シナゴーグ・テロから10日以上になった。イスラエルでは今週、過去20年以来最大となる冬の嵐が到来。エルサレムでもほぼ丸3日、強風を伴う雨が降り続けた。気温も10度前後まで下がり、金曜になって、ようやく少し日がでてきたところである。
この雨で、全国的に広がりつつあったアラブ人の暴動は一応のおさまりをみせている。しかし、テロが落ち着いている背景は悪天候だけではない。水面下で治安部隊が暗躍し、数々のテロ計画を未然に防いでいたことが明らかになった。
その一つがエルサレムのテディー・スタジアムを狙ったテロ。サッカーの試合などで満員になれば21000人が集まる。もしテロが実行されていれば、大惨事になるところだった。
この他にも誘拐など様々なテロの計画していたハマス30人以上を、イスラエル軍と協力して逮捕したと諜報機関が発表した。治安部隊は、テロリスト逮捕と同時に、爆発物やライフルなど多数の武器も押収している。
グループはトルコのハマス司令部の指示で動いていたと諜報機関シン・ベトは報告している。
今回、逮捕された30人は、多数が西岸地区在住パレスチナ人で、ヨルダン人、クウェート人など外国人も含まれていた。こうした外国人ハマスの訓練はトルコで行われていたとみられる。トルコはこれについては否定している。
<シナゴーグ・テロ犯の妻・イスラエルから追放へ>
シナゴーグでテロを行ったパレスチナ人2人は、エルサレム南東部のアラブ人地区・ジャベル・ムカバ出身だった。ジャベル・ムカバは、東エルサレムであるため、住民はイスラエルの永住権を持っている。
イスラエル政府は、今週、犯人の妻ナディアさん(幼児の息子がある)に家屋を破壊するとともに、イスラエルの永住権を剥奪すると通告した。ナディアさんは、「子供たちは父(犯人)を失ったのに、家まで奪うのか」と、永住権を剥奪しないよう懇願している。
こうしたテロリストの家族への罰則には賛否両論である。しかし、イスラエル政府は、テロの結果として、自分の家族が苦しむということが、テロの抑止力になると考えている。イスラエル政府は、今後、早急にテロリストの家族への罰則に関する法案を成立させる方針。
<イスラエル在住の穏健派ムスリムからの反応>
シナゴーグのテロが発生した後から、イスラエル国内の穏健派イスラム教指導者たちが、「これはイスラムの教えではない。」とするコメントを出している。
北部アッコにある大きなイスラム教アル・ジャザール・モスクの指導者は、ユダヤ教、キリスト教の指導者とともに、事件翌日、被害にあったシナゴーグを訪れ、「これはイスラムの教えに反する。」と表明している。
またアフマディヤとよばれるイスラム教のグループの指導者も先週、シナゴーグを訪れ、「怒りを覚える。このような行為はイスラムを現すものではない。」と訴えている。
ahmadiyyatimes.blogspot.co.il/2014/11/israel-ahmadi-muslim-leader-says.html