イスラエルの周囲で”ほえたける獅子” 2014.10.9

<ヒズボラからの挑戦> 

5日、レバノンからイスラエルへ武装グループが侵入。イスラエル軍が発砲し、一人が負傷して武装グループはレバノンへ逃げ帰った。ここしばらくレバノンとイスラエルの国境が緊張している。

そんな中8日、国境のイスラエル側に仕掛けられた爆弾が爆発し、爆弾処理のイスラエル兵2人が負傷した。これを受けて、イスラエル軍はただちに、レバノン領内のヒズボラへの反撃を行った。

その後、ヒズボラ高官が、レバノンのテレビで次のような声明を出した。「シリアで手一杯だと思うな。我々はイスラエルと戦う用意がある。」 http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/In-message-to-Israel-after-border-attack-Hezbollah-says-We-are-ready-to-confront-you-378423

ヒズボラは、現在シリアのアサド政府軍を援軍しており、かなり疲弊しているといわれる。このヒズボラ高官の声明が本気なのか、本来のテロ組織としての正当性(イスラエルを攻撃してこそ本来の姿)を誇示しているだけなのかは、不明。イスラエル軍はとりあえずは、大きな戦闘に発展する可能性は低いとみている。

しかし、シリアでISISへの攻撃が始まってからアサド大統領のシリア軍とヒズボラが勢力を盛り返しているので、前者も完全には否定できない。ヒズボラがイスラエルへ向けて配置しているミサイルは、ハマスの10倍の10万発。本気は出してほしくないものである。

シリアのアサド大統領もあやしい動きをしている。シリアは、化学兵器の隠し場所を、国際社会に自己申請し、処分はもう大分終わったと思われていた。ところが今週、新たなサイト4カ所を申告してきた。前には隠していたということである。他にもまだ持っているのではないかとの疑いが高まっている。

なお、イスラエルでは、シリアからの化学兵器の脅威はなくなったとして、ガスマスクの配布を停止している。多くの市民はもはやガスマスクを持っていない。

<ガザで爆破事件:ISISが犯行声明> www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/185967#.VDaejaW9BCs

戦争の復興もすすんでいないガザ地区だが、7日夜、比較的近代的なビルが爆破された。それについてISISが、ネット上で犯行声明を出した。公に、ISISがガザへ進出するのは、これが初めて。

そのガザ地区だが、7日、パレスチナ自治政府のハムダラ首相が、初めてガザ地区入りした。支援者たちに、パレスチナ人は一致していると宣伝することが目的と考えられている。

東エルサレム在住のパレスチナ人で国連職員のFさんによると、ガザ地区への出入りは、パレスチナ人国連スタッフでも困難だという。かつてはハマスからの許可を得て入っていたのだが、今はパレスチナ自治政府からの許可をもらう形になっている。

<イランの軍事施設で爆発>

核開発をめぐるイランと世界諸国との対話が、 昨年、華々しく始まったものの、結局、イランが経済封鎖緩和によって巨大な現金を獲得した以外、大きな進展はない。イランは相変わらずIAEAの査察をうまくすりかわしている。

そんな中、5日、イランのパルチン軍事施設で大きな爆発が発生。作業員2人が死亡した。この施設はミサイルなどの武器を開発する施設で、核ミサイルの開発の疑いもある施設である。

原因についてはまだ明らかにはなっていないが、イスラエルが背後にいる可能性もささやかれている。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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