ガザで激しい攻撃を続けるイスラエル軍 2014.7.11

ガザでの境界防衛作戦が始まってから3日目の10日。イスラエル空軍は、断続的にハマス幹部やロケット発射地を標的にした空爆を行っている。10日だけで220箇所を攻撃し、ハマス幹部、イスラム聖戦幹部らを殺害している。

ガザの医療関係者によると、10日だけで17人が死亡。作戦が始まってからの死者は、市民を含む89人、負傷者は630人に上る。

BBCによると、10日、6つの家族が住む場所が空爆され、子供6人を含む家族たちが死亡したという。イスラエル軍はこれについて調査中である。

なお、ガザでは、ハマスが軍事施設を学校や病院内部に設置。市民には、「イスラエル軍の警告があっても家に残れ。」と指示を出しているという。

<暗黙の了解!?エジプト>

これまでは、こういう事態になるとエジプトが奔走し、停戦になるというパターンだった。エジプトのシシ政権は、一応停戦斡旋の動きはあるものの、時間稼ぎをしているだけとも見られている。つまりイスラエルの攻撃に暗黙の了解とも受け取れる。

エジプトは、自らもイスラム主義組織の一掃の最中であるため、イスラエルがハマスやイスラム聖戦を一掃してくれるのは好都合なのである。

エジプトは、唯一開いていたガザの窓だったが、今は、エジプトとの国境も閉鎖。地下トンネルもエジプトが破壊しているので、ガザのハマスは、実質、補給のない孤立状態となっている。

しかし、BBCによると、多数のガザ市民がエジプトへの入国を求めて殺到しているようである。

www.bbc.com/news/world-middle-east-28258448

<ISISの動き>

イラクで勢力を伸ばすISISは、ハマスと同じスンニ派だが、基本的につながりはない。今回もハマスを支援しないと表明している。ISIS自身は、「イスラエルとの直接対決は、まずシリア、レバノンを制覇してイスラム国を堅固にしてしてからになる。今は時ではない。」と語っている。

しかし、アルーツ7によると、ISISがガザからミサイルを発射する映像が流されており、言う事とすることに違いがある可能性もある。http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/182767#.U79mK6W9DCs

<地上軍投入か否か>

ガザ国境には、地上軍が準備を進めているところである。しかし、地上軍が入れば、泥沼の戦いとなり、犠牲者も出る。イスラエル国内では様々な論議となっている。

地上軍を投入する理由は、ガザを支配する首領級の指導者や、危険なミサイルが地下深くに隠されており、空爆では対処しきれないからである。徹底的にガザの戦力をそぎとるためには、最終的には地上軍が入らざるを得ない。

しかし、地上軍が入れば、必ず兵士・ガザ・イスラエル市民の犠牲が発生する。ネタニヤフ首相にとっては、非常に難しい決断である。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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