先週、イラクでモスルISISへの総攻撃が始まったことと、アレッポでのロシア軍による空爆が、一時停止していることもあり、シリア情勢の話題が隠れた感じになっている。
しかし、28日、反政府勢力が、アレッポで政府軍に包囲されている地域の解放を目指して、シリア政府支配地域への激しい爆撃を行った。
アレッポでは、10月18日から、ロシア軍とシリア軍が、人道支援目的で、アレッポの反政府勢力への空爆を停止しており、3日の予定だったが、20日以上たった今も空爆は再開されていない。
反政府勢力の攻撃を受けて、ロシア軍は、空爆再開の指令をプーチン大統領に要請したが、大統領は、「今はまだその時ではない。」として、これを受け入れなかった。
アル・ジャジーラは、アメリカの大統領選挙が終わり、来年1月に新大統領が正式に就任するまでの期間ーこの間はオバマ大統領が大統領ではあるが、引き継ぎ中であり、通常は大きな決断はしないーを待ってアレッポの反政府勢力への総攻撃を行うのではないかと分析している。
アレッポについては、10月17日に、アメリカ軍とロシア軍の戦闘機がニアミスを起こしていたことが明らかになった。もし衝突していれば、深刻な東西問題に発展しかねない危険な状況だった。
<ロシア軍が小学校を空爆か?>
これに先立つ水曜、アレッポから75キロ南西の町で、小学校が空爆を受け、子供20人を含む少なくとも35人が死亡した。ロシア軍かシリア軍と思われるが、双方とも、これを否定している。国連のバン事務総長は、戦犯の可能性があるとして精査を要請した。
反政府勢力が、アレッポで政府支配地域への攻撃を行ったのは、この事件への反撃であったのかもしれない。
edition.cnn.com/2016/10/27/middleeast/syria-civil-war/
<フランスのカライス・難民キャンプ強制撤去>
シリア他の難民たちは、その後も悲惨極まる歩みを強いられている。フランスのカライス難民キャンプは、7000人に上る難民がテントやバラックに住み、犯罪の巣になっているスラムキャンプのようなところだった。ジャングルとよばれていた。
このキャンプにいたのは、多くが保護者のいない14−17歳の未成年である。ニュースでみるからにほとんど全員男子。シリアやアフガニスタンだけでなく、アフリカ難民も多数のようである。
このキャンプは、フランスからイギリスへ向かうフェリーターミナルの近くで、少年たちは、トラックなどに便乗し、イギリスへ行こうとしていた。
しかし、暴力や犯罪など、キャンプが多くの問題を引き起こしていたため、フランス政府は先週月曜に、このキャンプを撤去することを決めた。
撤去予定前に、イギリスにすでに家族がいる子供たち250人はイギリスが受け入れ、家族との再開を果たしている。
それ以外の約5000人は、フランス各地に設けられた収容センターへ送られた。フランスから難民申請をする予定になっている。しかし、子供たちを収容センターへ移送するバスが足りないなど、フランス政府の対応のずさんさも指摘された。
撤去さわぎに紛れて、移送される前に多数が逃亡した他、今も付近で野宿を続ける少年たちが1500人もいる。
フランスは、イギリスが割り当てられた難民数を受け入れるよう、要請している。