パンと一緒に戻ってきたロケット弾 2014.4.22

21日の日没で、過ぎ越しの祭りが終了となった。町では日没と同時に、7日間閉まっていたパン屋が焼きたてのパンを売り始めた。

モロッコ系のユダヤ人は、小麦粉を使ったケーキやクッキーなど甘いお菓子を、文字通り山のように作って、来客にふるまっている。元気のいいモロッコ家族は、近所の人も招いて朝まで”種なしパン明け”を祝う。

これをミムナといい、今ではモロッコ系以外の人でもこの風習を取り入れている家族もある。

しかし、南部の町スデロットでは、この日の午後からガザから飛んでくる対戦者ミサイルや、ロケット弾を7発もあびた。ロケット弾は、道路や空き地に着弾。一発はシナゴグに近かったが被害者はなし。これを受けて、イスラエル軍はガザへの空爆を行った。

ロケット弾をあびたスデロットだが、住民は、恐れず、ミムナを祝っている様子がテレビで報じられていた。なお、イスラエルがガザを空爆して以後、翌朝にかけてのロケット攻撃はなし。

<神殿の丘も落ち着かず>

神殿の丘で、岩石や火炎瓶を投げつけるパレスチナ人とイスラエルの治安部隊との衝突が連日続いている。

19日には、超右派議員のフェイリン氏とユダヤ人のグループが神殿の丘に上がったところ、アラブ人が再び暴動を開始てイスラエルの治安部隊と衝突。ユダヤ人と観光客をを神殿の丘から急遽退去させるという流れになった。

これを受けて、神殿の丘を管理するイスラム団体ワクフのあるヨルダン政府は、イスラエルの駐ヨルダン大使に電話をかけ、「過激な右派を神殿の丘に入れた上、礼拝者を攻撃するのは和平条約に違反する。」と非難した。

確かにフェイリン議員の行動は挑発的だが、それまでに発生した衝突は、アラブ人たちが投石や火炎瓶をイスラエルの治安部隊に投げつけてきたことによるものである。衝突の原因は、常にイスラエルというわけではない。

<わかりにくいアッバス議長の言動>

アッバス議長が、もし和平交渉が頓挫したら、パレスチナ自治政府を解体するといったニュースが再び浮上した。

実際に自治政府がなくなった場合、パレスチナの治安部隊は崩壊。治安だけでなく、西岸地区のパレスチナ人250万人の生活をイスラエルが背負うことになる。その際の出費は膨大で、イスラエルの手に負えないだろうと言われている。

つまり、自治政府解体は、和平交渉の期限切れを前に、イスラエルとアメリカへの脅迫ということである。

これに対し、アメリカが、「自治政府を解体するなら、深刻な結果になる」と逆脅迫すると、「解体する案はない」とパレスチナ自治政府。

22日、ファタハの代表団が、ガザでハマスと会談。ハマスとファタハ(アッバス議長の派閥)の和解については、パレスチナ人自身が不可能と言っているぐらいだから、狙いは他にあるのかもしれない。

ネタニヤフ首相は、「アッバス議長は、自治政府を解体するといいながらハマスとの和解を試みている。解体するのかしないのか。本当に平和を実現する気になったら、我々に知らせてもらいたい。」とコメント。

ガザからの攻撃に関しては、「イスラエルは攻撃されたらすみやかに強力に報復する。それは変わらない。」と繰り返した。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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