちが、毎日、多数死亡している。ガザ保健保険省(ハマス)によると、昨日2日(水)の死者は11人(市民と戦闘員の区別なし)とのこと。

ガザ保健省は、GHFが活動を開始してから、それに関連して死亡した人は500人以上だと主張している。(確認はできていない)

それでも日々、人々は食料をとりにきているのである。

イスラエル軍は、死者の幾人かの死亡の責任は認めているが、全員がイスラエル軍の攻撃で死亡しているのではないと強調している。

www.timesofisrael.com/24-said-killed-in-strike-on-gaza-city-cafe-troops-dismantle-3-km-tunnel-network/

国際社会は、このシステムが国連と無関係に行われていることや、ガザ市民が多くのリスクを負いながら遠距離を歩かないといけないこと、また配布センターでの混乱で、イスラエル軍が人々を殺害していると訴え、閉鎖を訴えてきた。

7月1日(火)、セーブ・ザ・チルドレン、アムネスティなど著名な人道団体を含む165以上のNGOなどが、GHFの即時解散を求めると表明した。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/over-165-major-aid-groups-call-for-end-to-gaza-humanitarian-fund-operations/

GHF(ガザ人道財団)は5200食を配布:福音派牧師のCEOの反論

in western Rafah in the southern Gaza Strip on May 27, 2025. (AFP)

GHFは、今年5月26日から活動を開始し、混乱の中、配布所は4カ所(南部ラファの2つ、ハンユニスに1つ、ガザ市中央話ディ・ガザ)まで増やされ、これまでに5200食を配布したとのこと。

ガザ北部にも開設したいところだが、戦闘が続いており、イスラエル軍の支配下になっていないため、まだ開設ができていない。イスラエル軍からの連絡待ちとのこと。

また、現時点では、だれが食料を取りにきたのかチェックができていないため、ハマスにも引き渡している可能性がある。そのため、近い将来、配布センターが増やされるとともに、審査プロセスも開始される予定とのこと。

このGHFのCEOは、アメリカ人福音派牧師のジョニー・ムーア牧師(41)である。Times of Israelのインタビューでは、「私はクリスチャンです」とまず述べ、「人々に食料を届けること以上にクリスチャンらしい行動は思いつかない」と語っており、単に仕事でやっているのではない(本気の使命でやっている)と表明した。

ムーア牧師は、ガザで人道支援をするためには、普通の慈善感覚だけではできないと語る。

まず、普通の感覚での人道支援が、そのまま被災者たちに良い結果を産むとは限らないということである。ガザの場合、国連を通じて行われてきた支援が、すべてハマスを成長させる結果となり、今、ガザ市民を苦しめている。

また、そこは、普通の被災地ではなく、混乱と銃撃もある戦地であるということ。GHFの職員は、多くは、有能なアメリカ軍海兵隊経験者で、その他は、ガザの現地ボランティアだという。

ムーア牧師によると、イスラエルがイランと戦争していた12日間の間、危険性から、多くの人道支援団体は食料の搬入を止めていた。しかし、GHFは、その間もずっと食料の配布は継続していた。

自分の安全を優先するようでは、仕事にならないということである。しかし、最近では、本気でガザ市民を助けようとする他の団体が、ひそかに協力を申し入れているという。

なお、イスラエル軍は、治安維持のためにガザ原住民からなるアブ・シャラバブ族を雇用しているが、GHF自体はこの部族とは関わっていないとムーア牧師は語っている。

ムーア牧師によると、GHFへの敵意は、多くの場合、偽情報によるものだと語っている。また、ハマスとイスラエル軍の大きな違いは、ハマスは嘘つきだという点だとも述べた。

www.timesofisrael.com/gaza-humanitarian-foundation-is-answer-to-broken-aid-system-says-groups-head/

GHFの経済を支えているのは誰か

GHFはアメリカとイスラエルによって運営されているが。出資者はそれ以外の国からもきているようである。GHFは、事業開始の5月には、1億1900万ドルの献金を受けていた。6月にも3800万ドルが届くとみられている。ムーア牧師によると、これらの献金の中には、複数のヨーロッパの国からきているとのこと。

アメリカ政府はその後、3000万ドルを計上しているが、他の国にも献金を呼びかけている。イスラエルは、表向きには献金には関与しないとしているが、2億8000万ドルを計上しているとのこと。(Times of Israel)

石のひとりごと

ガザに入れる人は、国際メディアを含め、非常に限られている。ニュースで聞くGHFと、ムーア牧師から聞くGHFとはだいぶ違っているようである。

ガザ市に、まだカフェが残っていたことにも驚かされた。実際のところ、ガザで、何がどうなっているのか、外からではわかっていない部分も多々あるのだろう。

ただ、いいことばかりではなく、予想以上に悲惨な一面がある可能性も覚えなくてはならないとは思う。

こうした中であるにもかかわらず、世界、特に国連に始まり、著名なNGO165団体が、一方的な情報だけで、GHFをこの働きの解散を要求している。悲しい話である。

このような時に、GHFのCEOに選ばれた福音派クリスチャンのムーア牧師。主イエスの特別な助けがあることを期待したい。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。