混迷を深めるシリア。アレッポとその周辺で、シリア政府軍がロシア軍が反政府勢力に対する激しい空爆を行い、シリア市民5万人が、トルコとの国境に押し寄せている問題について。
サウジラビアが、反政府勢力を支援するため、地上軍を派遣すると発表。ロシアが、「そんなことをすれば世界戦争になる。」と警告を発していた。
また、現在、アレッポ周辺だけでも約30万人、他の地域も入れると、1350万人が、緊急の人道支援がなければ滅んでしまう危機的状況にある。
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こうした状況を受けて、ケリー米国務長官と、ロシアのアラブロフ外相を含む17カ国の外相級代表が、国連シリア問題特使デミストゥラ氏らとともに、ミュンヘンで会議を行った。
結果、1週間以内に”戦闘行為”を停止することで合意したと発表した。ただし、しかし、欧米側、ロシア側ともにISISとアルヌスラ(アルカイダ系)に対する攻撃はやめないとしており、結局本当に停戦状況になるのかどうかはまだ不透明である。
しかし、今、アレッポ地域で、激しい空爆を行っているロシアも合意したということで、実現への期待が高まり、実現されれば、24時間以内に、シリア国内への人道支援物資を、アレッポやその他の地域に届ける可能性があるという。
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*米露の隔たり
今回、米露は、部分的な戦闘行為の停止で合意したわけだが、両者は根本的に目標を異にしており、根本問題に進展があったわけではない。
ロシアは、シリアの内戦を解決するには、アサド政権を復活させるしかないと考えており、反政府勢力を一掃するという考えは変えていない。また、アサド大統領は、木曜にAFP通信のインタビューに答えて、「シリア全土をくまなく奪還するまで戦う。」と述べている。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4765446,00.html
一方、欧米は、自国民26万人を死に追いやり、1100万人を難民にしたような人物を国の指導者に据えておく事はあり得ないする姿勢を崩しておらず、ロシアと、まっこうから対立している。
今回、この休戦が実施されるかどうかはまだ不透明である。しかし、これが実施されないと、シリア市民がどんどん死んで行くことを意味することは確かである。かなり深刻である。
<キレるトルコ:難民受けいれは限界>
シリア難民が押し寄せているトルコとの国境は、まだ閉鎖されたままで、5万人にも及ぶ難民は、この寒さの中、テントで待機している。トルコはすでに260万人以上のシリア難民を受け入れており、もう限界なのである。
11日、国際社会から、国境を開けるよう圧力を受けているのか、トルコのエルドアン大統領がついにキレて、「我々は馬鹿ではない。我慢にもほどがある。」と訴え、難民はそのままヨーロッパへ送り出す可能性もあると、脅迫じみた示唆をした。
また、「シリアで、”民族浄化”が起こっているのに、国連はもっと何かできるはずだ。」と、国連を強く非難した。
エルドアン大統領は、この先、ロシア軍とアサド政府軍が爆撃を続けた場合、新たに難民60万人がトルコ国境へ押しよせることもありうるとし、トルコはそうした事態も考慮していると言った。
トルコは、シリア難民をトルコ領内には入れず、国境よりシリア側に難民のための安全地帯を設立する案を主張している。