8日、トランプ大統領の宣言を受けて、国連安保理は、15カ国代表を招集した。会議を要請したのは、イギリス、フフランス、スェーデン、ボリビア、ウルグアイ、セネガル、エジプトである。
安保理では、パレスチナ代表、イスラエル代表もそれぞれの言い分を語った。アメリカ代表のニッキー・ヘイリー氏は、イスラエルが建国以来、70年間、エルサレムがイスラエルの首都として機能してきたと強調。
今回の宣言は、アメリカは議会にて、すでに決定されていたが、これまでの大統領が先延ばしにしてきたことを、トランプ大統領が実行に移しただけだと語った。しかし、アメリカは、エルサレムに関して、最終決断を下したわけではなく、あくまでも当事者たちが交渉で決めることであると認識を強調した。
神殿の丘についてはこれまでとなにも変わっていないこと。またアメリカは2国家案を放棄したわけではなく、イスラエル、パレスチナ両国が合意するなら、アメリカはこれに同意する用意があることを強調した。
また、ヘイリー代表は、国連はこれまで不条理にイスラエルへの非難決議を出してきたと厳しく批判した。これ以上、イスラエルがいじめられるべきではないと語った。
イスラエルのダノン国連代表は、70年前、イスラエルの建国を認めるかどうかの決断を迫られた時も世界は、アラブ諸国からの暴力を懸念した。
今回も同じだが、当時のトルーマン米大統領と同様、トランプ大統領は、勇気を持って世界に先駆け、エルサレムはイスラエルの首都宣言したのだと述べた。
今回の安保理会議では、決議はとられなかった。アメリカが拒否権を行使することは明らかだからである。しかし、イギリス、フランス、ドイツ、スェーデン、イタリアが次のような共同声明を出した。
「この度のエルサレムをイスラエルの首都とみとめ、大使館をエルサレムに移動させるというアメリカの決定は、地域の平和に貢献するものではない。我々は、国際社会で合意された2国家案を目標にした和平交渉の再開を支持するものである。」
これはつまり、パレスチナ代表の主張に同調し、アメリカの決断を拒否するものである。この他の国々も同様の意向を表明した。アッバス議長は、パレスチナを支持する国際社会に感謝を表明している。
アメリカとイスラエルは極めて孤立したとも言えるが、アメリカに続く国が出てくる可能性もあり、まだまだ先行きは不明というところか。
<日本は賛否表明せず>
朝日新聞によると、イギリスやフランスが即時にトランプ大統領の宣言について、ただちに反対を表明したのに対し、日本は賛否を表明していない。
日本はアメリカと同盟国であるし、北朝鮮問題で、今はアメリカとはもめたくない。またイスラエルとも最近友好を深めているところである。とはいえ、アラブの石油は必要という、複雑な事情がある。朝日新聞は「日本はフリーズしている」と書いている。
その中立的な立場からか、今回のエルサレム問題のための安保理会議での議長は日本が務めた。
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171208-00000107-mai-int
<今後の課題:アメリカの和平案とは?>
イギリスのBBCは、反イスラエル的で知られるメディアだが、アメリカは、これほどの混乱をもたらしているのだから、早急にどんな和平案を持っているのか、提示すべきだと述べている。
BBC報道:http://www.bbc.com/news/world-middle-east-42287429