伊勢志摩でのG7に続いて、オバマ大統領の広島訪問は、27日、BBC, CNNとも朝からトップで報じた。
BBCは、オバマ大統領の広島訪問を実況中継で伝えた。この時間、イスラエルはランチタイムなので見た人は少ないと思われるが、見る事は可能だった。
BBCの特派員は、オバマ大統領が、スピーチの中で、”被爆者”という日本語を使った点に注目。安倍首相が、あえて謝罪を要求しないと語ったことなどもあわせて高く評価する報道を行った。
また、広島には、日本人だけでなく、在日韓国人も被害にあったことを配慮したスピーチであったとも伝えた。
www.bbc.com/news/world-asia-36394975
アメリカのメディアであるCNNは、この件とともに、広島原爆記念館の展示物の写真を公開している。その中には、有名な「原爆で黒こげになった弁当箱」もあった。少しだが、当時の被爆者の悲惨なビデオも報じられた。
広島で被爆したアメリカ人捕虜を、被爆者として登録することに尽力した歴史家の森重昭さんへのインタビューも行っている。
edition.cnn.com/2016/05/26/politics/obama-japan-hiroshima-what-to-watch-for/index.html
<イスラエルでの報道>
イスラエルでは、テレビの夕方のニュース、また、プライムタイム・ニュースでも、トップニュースではなかったが、オバマ大統領の広島訪問を、原爆投下当時の映像、被爆者との面会、日本人一般女性へのインタビューも含めて報じた。
特にオバマ大統領が、「我が国を含む核保有国は、(核兵器をなくせば攻撃されるという)恐れの論理を克服する勇気をもたなければならない。私が生きている間に実現しないかもしれないが、努力はつづけていくべきである。」と語った点をとりあげて報じていた。
イスラエルは、核兵器を保有について肯定も否定もしないという立場で、実際には保有していると考えられている。
www.mako.co.il/news-world/international-q2_2016/Article-e501cd59361f451004.htm(チャンネル2のネットサイト)
<石のひとりごと>
オバマ大統領が、広島の原爆資料館を視察したのち、原爆ドームを訪問したことは日本人にとっては非常に意義あることである。しかし、それに加えて、原爆の事実が多少なりとも世界に報じられたこともまた、大きな成果ではないだろうか。
また、被爆者の方々や、広島の人々が、憎しみをぶつけたり、謝罪を求めたりするのではなく、オバマ大統領の訪問を歓迎している様子が、印象的だった。海外のメディアも、その点も評価する形で報じていたことが感謝であった。
<謝罪を求めないということについて>
作家の塩野七海さんは、日本政府があえて謝罪を求めないことについて、それこそ日本の品位であり、逆により効果的に原爆を訴える力にもなると語っている。
www.asahi.com/articles/ASJ5R3T1VJ5RULZU00Q.html?iref=comtop_favorite_01
原爆の問題は、アメリカの犯罪というだけでない。人類全体に対する警告も含む大きな問題である。
これはイスラエルのドイツに対する態度にも見られる。イスラエルは、ドイツに対して謝罪は求めていない。これは謝ってもらってすむというレベルの問題ではないからである。むしろ、これは、人類全体の問題だと世界に訴えている。
ドイツの方でも、口だけの謝罪ではなく、70年たった今もまだイスラエルへの実際的支援を行っている。ドイツの次世代の子供たちにはホロコーストを語り伝えている。結果、イスラエルに来るボランティアは、現在もドイツ人が一番多いという結果になっている。
世界で唯一の被爆国である日本が、これを機に、品位をもって、世界の核兵器廃絶にさらに貢献できればと思う。