22日午後、ゴラン高原のシリアとの国境にある防護壁周辺で、水を運搬していたトラックに、シリア領内から発射された対戦車砲が着弾。
トラックに乗っていたイスラエル人の高校生、ムハンマド・カラカ君(13)が死亡した。他にムハンマドさんの父親を含む2人が負傷。1人は重傷となっている。シリア国境で市民が犠牲になるのはこれが初めてである。
イスラエル軍は、ただちに国境クネイトラ方面に向けて発砲、付近に援軍を派遣した。しかし、今のところそれ以上のエスカレートはなく、状況は落ち着いているようである。
現在、ゴラン高原のシリア側は、大部分を反政府勢力が、占領している。最近では、反政府勢力にアサド政府軍が空爆している様子が、イスラエル側からも肉眼ではっきり見えるほどに緊迫していた。
また、シリア領内から時々イスラエル領内へ、流れ弾ではなく、意図的とみられる発砲を受けるようになっていた。この3月には、シリアからの砲撃で、イスラエル兵4人が負傷している。今回も意図的な攻撃とイスラエル軍はみている。
<危険な作業を担う国防省の契約雇用要員>
今回、犠牲となったムハンマド君の父親は、シリアとの国境にある防護壁周辺へ水を運搬していた国防省の契約雇用要員だった。
ムハンマド君は、昨日から学校が夏休みに入ったため、特別にこの日、父親と一緒に作業場を訪れていたという。攻撃を受けて、父親は中等度の負傷を受け、ムハンマド君は父親の腕の中で亡くなった。
病院にかけつけた母親は、「息子はもういない。行かせなければよかった。彼は医学を学びたいと言っていた。昨日新しい服を買ったばかりなのに・・」と泣きながら語ったという。
シリア国境だけでなく、ガザ国境でも防護壁の建設や修理などの危険作業には、契約で労働者が派遣されている。ガザ国境でも作業員にあたっていた契約雇用のベドウイン男性が、ガザからの攻撃を受け、犠牲になったことがある。