エルサレムに米大使館を移動させるなど、強力なイスラエル保護の立場を明らかにしているトランプ大統領だが、先週開かれたG7では、相変わらずのジャイアンぶりで孤立していると報じられた。
トランプ大統領は、貿易不均衡を訴え、鉄鋼やアルミなどの対米輸出品に高額な関税をかけようとしてヒンシュクをかい、さらに、”世界を運営する”この首脳会談にはロシアもいるべきだと訴えて欧州諸国からのヒンシュクを買った。
ロシアは、2014年に、クリミア半島を併合した時にこのG8から締め出されて、以来、G7になったのであった。欧州諸国にとって、ロシアのこの動きは決して容認できないものなのである。
この上にトランプ大統領は、北朝鮮の大統領との会談のために、G7を早期に退出したのちに、 合意を撤回してまたヒンシュクをかった。
しかしながら、トランプ大統領の言うことには一理あり、本人も自分は正しいと自信を持っているので、G7首脳からの孤立など、みじんも気にしていない。
<イラン・ロシア・中国の結束>
G7が紛糾しているのと時を同じくして、中国が、9,10日とSCO(Shanghai Cooperation Organisation )上海協力機構首脳サミットを、中国で開催した。
この会議には、イランのロウハニ大統領とロシアのプーチン大統領の他、旧ソ連中央アジア諸国、インド、パキスタンが加盟している。イランは、まだ正式なSCOの加盟国ではないが、その準備がすすめられている。
今回、SCOでは、「イランとの核合意を遵守する」ことで合意した他、北朝鮮問題についても、中国とロシアによる平和へのロードマップを提示している。つまり、アメリカの動きに対抗しているということである。
こうした中で、イスラエルはサバイバルのため、陣営を飛び越えてロシアに近づいているわけだが、ロシアがどこまで信用できるのかは不明というところであろう。無論、イスラエルはそれも見越してロシアに近づいているわけだが。。。
少々ガタが来ているがアメリカ+欧州+日本+イスラエル、(+サウジアラビア)に対し、中国+ロシア+イラン+北朝鮮、(+トルコ)という、イデオロギーの違いによる世界のチーム分けと、対立がますます明白になりつつある。
<意外なイスラエル支持表明:オーストリア>
オーストリアは、ヨーロッパの中でも最も右傾化が進んでいるといわれる国。セバスチャン・クルツ首相(31)は、元ナチが創設したといわれ、移民排斥に熱心な極右政党FPOを連立に入れることで政権を得た。
イスラエルは、オーストリアで反ユダヤ主義が再燃するのではないかと、懸念を表明している。
そのオーストリア政権は、先週、トルコから資金提供を受けている国内の政治的イスラム教グループのモスク17箇所を閉鎖。イマム最大60人とその家族を国外追放にすると発表した。
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180610-00000034-jij_afp-int
この直後に、イスラエルを訪問したクルツ首相は、オーストリア出身のホロコースト生存者を伴ってエルサレム旧市街を訪問。首相として嘆きの壁も訪問した。ヨーロッパの首脳にしてはめずらしい行動で、イスラエルへの友好を表していると評価された。
ヤド・バシェムを訪問した際には、その中の失われた町の谷(広大なモニュメント)を訪問。ヤド・バシェムに、オーストリア政府のアーカイブへのアクセス権を認める文書に署名した。
www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/247247
ネタニヤフ首相によると、クルツ首相は、オーストリアがホロコーストの犠牲であるだけでなく、加害者であったことも認める発言をしているという。
クルツ首相は、これを認め、オーストリアは、歴史的にイスラエルに負っている責任があると述べた。また特にイスラエルのセキュリティを守る責任を負っていると語った。
ネタニヤフ首相は、これを高く評価し、クルツ首相は、イスラエルとオーストリアの関係強化を前進させたと感謝を述べた。
しかしながら、先の反ユダヤ主義カンファレンスでは、オーストリア在住のユダヤ人が、高まる反ユダヤ主義、特にFPOが露骨に反ユダヤ主義発言があると報告しており、イスラエル政府が、FPOを囲い込んでいる政府をあまり評価しすぎるとして懸念を表明していた。