民族大移動:アラブ人はヨーロッパへ、ユダヤ人はイスラエルへ 2015.9.12

シリアなど紛争アラブ国からトルコ、ギリシャ、セルビア、ハンガリーを通ってヨーロッパを目指す難民は、まだ際限なく波のように続いている。

ハンガリーを通過した難民は、10日だけで8000人、11日も同様の人数が予想されている。

ハンガリーは、難民よけのフェンスを設置しはじめた。また今日のニュースでは、押し寄せた難民に対し、ハンガリーの治安部隊兵士らが、サンドイッチを放り投げ、それを難民たちが取り合う様子が報じられた。

撮影した人は、「難民たちが動物のように扱われている。強制収容所を思い出させる」と言っている。あまりにも悲しい光景である。 http://www.bbc.com/news/world-europe-34216883

ヨルダンの難民キャンプでは、食料の配給が追いつかな書くなり、このままでは飢えるといった状況になっている。ある難民の男性は、小さな子供をつれて命がけでギリシャへ渡る計画だという。

たとえ途中で死んだとしても、子供たちがゆっくり飢えて死ぬのをみるよりはましだと語っている。

EUでは、ドイツだけにまかせるのではなく、加盟国28カ国中、23カ国が難民16万人を受け入れる方針を決めた。

しかし、中東のイスラム教徒が大挙してヨーロッパに入る事に対し、危惧を持つ国々もある。スロバキアは、「スロバキアにはモスクが一つもない。イスラム教徒にはあわないだろう。」と言い、クリスチャンのみを受け入れると発表した。しかし、これについては人種差別発言だとも言われた。

アメリカは、遅ればせながら、1万人を受け入れると発表した。ケリー国務長官は、7万人までとも言っているが、難民に混じってISISをはじめとするテロリストが入って来る可能性が高いため、国内からは反発もある。

イスラエルでも人道上、難民を受け入れるべきとの論議もあったが、ネタニヤフ首相は、「イスラエルはシリアの負傷者を治療して十分貢献している。イスラエルは難民を受け入れるには小さい。」としてこれを否定した。

また、ネタニヤフ首相は、南部ヨルダンとの国境を視察し、死海から南部にもフェンスの設置を開始すると発表した。フェンスは、難民よけとも、ISISよけとも言われている。

*シリア領内で化学兵器使用か http://www.bbc.com/news/world-middle-east-34212324

シリアでは、化学兵器マスタードガスが使われた形跡があると伝えられた。現在イギリスで残骸の分析が行われている。BBCが現地で入手した被害者市民の写真から、OPCW(化学兵器禁止機関)の専門家は、化学兵器である可能性があると言っている。

アメリカ軍関係者はISISが、化学兵器を製造していると述べているが、実際に化学兵器を使用しているのがアサド大統領か、ISISか、反政府勢力のいずれの組織であるかは不明。

いずれにしても、化学兵器使用が、最近の難民の大移動に関係しているのではないかとの見方がある。

<ユダヤ人はイスラエルへ> http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4699396,00.html

中東のイスラム教徒アラブ人たちが、ヨーロッパへ流れるのと逆行し、ユダヤ人たちはイスラエルへ続々と到着している。Yネットによると、ユダヤ暦新年を前に、移民者の数は、前年の13%増を記録した。

移住元の最大国はフランスで、7350人、次にウクライナ6868人、ロシア5900人。全部で29000人が97カ国からイスラエルへ移住した。(イスラエル移民局発表)

今年はじめて移住者を出した国は、アンゴラ、アンドラ、ナミビア、スロバキア、フィリピン、パラグアイ。ユダヤ人は世界の隅々にいると実感させられる。

*2015年という枠組みでの移住者は30000~35000人に上ると推測されている。

また。最近の移民者の多くは、高い教育を受けた若い人々で、70%が44才以下。このうち、約3000人が技術者エンジニア、1000人が医師・医療従事者となっている。

世界の隅々からユダヤ人が集められることはエゼキエル書38章に書かれている通りである。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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