アメリカと有志国が、シリア内部のイスラム国(IS)を攻撃し始めてから3日目となった。アメリカ軍は、イスラム国だけでなく、アルカイダ系で、アメリカでテロを起こすと脅迫している組織ホラサンへの攻撃も行っている。
空爆は、トルコとの国境付近、シリア北部の石油精製施設などが標的となっている。石油施設を攻撃したのは、イスラム国が、ここから一日に200万ドルを稼いでいるとされるからである。
シリアとトルコの国境付近に対して行われた空爆はコバニ付近。イスラム国が攻め入って来たために、ここ数日で、15万人のクルド難民がトルコへ流れ込んだと言われる町である。この付近への空爆で、難民たちが混乱に陥っているという。情報がなく、だれがどこへ空爆しているのかわからないからである。
クルド人はトルコとは宿敵の関係にあるので、できるだけトルコには行きたくない。混乱の中で、危ないにも関わらず、シリアへ逆行して行く難民もみられている。
こうしたアメリカの攻撃を受けて、皮肉なことに、アサド政権とヒズボラがシリア北部で勢力を盛り返しはじめている。当然、これはアメリカが望むところではない。
ちなみに、アサド政権は、アメリカと国際社会のイスラム国攻撃を歓迎すると表明。ヒズボラは、イスラム国攻撃は歓迎するが、アメリカの動きには賛同しないと表明している。
*地中海に難民船・再び
先週、500人の難民が死亡したとみられる地中海。今度は300人ほどの難民が、小さな漁船に満載されて、キプロス付近を航行しているのが発見された。ほとんどがシリア人の女性と子供たちだった。船はキプロス政府が救出している。http://www.bbc.com/news/world-europe-29358265
<国連総会とオバマ大統領>
シリアへの攻撃が始まると同時に、ニューヨークでは国連総会、ならびに国連安保理の会議が始まった。当然、話題は、イスラム国となっている。
オバマ大統領は、イスラム国を「死のネットワーク」と呼び、国連憲章で定められた「自衛権」の行使だと主張した。また、イスラムに対する戦いではなく、テロ組織への攻撃であること、アメリカだけの問題ではないことを強調した。
今回は、特に国連70年史上6回目となる、国連安保理・首脳級会議が開かれた。議長はオバマ大統領。世界の首脳たちに対し、世界が一致してイスラム国を排除する必要があると訴えた。
これに対し、ロシアが若干皮肉を言ってはいるが、100カ国が満場一致で可決。世界は一丸となってアメリカとともにイスラム国排除へと向かっているようである。
実際、シリア空爆にはアメリカ軍機の他、サウジアラビア軍機が加わっていることが明らかとなっている。フランスとイギリスも、シリアへの空爆へ参加を検討している。
しかし、イランは隣国であるにもかかわらず、”のけ者状態”。ロウハニ大統領は、総会演説において、上記安保理決議案について、「解決は地域内部から発せられるべき。危険なテロ組織は、欧米の失策が生み出したのだ。」と語った。
<イスラム国の反応は?>
イスラム国は、フランスが空爆をやめようとしないのを見て、アルジェリアで拉致したフランス人旅行者の男性を斬首。そのビデオをアップした。フランスのオーランド大統領は、「フランスは屈しない。ゴルデル氏は、テロと戦うフランス国家とともに勇敢に戦った。」と毅然として表明した。
イギリスも民間人一人が斬首の危機にあるが、キャメロン首相は、アメリカとともにイスラム国を攻撃する方向である。
フィリピンでは、アルカイダ系の組織が、イスラム国へ転向し、その忠誠を表明するため、以前から拉致していたドイツ人2人について、身代金要求とともに、殺害を警告している。
今後懸念されることは、イスラム国に押され気味のアルカイダが、その力を誇示するため、世界的テロをするのではないかということである。こうした事態を受けて、日本の外務省はは海外在住の日本人などに注意をよびかけている。
<元イスラム過激派の証> https://www.youtube.com/watch?v=i6YLAzw4UdI
友人の紹介で巡り会ったサイトだが、元イスラム過激派の人が、救われた証を語っている。救われてから何年もたっているのに、まだそのときのままの感動を語っている。10分以内で日本語字幕もあり。